山の音楽室ができて6年になります。
山の音楽室は
音たちが棲む空間、
音たちが息づく空間です。
そんな部屋になりますようにと、
わたしの思いを建築士の飯田いつみさんに伝えて、
飯田いつみさんはいっしょうけんめい、
わたしの思いをくみ取って、取り組んでくださって、
2007年の7月に完成しました。
ほんとうにたくさんのことが7年の間にありました。
ジェイムス・ジョイスはユリシーズの中で、
人間の内面の意識の流れに光をあてましたが、
それと同じくらいと思える濃厚な一日を、
毎日毎日、音のこと、響きのことを考えながら
過ごしてきた気がします。
音の世界はあまりにも濃密で、
ことばにすることができません。
比叡平はとてもしずか。
しずかな環境がわたしには必要です。
ただしずかななのではなく、
何かが息づいているようなしずけさです。
いのちが息づいている、しずけさです。
どくどく、どくどく、
そのいのちが流れ込んでくるようで
ときどき、耐えきれなくなって、
そんなとき、扉が開いて
音楽を作ったり、奏でたり、ことばを紡いだりします。
きっと、この部屋に
音たち、ことばたちが遊びに来てくれるんだと思います。
2012年も、毎日毎日、音たちは新鮮な響きを運んできてくれました。
どくどくと地中深くから湧く伏流水のように、
音たちはいつも新鮮で、
いつも同じではありません。
音たち、ほんとうにありがとう。
そして今年も、たくさんの光、いっぱいの風を、運んできてね。
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