レモン飴をころがす

ほんの一瞬の考えを残しておく。

つける仮面のこと

2017-06-11 20:33:24 | 日常のこと

昔からイケメンが苦手だ。
それも、つむじから足のつま先まで手入れの届いた最強のイケメンがどうしても苦手だ。
彼らはスポーツができて、学業も効率よく行うのでそんなに勉強をしていないように見えてちゃんと高得点をとっている。だからといって決して他人を馬鹿にしたりしない。そんなことをするのは他人を貶めないと自分の価値を確立できないような中途半端な人間だ。(もしくは思っていたとしても自分の気持ちを隠すことができない人間)
数少ない”ホンモノ”は学級カースト関係なく誰とでも笑顔で話す人たち。彼らの前に立つととたんに自分に自信がなくなってしまう。

彼らは悪くない。いつもは隠れている卑屈な自分が彼らの輝きに耐えきれず膨張するのだと思う。わたしのような根暗な人間にも彼らは屈託無く笑いかけてくる。そのたびに、「この人、『死にたくなるレベルの猛烈に恥ずかしい過去を思い出して1人でベッドの上で悶える』ようなことしたことないんだろうな」と思いながら笑いかえす。こんな自分がとても憎い。

そんなわたしだが、最近はそれを未然に防ぐ手段を自分が持っているということに気がついた。

わたしは大学3年までほとんど化粧をしていない口であった。ナチュラルメイクが流行っているとかそういうのではなく、普通にやり方を知らなかった。あまり興味が持てなかった。最近になりやっと、化粧品が好きな姉に感化されるように自分の身なりに気をつけようとしている。

タレ目でどう頑張っても上がらなかったまつげを、マスカラ下地をつけることでくるんとさせることに成功した。感動だ。なりたいものに近づけるという行程は楽しいもので、メイクにたいしても少しずつ前向きにとらえるようになった。

この化粧にはなんと、イケメンへの苦手意識を軽減させるというオプションもついてきた。
不思議なもので、イケメンと話す機会を避けることができない状況でさらっと笑いかえすことができるようになったのだ。
なんでやろ、と個人的に考えてみたのだけれど、わたしはきっと仮面をつけることに成功したのだろうなと思う。
断じて言うけれど、仮面のようなめちゃくちゃ濃い化粧をするようになったわけではない。けれど、まつげがくるんと上を向いているだけで少し前向きになるのは事実だ。その前向きさが自信につながるのかもなと思う。

つい最近もイケメンと話す機会があった。そのイケメンは自転車屋さんだった。
パンクかなと思うほど空気がなかったのでみてもらうことにしたのだ。
そのイケメンはバンドのボーカルのようなマッシュで、二重まぶたに色素の薄い瞳、通った鼻筋、口角は人が良さそうにあがっていた。けれどわたしはその笑顔に対して笑顔で世間話をすることができた。(快挙!)
馬鹿みたいな悩みだが、大真面目だったのである。それがいま、解決しようとしていることにわたしはとても喜んでいる。

他人と自分を隔てる一枚の仮面。それくらいの薄い膜、ちょっとした距離は自分を客観的に見るには大事なのかも。

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