思えばお金の計算をするのが好きな子どもだった。自分の貯金を眺めてにこにこする我が子を見て母は卑しい子だと思っていたらしい。そりゃそうか。
なので今でも手帳にバイトの予定を入れるたび、その日に稼げるお金のことを思い気合いを入れる。今月はいくら稼げるかを考える。その真剣さは子どもの頃とは比べ物にならないほどだ。
なんせあの頃より入ってくるお金は多くなったけれどその分、出ていくお金のほうが多いからだ。
いまのわたしの趣味は読書だ。
一人暮らしの部屋の壁伝いには本がずらっと並べてある。欲しい本はとどまるところを知らない。毎月毎月、新しい本を読み、またほしくなる。
生活が破綻しているわけではないので幸せな貧乏だとは思う。
そんなわたしを見て両親は驚いている。
お金より好きなものができたのねと。
貯金することは決して悪いことではない。
ただ、それよりも好きなものができたことが嬉しい。
こうやってこれからも好きなものの更新ができていったらいいと思う。