パララン山脈の向こう

思い出せないくらい昔 私はパララン山脈の向こうに生えていた草だったんだ

夢なら鮫で

2019-04-20 12:02:53 | 寓話
夜な夜な酒を飲み 酩酊すると言う修行の果てに まんまとインチキ画家になった僕は 晴れて鮫の夢に調味料入りの絵の具で色を付けた。

僕の下半身が世界一不味かったのか 鮫は吐き出してしまったと 波の噂で知った。彼は地上の暮らしに戻るのはまっぴらだったらしく 海の底に根付き海藻になった。かもしれない。夢に色があろうがなかろうが 鮫は相変わらず海の中で生きている と言う結論に達した僕は 草になって余生を過ごそうと思う。かもしれない。〈終わり〉


根でも鮫でも

2019-04-19 13:19:30 | 寓話
鮫に喰いつかれた夢をみた。
下半身を犠牲にして 上半身はまんまと逃げる事が出来た。数え切れないほどの年月を経て その夢を思い出そうとしてみたが なんだか下半身がムズムズするような不自然 極まりない夢になってしまうのだ。夢に色が付いていないのが その理由です とそっと教えてくれたのは 調味料と契りを結んだと言う人でした。僕は夢に色を付けるために 画家になることにした。〈続く〉


7-4. 隨に または 間に間に

2019-02-10 15:38:03 | 寓話
木と言うには妙な形だけど みんながニマニマの木 と呼ぶからには 木に違いない。

大昔の私は 波のまにまに漂っている海月みたいなものだったけれど 長い間には いろいろあって 今では四角四面の陸の上に根ざして風のまにまに揺れている。

月が聞く。波が恋しいか?

海も陸も もう充分。そろそろ宙を舞い舞いしたい。