2,000人以上の経営者と面談してきた、東証一部上場の元ベンチャーキャピタリスト

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【残忍な世界史は物語る】国際政治では様々な思惑が錯綜~本当の意味での「自由」で「民主」的な国を目指して~

2021-08-31 10:00:54 | 政治

【今日の気になったニュース・記事】

 

2,000社以上の経営者と面談した、元東証一部上場のベンチャーキャピタリストが厳選!

新旧問わずに、その日、気になったニュースをピックアップ!

新しいニュースから、古い記事まで「新たな発見」をお届けいたします。

 


【本日のニュース・記事】

 

日本「スネ夫」論 〜スネ夫の家が貧乏になった時、ジャイアン(米国)とのび太(アジア諸国)はどうするだろう?(特別対談 島田雅彦×白井聡)

週刊現代(講談社)2015.11.30

 

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・日本の立ち位置は「スネ夫」?


島田 日本とアメリカの関係なんですね。
従来「ドラえもん」の比喩で言えば、日本がのび太でアメリカがジャイアンでしたが、ここはずらして、日本の対米従属、対米依存は、のび太がドラえもんへの依存から自立できない状態だと設定してみると、より現状に近いのかなと思ったんです。
「本当に自立したいのか」と、常に自民党の人には問いただしたい。
一応対米従属をやりながら、一方で右翼的にアジアに強く出て、戦前回帰のポーズをとることも許してもらえる、という形の自立であったら、それは偽自立です。
米軍基地をグアムにでもどこにでも移して、それで本当に自主防衛を狙うならまだ分かりますけど、それを全部放棄して、対米従属の方針だけは徹底させながらなおかつ自立を唱えるこの矛盾を、どうしてくれるのか。
自立を目指すのであれば、対米従属を改めて、なおかつ国民の支持を得つつ、しかも国際政治の場においてそれなりのプレゼンスを発揮できるスタンスを選ばなくてはならない。
しかしその方法は、消去法で行くと、とりあえずは憲法を守ることでしょう。
勿論、憲法九条に矛盾はありますし、現状の安全保障上、憲法九条が機能しうるかと言えば難しいところがあるでしょうが、政治原則において自立ということを唱えるのであれば、より憲法に忠実な方がよほど理にかなっていると思います。
ただ長年、護憲というと左派の方はものすごい頑固な保守だったわけですよ。
いつしか護憲というものがほとんど絶滅危惧種的な扱いになって、政治的な効力を失ってしまった。
その中で改憲を唱えれば、少なくともそれは改革ではあるのだから、新しいプログラムを志向していると見せかけることはできた。
しかしこの間の強引な憲法解釈、これによって逆に護憲が息を吹き返した感じがするんです。
そこは楽観しているんですよ。
元々自民党の悲願は改憲であり、自主憲法制定ですが、ひどい改悪案なうえに、特に安保法案はあまりにもアクロバティックな憲法解釈だったので、これは危険だというふうにみんなが目覚めてしまった。
だから今後、強引な改憲の方向には行きにくくなっただろうと思いますけどね。

 


白井 だといいんですけどね。
現在の状況は、護憲が息を吹き返すと同時に、今まで言われていた、いわゆる改憲論というものが実はほとんど何の意味もないことが分かったということだと思うんです。
改憲派は押し付け憲法を捨て去って、自分たちの憲法を自分たちで制定して自主性を回復するんだと言ってきたわけです。
今回ある意味で非常に創造的な解釈を施して集団的自衛権を認めるよう解釈変更したわけですから、事実上改憲したに等しいわけですけども、それで自主性を回復できたかというと、とてもそうは見えないわけですよね。
ますます軍事的な意味での対米従属、要はアメリカがやる戦争にお付き合いをしなければいけないということになる。
これまでは九条のおかげで従属にも歯止めがあったわけで、これを無効化すれば従属がより一層深まって全然自主にならないことがわかってしまった。
ただ、こういった理解がちゃんと広まるだろうかというのが大きな問題です。
僕は「ドラえもん」に喩えると、日本の立ち位置はスネ夫だと思うんです。
つまりジャイアンの子分なわけですよね。
スネ夫はひょっとすると一対一でけんかをしたら、腕力はのび太にすら劣るかもしれない。
でも、ジャイアンにうまく取り入っているということと、家が金持ちであるということでもって、のび太より優位に立っていたわけなんですね。
つまりジャイアン=アメリカ、スネ夫=日本、のび太=アジア諸国ですね。
アメリカに取り入るということと、アジアに対して傲慢な態度を取るというのがコインの表裏になっているわけです。
これが戦後レジームの基本構造であり、非常に病んだ構造なんですが、それでもやってこられたのはスネ夫の家がお金持ちだったからです。
ところが今何が起きているかというと、スネ夫のお父さんが破産して、貧乏になってしまったんですね。
これは厳しいですよ。
骨川家が貧乏になったらスネ夫のアイデンティティはどうなってしまうのか。
「僕のうち金持ちだから」っていうのが、のび太に対する優位性の根拠だったし、「新しいおもちゃだよ」とジャイアンに遊ばせてご機嫌をとるのに役に立ったわけですから、金がなくなったらスネ夫は終わりですよ。
だから経済大国の地位が危うくなってきて多くの日本人が今発狂しかけている状態にあるんだろうと、そういうふうに見ているんです。

 

 

・「人格解離」という対処法

 

白井 人格解離といえば、内田樹さんとの対談本(『日本戦後史論』)の中で、内田さんが安倍晋三を人格解離していると評しているんですね。
おそらく生身の安倍さんというのは悪い人じゃなくて、付き合うと結構いいおじさんなんじゃないかと。
しかしながら政治家一家に生まれて、家業としての政治家業を継がなければいけないという運命を背負わされて、しかもその家業は相当傾いている。
それこそ岸信介というのは戦後レジームを作った人ですから、安倍さんはおじいちゃんが建てた建物の中で生まれ育ってきたわけです。
安倍さんにとって困ったことには、その建物は冷戦構造の崩壊と同時に柱が抜けた建物になってしまった。
これを持続するのは不可能な状況になっているのですが、彼はその建物の中以外の環境を知りませんから、仮に本当は「なんだか居心地が悪いな」と薄々感じていたとしても「この建物はもうダメだから壊そう」とは言えない。
そういう、生身の人間では処理できないような矛盾を抱え込んでいるから、ある種解離した別人格を作って、それがいわば腹話術的に喋って、戦後のレジームを無理やり保たせようとしている、人格解離によって矛盾の厳しさに対処しているんじゃないか、というのが内田さんの見立てです。
安倍さんは、田舎の旅館の三代目とも喩えられます。
地方の過疎化した観光地で、寂れて閑古鳥が鳴いているような旅館の跡取りになった。
もう一度守り立てるのは無理という絶望的状態でも、とりあえず継がないといけないから継いだと。
そういう人たちがどういうふるまいをするか。
これは過疎化問題に悩む地方の実態に詳しい人からよく聞く話なんですけど、新しい農作物の栽培に成功したとか、新しい観光スポットを立ち上げて、いわゆる村おこし、地域おこしのスターとして脚光を浴びる人たちというのは、おしなべて地元では評判が悪い。
その原因は大概、嫉妬なんです。あいつばかり目立ちやがってという不毛な感情です。
前途が絶望的な旅館の三代目などの役回りを引き受けさせられた人は、無意識のレベルで、「こんなの持続できないんだから、つぶれちゃえばいい」と思っている。
そこに、「もう一回、地域を守り立てられますよ」と言う人が現れると迷惑で、このまま安楽死させようと思っていたのに余計なことをするなと。
だから反動的にふるまって彼らをいじめたりするんだというんです。
今の保守政治家って、様々な戦後日本の矛盾を集約的に引き受けさせられているともいえるんですね。
嫌ならやめればいいわけですが、とにかく本人としてはそういう役回りになってしまったと思っていて、それに対処するのに生身の人間では無理なので、ある種人格解離を起こしちゃう。
この見立ては、なるほど、今の情勢を見るに際しては有力な視点なのかなという気がしたんですね。

 

島田 アメリカの傀儡であったり、あるいはアメリカと結びついている官僚とか企業家とか、いわゆるアメリカンスクールの方々、アメリカの利害を日本においてうまく発揮できるように調整する人々は、外務省にも防衛省にもいっぱいいます。
実際そういう人たちが対米従属を推し進めて、アメリカにとっての日本利権をハンドリングしている。
彼らから見ると、多分安倍さんは御しやすいのだろうと思いますね。
首相なんていうのは一種象徴的な存在でよい、血筋がいいに越したことはない、そのほうが自民党内の調整もつけやすいと。
さらに岸の孫ということであれば、岸流の政治プログラムを反復するという物語はできやすい。
非常にわかりやすいプログラムを作ったうえで、首相はなるたけナポレオン三世みたいに凡庸な人間の方が好ましいわけです。
自分なりの、より良い政治プログラムを提案するようなタイプだと官僚と対立するかもしれない。
そもそもこういう人格解離状態を特に問題視しないような鈍さというのが、うってつけだったんでしょうね。
たとえば国会の答弁を聞いていると、首相が毎度毎度名前を呼ばれるのと同じくらいの頻度で中谷元防衛大臣が答弁に立つ。
そこで共産党の議員の厳しい追及があると、中谷大臣は赤面するんですね。
明らかにあれは相当に困惑しているし、恥ずかしいと思っているんじゃないか。
自分の答弁が矛盾に満ちているという自覚はあると思う。
そういう含羞がにじみ出ているんですよ。それに対して、安倍さんは何もないね。

 


白井 確かに。

 


島田 何も恥じることもないし、はぐらかしてはいるんだけど、そうとしか答えられないみたいな感じで。
この間、国連で「難民問題についてどう思いますか」と聞かれて、「日本には別の問題があります」って、まったく関係ないことを言っていて、それで恥じないというのは、すごいかもしれない、ある意味で。

 


白井 今回も安倍さんはニューヨークに行って、結局オバマ大統領と会えなかったですよね。
あれほどの貢物というか、アメリカのために強引なことをやったのに、会ってもくれないと。
僕だったら死にたくなると思うんですけど、彼は全然へっちゃらみたいです。
鈍感で恥知らずな人間は強いんだなということがよくわかりました。
アメリカにとっても、日本の首相は凡庸なくらいがいいとはいえ、ここまで低劣だとは誤算だったと思う。
オバマは嫌悪の情を隠しすらしていない。

 


島田 しかし一方で、アメリカも民主党と共和党の大きな政治方針の違いがあるし、同じ民主党内でもオバマとヒラリーは微妙に違いますし、さらにそこに軍産複合体の利害があって、これが錯綜している中である種のパワーゲームを繰り返しているわけですが、政権がアメリカで替わったとしても軍産複合体自体の影響力は変わらないので、そこががっちりと日本の尻尾をつかんでいる。
歴代首相は勿論のこと、野党のアメリカンスクールまでも鵜飼の鵜みたいに全部束ねているところがあって。
そんな中で、仮に対米従属を改めて自立に向かうために中国やロシアとも多極的な安全保障を構築するというオルタナティブを画策しても、まずは政府機関内に深くまで入り込んでいるアメリカのスパイどもに全部邪魔されるでしょう。

 


白井 それが象徴的に示された事件はやっぱり鈴木宗男・佐藤優事件だったと思います。
佐藤優さんの『国家の罠』は何度読み返しても面白い本ですが、それによると、外務省の中に当時三つの派閥、アメリカンスクールとチャイナスクールと地政学派とがあった。
地政学派というのはその時々に応じて組むべき相手を臨機応変に変えていく立場で、鈴木・佐藤ラインは地政学派だったわけですね。
あの一連の外務省内の騒乱を通じて何が起きたかというと、地政学派がつぶされ、チャイナスクールもつぶされて、つまりアメリカンスクールだけになってしまうという状況が作られた。
それがあの事件の本質だったというんですね。
その結果が、今こういう形で非常にわかりやすく出てきているわけです。
本来なら冷戦構造が終わった後、対米従属を続ける合理的な理由はなくなったんですよね。
このことは、今の日本のナショナリズムの歪みとも関係しています。
そもそも戦後日本の保守の主流は、親米保守と言われる異様なものです。
どこの国だって保守、ナショナリストというのは、たとえばフランスだったら親仏保守でしょうし、韓国だったら親韓保守のはずなのに、日本だけは親米保守なる奇怪な立場がナショナリストを名乗ることができた。
それでも、冷戦時代は一応言い訳ができた。
何せソ連という悪いやつがいると。
だからアメリカだって本当は嫌なんだけど、ソ連の力が伸びてきてそれに取り込まれることだけは絶対に避けなければならないので、当座はアメリカと組んでおこうという立場が愛国的なのだと。
しかし、この言い訳が、ソ連が崩壊することによって、もう全然成り立たなくなった。
だから九〇年代を通じて軌道修正をするための具体的な画策があったわけですけど、結局それらは全部つぶされていくわけです。
場合によっては検察の力まで動員される形でつぶされていった。
対米従属をする合理的理由がなくなった時代にこそ、ますます対米従属が強まるという、そういう異様な時代になってしまいました。

 

 

・三十年後を議論する政治


島田 もうちょっと政治を長いスパンで見ようと思った場合、今は過渡期ではあると思います。
アメリカの支配が終わって、世界的な影響力が低下して、代わりに中国が台頭してきているという中で、そろそろ日本の外交方針を改めないとならないわけです。
東アジア・太平洋地域におけるアメリカの軍事プレゼンスは依然高いけれども、そうはいっても中東に駆り出されたり、世界の警察を辞めたくなってきている中で、今まで通り、アジア・太平洋地域を完全にアメリカのコントロール下に置くことは難しい。
そこで、日本に戦費負担させたい。
だから反中で世論を盛り上げておいて、日本国民全員が常にアメリカの方に味方する、友達みたいにみなし続けたまえという感じになっているわけですが、しかしそれで安全保障が成り立つと思えるのは、向こう五年とか十年に過ぎないのではないかと。
今回、『虚人の星』でそういうことを書いているんですけど、もうちょっと長い、三十年くらいのスパンで未来を考えた時には、今の状況からは全く想像できない世界が出現しているはずです。
ちなみに今から三十年前の中国を見て今の中国を想像できた人がいるかというと、ほとんどいないわけですね。
そうすると三十年後の世界は、いくら経済の不安定要素があるとはいえ、一人あたりのGDPにおいて、中国が日本を超えてくる。
人口十倍ですから、そのまま経済規模が日本の十倍ということになり、アメリカを凌いでしまう。
それに軍事費が比例するとなれば、世界で最大の軍事大国になる。
海軍が弱いというところはあるけども、これもすぐに逆転するでしょう。
なぜならば、今はウクライナから買った中古の空母が一艘しかなくて、アメリカとの対比でいうと、三対一くらいだけど、もし台湾を領有することになれば、台湾は空母二十艘分と言われていますからね。
台湾を領有したら、尖閣なんかどうでもよくなるでしょう。
太平洋に対する中国軍のプレゼンスは圧倒的に高まります。
それも時間の問題だと考えた場合、今から、それにどう対応するのかという布石を打っておかないといけない。
現時点で中国の属国になりたくないという思いが保守は強いでしょうし、正直私も沖縄に米軍の代わりに人民解放軍が来るだけだと言われても、なんか嫌な感じがしますよね。
でも三十年スパンで見ると、それを受け入れざるを得ない状況が来るかもしれない。
しかし、そういう三十年後の話の議論は、普通の政治家は取り合わないというか、そういうことを考えること自体を放棄しています。

 


白井 沖縄に米軍基地の代わりに中国軍基地があるという状況は、今と同等か今よりも悪夢かもしれないという話ですね。
要はそういうことが起こらないように、中国の発展の仕方がどうあるべきかを考えてください、かつて中国を苦しめた帝国主義列強が追求した覇権主義はよくありませんよ、ということを説いていくしか基本的にはないと思います。
ちなみに、保守は沖縄で中国脅威論をふりまきたがるわけですけど、これ全くの逆効果なんですね。
沖縄の人の目で歴史を振り返ってみると、日本人にやられたという記憶はあるし、アメリカ人にやられた記憶もある。
しかし中国人に暴力によって支配されたという記憶はないわけですね。
彼らにとっては中国脅威論はまったくの大ウソじゃないかということがリアルにわかるわけです。
中国脅威論というけれど、実際中国から日本が侵略を受けたのは、元寇くらいしかない。
ただしもちろん近代世界の原理の中で大国化していくと当然違った方向へ行くことも考えられるので安易な楽観視はできないことですけど、しかしながら当然交渉の余地はある。

 


島田 沖縄から見れば、中国との朝貢関係、貢物をやって非常に安定的な外交関係を作るのはある意味自然だし、中国にしてみれば先の戦争における復讐は形だけでもしたいでしょうが、その復讐をなるべく軽く済ませる。
そのうえで、中国が常に理性的にふるまえるような助言をする友人的な立場ということを目指すしかない。
実際アメリカが対外的にやってきたことのアコギさと中国がやってきたことを比べた場合、アメリカの方が悪かろうと思います。

 

 

白井 遥かにアコギです。アメリカが悪いことをやった時にはそれは十分の一くらいに希釈されて伝えられるのに対して、中国のそれは十倍にして伝えられるという感じがありますね。

 


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日本「スネ夫」論 〜スネ夫の家が貧乏になった時、ジャイアン(米国)とのび太(アジア諸国)はどうするだろう?(特別対談 島田雅彦×白井聡)
週刊現代(講談社)2015.11.30
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/46630?imp=0

 

 

 

 


本日は3つの記事をご紹介いたします。


2つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 


■なぜ岸信介は「A級戦犯」として起訴されなかったのか

東京裁判のナゾ

週刊現代(講談社)2016.10.16

 


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・開戦責任は重いのに…なぜ?


このところずっと岸信介にまつわる謎を追いかけている。

岸はなぜ、A級戦犯として起訴されなかったのだろうか。


東条英機内閣を倒して戦争終結に貢献したからだ、と言いたいところだが、岸の調書類を読むかぎりではちがうらしい。

前回(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49842)ふれたように、岸の第1回尋問(1946年3月7日)を担当したG・サカナリ中尉らは、倒閣の顛末を聴いたうえでなお「岸は被告席を飾るにふさわしい」と報告している。


つまり東条内閣の閣僚としての開戦責任はそれほど重いということだ。

真珠湾奇襲への米国民の恨みは深い。


ついでに述べておくと、サカナリ中尉らによる岸の人物評価も甘くない。

中尉らは「岸はおそらく(一貫した原理原則のない)機会主義者で、自分に都合のいいようにものごとを利用する人物だ」と調書のなかで指摘している。


と同時に「岸の人脈は広い。

財界、官界、軍、宮中にまで及ぶ」「(岸らの満州)人脈は、東条内閣期のものの考え方に直接的な影響を与えた」などと、その後の岸研究の成果を先取りするような分析もしている。


この尋問から7日後の14日、国際検察局捜査課の執行官であるバーナード少佐は、モーガン捜査課長(FBI出身)に「岸を東京裁判の被告第一グループに入れるべきだ」という文書を送っている。

少佐は、その理由として次の点を挙げた。


「岸は(日独伊三国同盟を結んだ)松岡洋右外相の甥で(国家総動員体制を作った)革新官僚たちのリーダーと目されていた。それに岸は、満州という偽国家の法体系を作り、東条内閣の閣僚もつとめた。しかも、彼は軍人でないのに、青年将校一派と密接な関係を築いていた」


バーナードの報告の翌日、国際検察局のキーナン局長が「状況が許すなら、東条内閣の閣僚全員を被告にしてほしい」と求めたことも前回ふれた。つ

まり岸の起訴に直結するメッセージが捜査現場と、上層部の双方から送られたことになる。


が、結局、岸は起訴されなかった。


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■なぜ岸信介は「A級戦犯」として起訴されなかったのか
東京裁判のナゾ
週刊現代(講談社)2016.10.16
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/49940?utm_source=ise&utm_medium=ise

 

 

 

 


最後3つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 


■安倍首相の「安保法制」妄執の背景に、敬愛する祖父・岸信介がA級戦犯を逃れるため米国と交わした裏取引きが!

エキサイトニュース 2015年8月17日 野尻民夫

 

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安倍晋三首相が愛してやまない祖父、岸信介は1945(昭和20)年9月15日にA級戦犯容疑で逮捕される。

当時は誰もが岸は有罪とみていた。


それはそうだろう。

満州官僚時代に軍部と結託してアヘン取引に手を染め、アヘンを求めて中国領土を侵す軍をバックアップし続けた。


取引で得た巨額の利益を戦費に回し、一部を政治資金として活用して軍国主義者の象徴といえる東条英機を首相にまで昇りつめさせた。

さらには東条の片腕として商工大臣、軍需次官を務め、国家総動員体制、大東亜共栄圏の自給自足体制の確立を遂行するなど、戦時日本の寵児として辣腕を振るった。


岸が戦争遂行の中枢にいたことは疑いようがない。

そんな岸を戦勝国が犯罪者リストから外すわけがないのである。


にもかかわらず、岸は満州時代の盟友・東条英機の絞首刑が執行された翌日の1948(昭和23)年12月24日に不起訴処分で釈放された。

東条の絞首刑と岸の生還、明暗を分けたというには余りにも落差の大き過ぎる結末だった。

 
あるいは岸の満州時代の上司であり、東条内閣では内閣書記官長として共に支えてきた星野直樹は終身禁固刑に処せられた。

満州では岸は星野よりはるかに手を汚し、閣僚として戦争遂行にかかわった度合いも、岸のほうが大きかったはずである。


当然、研究者やジャーナリストにとってもこの処遇の違いは興味の対象となる。

岸はなぜ、戦犯を逃れたのか。


ひとつは、岸がもともと用意周到でなかなか尻尾がつかめない存在であることがあげられるだろう。

有名な「濾過器発言」にその片鱗が垣間見られる。


岸は1939(昭和14)年10月に満州を離任する際、数人の後輩たちを前にこう語っている。


「政治資金は濾過器を通ったきれいなものを受け取らなければいけない。問題が起こったときは、その濾過器が事件となるのであって、受け取った政治家はきれいな水を飲んでいるのだから、かかわりあいにならない。政治資金で汚職問題を起こすのは濾過が不十分だからです」


要は、証拠を残すなということであり、嫌疑に対して敏感になれということでもある(実際、岸は東条内閣時代に書いた書類をすべて焼却してしまっている)。

だが、それだけでは訴追はまぬがれない。


岸はアメリカに対して具体的な"工作"を行っていた。

そのひとつは再びアヘン絡みの話だ。


東海大学名誉教授、太田尚樹氏の著書『満州裏史 甘粕正彦と岸信介が背負ったもの』(講談社文庫)に元ハルピン特務機関員の田中光一のこんな証言が載っている。


「麻薬はどこの国でも最大の関心事でした。もちろん、アメリカだってそうです。戦後、GHQが克明に調査して関係者に尋問したのに、まったくと言っていいほど処罰の対象に指定しなかったのは、不思議だと思いませんか。あれは明らかに、情報提供の代償となったからです。甘粕はもうこの世にいませんでしたが、里見、岸なんかが無罪放免になったのは、そのためなんです。エッ、東条にはどうかって? 彼は直接戦争責任に結びつく訴因が多過ぎて、GHQは阿片の件で取り調べるだけの時間がなかったのです。アメリカは裁判を急いでいましたからね」


証言に出てくる「里見」とは、里見甫のことだ。

「アヘン王」と呼ばれた陸軍の特務機関員で、上海を拠点にアヘン取引を仲介していた。


岸とアヘンの関わりを調べる中で繰り返し出てくる名前でもある。

千葉県市川市にある里見の墓の墓碑銘を揮毫したのが岸だったことは前回、紹介した。


その里見も戦後、A級戦犯容疑者として逮捕されている。

そして、田中の証言通り、不起訴者リストの中に「里見甫」の名前は載っていた。


つまり、岸や里見はアメリカにアヘン情報を提供する見返りに戦犯訴追を免れたというわけだ。

もうひとつ、岸には戦争責任逃れのための「東条英機裏切り」工作というのも指摘されている。


満州の関東憲兵隊司令官だった東条英機が中央に戻り、陸軍次官、陸軍大臣、首相へと上り詰める原動力になったのが、岸がアヘン取引で得た豊富な資金だったことは前回書いた。

岸は東条内閣を商工大臣、軍需次官として支え、戦争を主導した。


ところが戦争末期にこの仲が決裂する。

それどころか、岸VS東条の対立がもとで内閣が崩壊してしまったのだ。


毎日新聞に掲載された「岸信介回顧録」(1977年5月11日付)によれば、岸は〈サイパン陥落のあと「この戦争の状態をみると、もう東条内閣の力ではどうしようもない。だからこの際総理が辞められて、新しい挙国一致内閣をつくるべきだ」ということでがんばった〉という。


そして、東条内閣は瓦解。下野した岸は郷里に帰り、防長尊攘同志会をつくって、引き続き「打倒東条」の政治活動を続けた。

この一連の行動について毎日新聞記者だった岩見隆夫氏が非常に興味深い証言を採取している。


証言の主は満州時代の岸の部下だった武藤富男だ。

武藤は東条内閣が崩壊した直後の昭和19年7月、岸とともに満州を牛耳った「二キ三スケ」(東条英機、星野直樹、岸信介、鮎川義介、松岡洋右の語尾をとってこう言った)の一人、星野直樹(前出、A級戦犯)を訪ねた。


〈その折、星野は武藤にこんなつぶやきをもらしている。「岸は先物を買った」「どういう意味ですか」
「東条内閣を岸がつぶしたということだ」 しかし、どうして先物買いになるかについて星野は語ろうとしなかった。「戦後、再び星野さんに会ったとき、もう一度『先物を買ったというのは、岸さんが敗戦を予期していたということなのですか、それとも戦犯を免れるためという事まで考えて岸さんは東条内閣をつぶしたとあなたは見通したのですか』と問い質してみたのですが、相変わらず、星野さんは黙したまま答えてくれませんでした」と武藤はいった〉(岩見隆夫『昭和の妖怪 岸信介』中公文庫)


この「先物買い」というのはまさに、敗戦を見込んで、わざと東条と反目したということだろう。

前出の太田尚樹も同じ見方をしている。


〈打倒東条は国難の打開、つまり国家のためという大義名分が成り立つ一方で、戦犯を逃れることはできないまでも、連合軍から大きなポイントを稼ぐことができると読んでいた〉

〈満州以来の二人の関係は、刎頚の友といった関わりではなく、結局は、互いに利用し合っていただけだった〉

〈つまり東条は岸の頭脳と集金力を利用し、岸は陸軍を利用しながら権力の座を目指したが、その陸軍の頂点に、権力の権化と化した東条がいた。だがアメリカ軍の攻勢の前に、東条の力など見る影もなくなってきている。こんな男と便々とつるんだまま、一緒に地獄に落ちるのはご免である〉(前掲『満州裏史』)


この変わり身の早さこそ岸の真骨頂といえるが、さらに、岸には獄中で、もっと重大なアメリカとの政治的取引を行っていたのではないか、との見方がある。

その取引が、岸を訴追から救い、そして戦後、内閣総理大臣に押し上げた最大の理由ではないか、と──。


それが何かを語る前に、戦後アメリカの対日政策には2つの流れがあったことを指摘しておく必要がある。

ひとつは民政局(GS)に代表されるニューディーラーを中心としたリベラル勢力で、日本国憲法の素案づくりにも携わった。


民主化を徹底する立場から旧指導者への処分も容赦がなかった。

もうひとつは治安を担当する参謀本部第2部(G2)を中心とした勢力で、対ソ連、対中国戦略を第一に考える立場から、日本を再び武装化して"反共の砦"に育て上げようと考えていた。


GHQ内部ではこのふたつの勢力が対立していた。

占領当初はGSの力が強かったが、米ソ冷戦が本格化するにつれて「反共」のG2が「対日懲罰」のGSを凌駕するようになる。


こうした流れの中で、G2は巣鴨拘置所に拘留されていた岸との接触をはじめた。

再び、前回紹介した原彬久氏の『岸信介―権勢の政治家―』(岩波新書)を引く。


〈G2およびこれと連携する人脈が獄中の岸と接触していたことは、確かである。例えばGHQ経済科学局のキャピー原田は、巣鴨の岸から「戦後復興」問題でたびたび意見を聞き、しかも原田みずから上司のマーカット少将に「岸釈放」を説いている(朝日新聞、平成六年九月二二付)。いずれにしても、こうした文脈を抜きにしては、岸が不起訴、無罪放免となっていよいよ戦後政治の荒涼たる舞台に放たれるその道筋は理解できないだろう〉


G2は実際、1947(昭和22)年4月24日付で最高司令官のマッカーサー宛に岸の釈放を求める異例の「勧告」まで出している。

獄中で岸はアメリカとどんな取引をしたのだろう。


自らの命のためならかつての盟友を売る男である。

いったい何と引き換えに、無罪放免を勝ち取ったのか。


これについては「週刊朝日」(朝日新聞出版)2013年5月24日号が渾身のリポートを掲載している。

〈「星条旗」の下の宰相たち〉というシリーズの〈第3回「ストロングマン」〉。


筆者は同誌の佐藤章記者だ。

まず、岸はアメリカにとってどういう存在だったのか。


同記事を引く。


〈戦後の米国のアジア政策は、米国の国益を守ってくれそうな、その国における「ストロングマン」を探し出すことから始まる。韓国における李承晩、台湾における蒋介石がその典型だ。日本においては吉田茂であり、鳩山一郎、緒方竹虎と続いて、1950年代半ばに岸の番が巡ってきた〉


では、岸に与えられたミッションは何だったのか。


〈(日本国憲法)第9条があるために日本は自衛目的以外の軍隊が持てず、米国との相互的な防衛能力を保有できなかった。つまり、米国が攻撃を受けても日本は援軍を出すことができない。さらに言えば、米国の軍事戦略に乗っかる軍隊を持つことができない。この相互防衛の考え方が、集団的自衛権の解釈として、1951年の旧日米安保条約締結以来、日米間の問題となった〉


まさにいまの安倍政権が強引に進める新安保法制につながる話だ。

この問題解決こそ、岸がアメリカから言われた最大のミッションで、そのために最初に着手したのが〈「建設的勢力」の結集〉つまり保守合同だ。


では、カネはどうしたのか。

前出の佐藤記者は米アリゾナ州ツーソンに飛んだ。


アリゾナ大学歴史学研究室のマイケル・シャラー教授に会うためだ。

シャラー教授は米国務省の歴史外交文書諮問委員会委員を務め、非公開資料にも目を通すことができる。


以下、佐藤記者によるインタビューだ。


〈――岸元首相に対してCIAから資金提供があったという話をどう思いますか?「そういう証拠はあると思う。賄賂的な意味合いよりは、派閥の運動資金や政治キャンペーン資金というような形で提供されたと理解している」――資金はどのような形で渡されたのでしょうか?「当時、CIAから経済団体や企業を通じて岸のほうに資金が流れたという記述を米国側の書類で私は目にしたことがある」〉(前同「週刊朝日」より)


これについては、CIAから自民党への秘密献金をスクープしたニューヨークタイムズのティム・ワイナー記者も、その著書『CIA秘録』(日本版は文藝春秋)でこう断言している。

〈CIAは1948年以降、外国の政治家を金で買収し続けていた。しかし世界の有力国で、将来の指導者をCIAが選んだ最初の国は日本だった〉


〈釈放後岸は、CIAの援助とともに、支配政党のトップに座り、日本の首相の座までのぼりつめるのである〉

岸は、日本におけるアメリカの国益を実現するため、アメリカによって選ばれ、アメリカの資金でつくられた首相だったということだ。


A級戦犯容疑者の身からわずか9年、公職追放解除からたった5年足らずで政界トップに上り詰めた秘密がここにある。

その岸が首相在任中にアメリカに言われてやった最大の仕事は、言うまでもなく日米安保条約の改定だ。


一般に、旧安保条約では日本がアメリカに基地を提供する一方でアメリカの日本防衛義務が明記されていないとの批判があったが、新条約ではそれを盛り込ませることができたと評価されている。

だが、アメリカの狙いはそこではなかった。佐藤記者はこう書いている。


〈新条約は5条で米国の日本防衛義務を盛り込んだが、続く6条で、米国のアジア戦略のために在日米軍を利用できる「極東条項」が組み込まれた。米国の本音を明確にした条項だ〉

しかもこの「極東条項」の「極東」の範囲が明確でなく、アメリカは日本の基地を好き勝手に使えるようになった。


事実、新安保条約締結から50年以上経つが、米軍が日本防衛のために出動したことは唯の一度もない。

反対に、米軍がアメリカの戦争のために日本の基地を自由に使うことは日常化している。


安保条約改定が誰の指示よるものだったかがわかるだろう。

佐藤記者はこうした事実をさらに裏付けるため米ワシントン郊外にある米国国立公文書館別館を訪ねる。


そこでCIAが作成した「岸信介」のファイルの閲覧を請求し、驚くべき事実と遭遇する。

なんと、CIAのファイルにはたった5枚の資料しか入っていなかったのだ。


他のA級戦犯容疑者についてはたとえ不起訴でも膨大な資料が残されている。

例えば、緒方竹虎は1000枚近く、正力松太郎は500枚ほど。


しかし、岸はたったの5枚しかない。

これは明らかに異常だ。


実は、岸に関するCIA資料はほとんどがまだ秘密指定を解除されていないのだという。

つまり、岸とアメリカの関係はいまだに表に出せない内容が含まれているとアメリカが判断しているということなのだ。


それは、アメリカの対日占領政策がまだ継続中だということでもある。

しかし、こうした歴史を振り返ると、いま現在の安倍政権がやろうとしていることの謎が解けてくる。

 

 

Q:安倍首相はなぜ、集団的自衛権行使にあそこまでこだわるのか?

A:おじいちゃんが不起訴の見返りにアメリカと約束したことだから。

 

Q:安倍首相はなぜ、日本国憲法を「みっともない」と毛嫌いするのか?

A:おじいちゃんを助けてくれたG2と敵対する人たちがつくった憲法だから。

 

Q:安倍首相はなぜ、改憲しようとしているのか?

A:それも、おじいちゃんが不起訴の見返りにアメリカと約束したことだから。

 

Q:安倍首相はなぜ、沖縄の「屈辱の日」をお祝いしようとするのか?

A:おじいちゃんの公職追放がやっと解除された記念の日だから。

 

Q:安倍首相はなぜ、「侵略」や「おわび」や「反省」をためらうのか?

A:あの戦争はおじいちゃんも深く関わった自存自衛の聖戦だから。

 

そう。

新安保法制も改憲も、すべては、おじいちゃん、岸信介とつながっているのだ。

 

~~~
■安倍首相の「安保法制」妄執の背景に、敬愛する祖父・岸信介がA級戦犯を逃れるため米国と交わした裏取引きが!
エキサイトニュース 2015年8月17日 野尻民夫
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_1400/

 

 

 

 

 

 

 

迷走する日本の政治。

新型コロナウイルスによる迷走ぶりは、目をみはるばかりです。

 

コロナ発生から1年以上経過しても同じような問題を抱え、ほぼ1年前と同じようなマスコミの報道。

なぜか、政治とマスコミはコロナを煽るばかり。

 

自粛、自粛、自粛・・・。

万延防止、緊急事態宣言、ロックダウン・・・。

ワクチン、ワクチン、ワクチン・・・。

 

なぜ、1年以上も、同じ状況なのでしょうか。

ワクチン政策以外、実行・行動力が伴わない政治。

 

まるで手足を縛られているかのような日本の政治が、この1年つづいていると思う方もいらっしゃるかもしれません。

 

どうして、変わらないのでしょうか。

どうして、変われないのでしょうか。

 

このままでは、ごく一部の富裕層以外、私たちの大半の人たちはどんどん貧しくなるばかり。

倒産、閉店、失業、ボーナス削減、残業削減、などなど。

 

自粛や緊急事態宣言など、日本経済に与える影響も、長引けば長引くほど深刻になっていきます。

さらに、中小企業のみならず、大企業に至るまで深刻な影響が出てきています。

 

日本の企業が赤字となれば、社員の給与は上がりません。

日本の企業が倒産すれば、当然失業者も増加します。

 

コロナ過の政治的判断が緊急事態宣言やロックダウンの政策ばかりでは、日本経済に大きな影響を与えるのは確実です。

他国では、コロナ対策と経済成長を両立させ、経済成長を遂げている国もあります。

 

ただ。

今の日本政治のコロナ対策はワクチン一本打法のみ。

 

なぜか、政治で即時行動するのは、自粛と緊縮、私権制限。

まるで「自由」を奪っていくかのような政治判断ばかりと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

そもそも、自民党とは「自由民主党」。

その名に恥じない政治を行っているのでしょうか。

 

日本人の国益を見据え、日本の未来を真剣に考えているのでしょうか。

 

そういえば、以前、「大手多国籍製薬会社・ビッグファーマ」から謝礼を受け取っていた番組コメンテーター医師の記事を見かけました。

もし、政治の世界でも同じようなことがあったら・・・。

 

権力を有する為政者が自国をないがしろにし、他国の利益のみで政治決断をしてしまうという恐ろしいことが現実化してしまう可能性があります。

 

例えばですが、会社組織でも同じことが言えるかもしれません。

もし、同じ会社の役員が、実はライバル会社に買収されていたとしたらどうでしょうか。

 

その役員が自社の利益を優先せず、ライバル会社の利益のために様々な経営判断を実施していたら。

経営は自滅の判断を推進し、その市場でライバルに完敗、会社組織存続さえ危うくなるでしょう。

 

最悪の場合、その会社は消滅してしまいます。

組織では、その組織の利益を優先する人がトップを務めなくてはなりません。

 

その組織で働く人のためにも。

そしてその組織で働く家族のためにも。

 

国家運営も同じではないでしょうか。

総理や大臣が他国の「意向」を優先していたら、その国は、衰退の一途を辿るのではないでしょうか。

 

表向きは自国利益優先と発言するかもしれません。

改革にしても、法改正にしても、メリット部分を強調するかもしれません。

 

自らの影響下にあるマスコミを使って、報道をコントロールするかもしれません。

 

でも。

実際の行動が、実際の運用が、実際の結果が、どうであるのか。

 

深く考え、継続的にその経緯を見つめ「本当の国益」であるのか、見抜くことも必要ではないでしょうか。

テレビなどのマスコミの報道も一部の権力に偏っていることも否めません。

 

その政策が、その法改正が、本当に日本の国民のためであるのかどうか。

見極めることが、子どもたちの将来の日本を守ることにつながるのではないでしょうか。

 

優しい人が多い日本。

長年、周りを海で囲まれた島国であったことが「優しい日本人」を育んできたとも言えます。

 

ただ。

大陸では弱肉強食、国や民族での争いを続けてきました。

 

強い国が残り、弱い国が駆逐される。

様々な世界各地で繰り広げられた、残忍な世界史は物語っています。

 

裏切りや買収、陰謀や策略・・・。

国際政治は、様々な黒歴史を含みながら、今の世界を形成してきました。

 

アメリカやカナダはインディアンなどの様々な先住民が生活を営み、オーストラリアもアボリジニなど原住民が住んでいました。

アフリカや中東も、様々な侵略や民族紛争を続けてきました。

 

その中には、様々な策略や裏切り、買収が存在してきました。

これが現実の世界史ではないでしょうか。

 

日本人は、この危機意識が低いと言われています。

 

「魚は頭から腐る」ということわざがあります。

官庁、行政、病院、学校、飲食店やサービス業等々。

 

今、日本は津々浦々、地方にも、様々なところで劣化が進んでいます。

政治が、経済に大きな影響を及ぼし、そして私達日本人の生活にも大きな影響を与えていきます。

 

政治が自国をないがしろにするならば、その影響は、官僚やマスコミも、様々な業界団体、業種、地域にも幅広く影響が広がっていくのではないでしょうか。

コロナ以降、世界各国は保守的な考え方に移行しています。

 

国際政治では、ワクチン政治、マネー戦争、宗教対立など様々な思惑が錯綜しています。

それぞれの国が、それぞれの国益を最優先し、大国が多くの国を翻弄する時代です。

 

日本、そして日本人を守るのは、日本の政治リーダーの役目ではないでしょうか。

 

保守でも、リベラルでも、かまいません。

大事なのは、日本を、日本人を、守ることができるのかどうか。

 

他国のためではなく、自国のために。

日本のために。

 

今、私たちの置かれている状況は、今後の日本の未来を決定づける、重要な時期に差し掛かっているのかもしれません。

 

本当の意味での「自由」で「民主」的な国を目指して。

 

 

 


【緊急事態宣言は効果なし!】緊急事態宣言の効果は絶望的なほどほぼ皆無だ~ロックダウン「恐怖の支配」で失うものとは~

2021-08-19 18:47:00 | 政治

【今日の気になったニュース・記事】

 

2,000社以上の経営者と面談した、元東証一部上場のベンチャーキャピタリストが厳選!

新旧問わずに、その日、気になったニュースをピックアップ!

新しいニュースから、古い記事まで「新たな発見」をお届けいたします。

 


【本日のニュース・記事】

 

■「緊急事態宣言は効果なし!」舛添要一が安倍政権“新型コロナ”無策を痛烈批判

文藝春秋 2020/04/18 2020年5月号

 


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――4月7日に緊急事態宣言が発令されて1週間が経過しました。

 


舛添 私は極めて少数派だと思いますが、「緊急事態宣言はやる意味がない」と考えています。

今更やったところで、感染の封じ込めに効果はないだろう、と。

安倍政権は、なぜ緊急事態宣言をしたのでしょうか。

それは、新型コロナウイルス対応の初動の遅れを取り戻そうとしたからに他なりません。

新型コロナウイルスは、昨年12月8日に武漢で発生しました。

日本で初めて感染者が出たのは今年1月15日。

しかし、専門家会議の立ち上げなど、政府が手を打ったのは2月に入ってからでした。

すなわち1カ月以上何もしていなかったわけです。

 

 

・致命的だったのは「PCR検査の不徹底」

 


舛添 安倍政権の初動の失策は、大きく2つあります。

第一には、感染者を症状別に応対する「トリアージ」をしなかったこと。

本来であれば、最初から重症者は感染症の指定病院、中くらいの人は普通の病院、軽症者はホテル……といった具合に、症状別に隔離して対処にあたるべきでした。

隔離施設としては五輪の選手村だって空いている。

しかし、それをやりませんでした。

2つ目が、PCR検査を徹底してやらなかったこと。

これが致命的でした。

感染者の実態が掴めなくなってしまったからです。

少し前、安倍応援団のネトウヨを中心に「PCR検査をしたらイタリアみたいになって医療体制が崩壊する」「それ見ろ。

韓国はPCR検査をやって感染者が増えているじゃないか」という言説が出回りました。

私はこれはまったくの嘘だ、PCR検査はすぐにでも徹底的にやるべきだ、と主張していました。

しかし、政府はPCR検査をやってきませんでした。

ここにきて、PCR検査をやることがいかに重要かが明らかになりつつあります。

 

 

・日毎の感染者数に一喜一憂しても意味がない

 


舛添 アメリカとイタリアでは死者が急増していますよね。

一方、ドイツでは死者が抑えられている。

この明暗を分けた差は何だと思いますか。

ドイツの医療体制が頑強だということもありますが、最大の要因はアメリカ・イタリアはPCR検査をちゃんとしておらず、ドイツは初動から徹底的にやっていたということなのです。

ところが日本は、今この段階に来ても、PCR検査を受けるためには時間がかかっているという。

感染が確認された森三中の黒沢かずこさんが良い例です。

「検査を受けたい」と言っても、受けさせてもらえなかったといいます。

こんなことは、あり得ないことです。

今、日本人は、日毎の感染者数で一喜一憂していますよね。

今日は100人超えた、今日は100人下回った、と。

しかし、これは全く意味がありません。

単に検査数に比例しているだけなので、感染者の実態が把握できていない。

日本はまさに今、アメリカとイタリアの轍を踏むかもしれないのです。

さすがにこうした初動の遅れが致命的なミスであると政府も気づいたのでしょう。

4月に入り、慌てて緊急事態宣言を出しました。

 

 

・緊急事態宣言と一斉休校は“北海道のマネ”

 


――なぜ、政権内で「緊急事態宣言をする」という案が浮上してきたのでしょうか。

 


舛添 2月末、感染者が急増した北海道で鈴木直道知事が緊急事態宣言と一斉休校を打ち出し、急増していた感染者を封じ込めました。

政府の緊急事態宣言は、これを模したものだろうと私は見ています。

安倍政権が北海道の対応を参考にしているのは間違いありません。

2月27日に安倍首相が唐突に3月中の全国一斉休校を発表しましたが、これは明らかに北海道ケースがうまくいったことを意識したものでした。

鈴木北海道知事は今回の対応で相当、評判を上げました。

安倍政権は支持率を上げるために「この方法は使えるな」と判断したのでしょう。

 


――緊急事態宣言をすると、政府は何ができるようになるのでしょうか。

 


舛添 自粛要請が出せるようになるくらいで、政府ができることは、出そうが出すまいが実はほとんど変わりません。

緊急事態宣言を出せるようにするために、政府は新型インフル特措法を改正しました。

私はこの改正法自体、必要なかったと考えています。

そもそも、緊急事態宣言なんて既存の新型インフル特措法の解釈を変えればできることです。

もっと言えば、法的根拠がなくたって、リーダーが「今は緊急事態です」と国民に語りかけるだけで意味がある。

 

 

・先に給付と補償を決めておくべきだった

 


舛添 ところが、おそらく安倍首相の秘書官が「法律がないとできませんよ」と囁いたのでしょう。

だから改正法という案が出てきたわけです。

法律を変えれば、「せっかく“伝家の宝刀”を作ったのだからこれを使わないといけないな」となる。

それで緊急事態宣言をするに至った。

緊急事態宣言なんかをする前に、もっとやるべきことはたくさんありました。

まさにトリアージやPCR検査などがそう。これらは緊急事態宣言をしなくてもできることでしょう。

法律を変えることが大切なのか、国民の命を守ることが大切なのか。

安倍政権がやっていることは、まったくもって本末転倒です。

 


――緊急事態宣言による自粛要請は、経済へ与える影響が大きいと思われます。

 


舛添 自粛要請によって、日本経済は危機に陥るでしょう。

すでに倒産した企業がいくつか出ていますし、失業者も今後増えていく。

政府は「108兆円の緊急経済対策を打つ」と自信満々に言っていますが、実はそのうち真水はわずか39兆円。

GDPの1割にも満たない金額ですから、効果はほとんど期待できないでしょう。

さらに最近になって与党間で「1世帯30万円給付」とか「一律10万円給付」などと議論がなされています。

これは果たして自粛要請をした後に悠長にする議論でしょうか。

すでに営業できなくなり、食っていけなくなる人が出ているんですよ。

本当に国民のことを考えるのであれば、給付や補償の話を決めてから緊急事態宣言をするべきでした。

 

 

・トランプのコロナ対策は何が間違いだったか?

 


――各国の状況はどうでしょうか。たとえば、アメリカは3月13日に国家非常事態宣言を出しました。

 


舛添 アメリカの新型コロナの対応は後手後手に回っています。

あっという間に感染者数は世界一になってしまいました。

アメリカと日本の状況は、非常に近いと思います。

トランプ大統領は、何がダメだったのでしょうか。

ひとことで言うならば、感染症対策に政治的イデオロギーを持ち込んでいることだと思います。

感染症対策は、科学・医学・疫学でやるべきで、イデオロギーは絶対に持ち込んではならない。

そのタブーを犯したから失敗したのだと思います。

「オバマケアは廃止する」「民主党時代のものは負の遺産」

トランプは一貫してこう言っています。

今回の新型コロナ問題で、オバマケア廃止により無保険者が増加傾向にあることは、事態を悪化させています。

だがそれを認めようとはしません。

そして、今回の新型コロナに関しても、3月10日の段階で「たいしたことではない。

すぐに終息する」などとタカを括っていました。

ところが、感染が拡大してくると「チャイナ・ウイルス」と差別的な発言をしたり、WHOを非難したり、責任転嫁をするような言動に出ています。

 

 

・中国と韓国を参考にしなかった安倍政権

 


舛添 安倍政権の対応にも、トランプ氏と似た部分があるのではないか。

私はそう思えてなりません。

とりわけ中国や韓国の新型コロナ対応への視線にそれを感じます。

私は、彼らには見習う部分は多いと思います。

たとえば韓国はかなり初期からPCR検査を徹底的にやり、ドライブスルーで受けられるような体制を整えました。

その結果、直近では1日の感染者数が30人を切るところまで押さえ込むことに成功していますし、何よりもPCR検査を徹底したことで、感染経路不明者がわずか2%台です。

中国は発生源の国でもあるのだから症例の宝庫です。

これを使わない手はないはずです。

ところが、安倍政権は隣国の知見を一切参考にしませんでした。

イデオロギー的に中国・韓国が好きではないのは、別に構いません。

しかし今はそんなことで物事を判断している場合ではない。

使える部分は使うべきでした。

結局、ただ無策を重ね、挙げ句の果てには感染者数が増えて慌てふためき緊急事態宣言を出したというわけです。 

 

 

・ドイツとイギリスは“緊急事態宣言”など出していない

 


舛添 欧州に目を向けても、たとえばドイツやイギリスは、そもそも緊急事態宣言など出していません。

ジョンソン英首相、メルケル独首相は当初、集団免疫論に基づいて終息させようと判断しました。

私も最終的な解決手段は、集団免疫論だと思っています。

1つの集団(国家)の中で、6、7割の人が免疫をもてば、それが鉄壁になって封じ込める、という考えです。

分かりやすくいうならば、ワクチンの完成までは時間がかかるから現実的手段として「気がつかないうちに感染して治っちゃった」という人を増やせばいいのではないか、ということです。

ジョンソン氏もメルケル氏も、当初はその理論でいこうとしたのです。

しかし理論としては正しいけど、最終的には「それはやめよう」という政治判断を下しました。

疫学理論をしっかり学び、それを基に方針転換をしたわけです。

行き当たりばったりの政策を続ける安倍政権、そしてコロナウイルスを甘く見ていたトランプ政権とは雲泥の差です。

繰り返しますが、この優秀なリーダーが率いる2つの国は緊急事態宣言を出していません。

しかし、打つべき手はちゃんと打っている。

日本は見習うべきではないでしょうか。

 

 

・元凶は取り巻きの「官邸官僚」たち

 


――政策には、官僚が密接に関わっています。舛添さんは、「文藝春秋」5月号掲載の記事で、新型コロナウイルス対応における官僚の責任を追及されていました。安倍政権と官僚の関係の問題点はどこにあると見ますか。

 


舛添 今回のコロナ対応が失敗した元凶は、間違いなく「官邸官僚」つまり、安倍首相の取り巻きの官僚たちだと私は考えています。

たとえば、首相補佐官の今井尚哉氏(経済産業省)、和泉洋人氏(国土交通省)などは、第二次安倍政権の発足時からずっと官邸に居座っています。

なんだかんだ言って、首相をはじめ国会議員は選挙の洗礼を受けていますから、あまり無茶苦茶な政策はしないんです。

それなりのブレーキがちゃんとかかる。

ところが、彼らは違う。

それがないから、完全な「独裁」になる。

しかも、5年も6年も総理の側にいるわけで、並の閣僚など見下しているわけです。

そんな連中が、外界と断絶した“孤島”の官邸にいるわけですから、世間の感覚がわからなくなって当たり前です。

「アベノマスク2枚」がそれを象徴しています。

1世帯2枚でなんとかしろ、と言われても普通の家庭は困惑しますよね。

さらに安倍首相は4月12日、ツイッターにミュージシャンの星野源さんの音楽に合わせて自分が寛ぐ動画をアップしましたよね。

これもおそらく官邸官僚のアイデアでしょうが、自宅にいたくても仕事に行かざるを得ない人たちへの配慮が全くありませんでした。

徹底的にズレている。

むしろ今、打ち出すべきは、クオモNY州知事のように、不眠不休で働く政治リーダーの姿、必死に戦う姿であるべきです。

しかし、官邸官僚は、もはや“普通の感覚”がわからなくなってしまったのでしょう。

「絶対的な権力は、絶対に腐敗する」

今回のコロナ危機は、奇しくも歴史家のジョン・アクトンが残したこの言葉の通り、官邸の感覚がいかに国民とずれているかということをあぶり出したのでした。

 


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「緊急事態宣言は効果なし!」舛添要一が安倍政権“新型コロナ”無策を痛烈批判
文藝春秋 2020/04/18 2020年5月号
https://bunshun.jp/articles/-/37305

 

 

 

 

本日は3つの記事をご紹介いたします。


2つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 


■緊急事態宣言の効果は絶望的なほどほぼ皆無だ

東洋経済 2021/05/02

 


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結論から言うと、今回の「第3回目の緊急事態宣言」は、おそらくほとんど効果がないだろう。

その理由は3つある。

 


・日本の緊急事態宣言はもともと効果がほとんどない


第1に、3度目であること。うんざりしている。

飽きている。よく「コロナ疲れ」「自粛疲れ」と言われるが、より人々の感情に近い表現は「うんざり」か「飽きている」ということだろう。


第2に、発出した理由が不明瞭である。大阪が危機的なのはわかるが、東京は、感染者数、病床ひっ迫度合いからいっても大阪ほどではない。

「蔓延防止措置」というのをつくって、まさにそれがぴったりなのに、そしてそれが発出されて、その効果がまだまったくわからないうちに、緊急事態宣言だ。


2度目はなかなか出さなかったのに、しかも、2度目の緊急事態宣言解除は、感染者数が増えてきたところで解除。

要は「出したくないのだ、政府は」と思われていたのに、なぜか今回は唐突に出した。


納得感がなければ、政府の要請やお願いには、誰も応じないだろう。

第3に、緊急事態宣言はもともと効果がほとんどないからだ。


実は、1度目も2度目もほとんどなかったのだ。

だから、今回はなおさら効果がないに決まっている。


この3つを、一つひとつ言い換えてわかりやすくしてみよう。

第1点。


まず若い世代は、緊急事態宣言無視だ。

そもそもテレビを見ない、持っていない。


だから、テレビで大臣がわめこうが、知事が国を罵ろうが、そもそもそれを知らない。

政治家たちのアリバイ作りのパフォーマンスはそもそも認識すらされていない。


彼らにとっては、1回目の緊急事態宣言のときは、コロナ危機への異常な自粛、という目新しいイベント。

初めてハロウィンに参加するような気分だ。


だから、1回イベントを消費すれば、次は目新しいイベントではないから、まったく関心の対象に入らない。

だから、支持とか不支持とか従わないとかではなく、関心の外にある。


「緊急事態宣言? で、何か?」という感じだ。

一方、中年世代はどうか。


テレビをつけると、官邸と知事の非難合戦、罪の擦り付け合い、まさにうんざりだ。

アリバイ作りよりも、テレビに出る暇があったら、病院を説得してくれ。


2度目からは、もううんざりで今回はあきれ果てているから、これもテレビは見てはいるが、馬耳東風だ。

政治家の叫びは趣味の悪いBGMにしか聞こえない。


そして、高齢者は、ただ怯えているだけだ。

テレビでコロナの話が出れば出るほど、それがどんな話であれ、恐怖がさらに刺激されるだけ。


金持ち高齢者はさらに家に引きこもり、巣ごもり消費に慣れていないから、ただ、怯えて貝になっているだけだ。

 

 

・もはや「政治的資本」がマイナス状態に

 


第2の点。

緊急事態宣言を出せば出すほど、政治不信は強まる。


第1弾の接触8割削減の主張や「ロンドン、ニューヨークの次は東京だ」という脅しを続けた「自称(他称)専門家」により、専門家不信は確定した。

科学的根拠無視で、感情で情緒的に行動することが「専門家は信用できない」ということの裏づけに正当化されることになった。


この結果、いい政策だろうが、悪い政策だろうが、人々を政策でコントロールするのは不可能になる。

政治家の言葉においては、効果は完全にゼロである。


むしろ、しゃべればしゃべるほどマイナスで、へそを曲げて政府のしてほしい行動の逆をしたくなる。

この結果、人気取り、八方美人、世論調査支持率だけが頼りの政治家たちは、無駄な、余計な、愛想、ばら撒きを国民に行い、強い、妥当な指示を国民にまったく出せなくなる。


びくびくしながら、中途半端なお願いを続ける。

中途半端だから効果はほとんどなく、本当は、自分たちがへそを曲げてわがままだったことが理由であるにもかかわらず、感染拡大の理由をすべて政府の下手な政策のせいにすることが常態化し、素人も専門家も、メディアに習って、政府をひたすら攻撃することになる。


いわゆるポリティカルキャピタル(政治的資本)を緊急事態宣言第2弾で完全に失い、いまやすべての政府の措置は、ポリティカルキャピタルを毀損するどころか、もはや「マイナスのキャピタル」状態で、債務が増加、蓄積する一方になっている。

細かいところを見ても、もう収拾がつかないレベルだ。


なぜか百貨店などの商業施設は休業を要請される。

百貨店でクラスターが発生した例も聞かないし、ロジックもわからない。


問われた田村憲久厚生労働大臣は、百貨店に来るときに人流ができてしまうのが問題だ。

だから、百貨店自体は問題がなくても、人の流れを抑えるために、休業をお願いする、と。


なんだそりゃ。百貨店は訴訟を起こすべきだと思うが、一事が万事、こういった風である。

これでは説得力がない。


「ソーシャルディスタンス」「3密」という流行語大賞ワードは実はまったくの間違い、無意味な概念だった。

要は唾液の飛まつだから、密でも誰もしゃべらない、朝の通勤電車ではうつらない。


逆に言えば、距離があっても、広い空間にたった3人でも、カラオケで感染対策をせずに大声で歌えばあっさりうつる。

データを駆使していないどころか、科学的思考がないどころか、普通のロジック、いやその手前の、少し理屈を考えることすら放棄して、感情的、情緒的に迷走している。


やっているふり、奔走している振りをしている知事たちはそれでいいかもしれないが、実生活はそれではたまらない。

生活にとっては不要不急だが、オリンピックもアリバイ作りのパフォーマンスと違って、実際に事を実行する、実行委員会は現実を考えてしまうと動かざるをえないが、そうなると批判を浴びる。


これでは何もできない。

こうして、日本は迷走をしているのである。


しかし、最も致命的なのは、3回とも緊急事態宣言はそれ自体では、まったく効果がなかったことだ。

つまり、日本政府は感染症拡大を防止する手段を何も持たないに等しいのである。

 

 

・「1回目」の正体は「恐怖の支配」だった

 


では、昨年の1回目の緊急事態宣言は、なぜあんなに効果があったように見えたのか。

まず、そもそもあの時点では、日本の新型コロナ感染の拡大は極めて限定的だった。


もともと危機ではなかったのである。だから、どんなことをしても収まったはずだった。

そして、マスクや手洗いに慣れていたから、拡大のリスクは欧米の他国などに比べれば、大きくなかった。


このとき人々が自粛を狂ったように行ったのは、若い人々が自粛というイベントに興味を持ったからであり、30歳前後から中年にかけての人々にとっては、自粛を推奨するのが賢い行動に見えたからであり、意識高いように見えたからである。


そして、それを裏付けたのがロンドン、ニューヨークの悲惨なテレビ映像であり、欧米の「進んだ」ものをいち早く取り入れるのが、古くから、そして今も日本の「進んだ」人々の行動だと、これらの世代は思っているから、専門家もインテリ風の人々も、今風に言えば意識高い系の人々も「進んだ」「知見」を、実際は風説の流布なのだが、SNSで拡散することに努めた。


この行動は、人々を恐怖に陥れた。

とりわけ、高齢者は「あんたは死ぬ」と脅されたように受け止めた。


さらに、テレビ世代の中高年や高齢者は、芸能人がコロナで死亡すると、恐怖に支配されるようになってしまった。

感情、情緒、印象がすべての行動を支配する。日本においては特にそうであり、日本でなくとも、恐怖の下では、人間はそうなってしまう。


これが極めて「効果的」であったために、人々は異常な自粛を積極的に行ったのである。

したがって、1回目の緊急事態宣言が効いたように見えたのは、緊急事態宣言自体ではなく、欧米がやられたという情報による、恐怖の支配によるものであった。


そして、2回目の緊急事態宣言の効果も、同様に「恐怖による支配」に過ぎなかった。

1回目よりも効果が薄かったのは、政治が「Go To」にこだわり、意味不明の行動をとったこともあったし、2度目で飽きていたこともあった。


それでも年末年始にはそれなりに、自粛が広まった。

しかし、その理由は、緊急事態宣言にあったのではなく、東京の陽性確認者数が、あっというまに1000人という4ケタにのり、それがすぐさま2000人を超えたからであった。


この数字の急増は恐怖を広めた。

この数字に対する恐怖感、東京2000という恐怖感が東京を支配し、なぜか、東京以外も支配し、ついでに「東京2020」への批判、否定的な見解も広まった。

 

 

・「3度目の緊急事態宣言」が解除されるとき

 


では、3回目の今回はどうか。

官邸はずるがしこいことに、実は、この恐怖支配のメカニズムに気づいているのではないか。


今回、もうすでに脅しは2回で使い切ってしまい、これまでのものは何も通じないから、目新しいもの、ということで、やたらに変異ウイルスを繰り返し強調している。

すべては変異のせい。


ワクチンが遅れていても、変異ウイルスには効かないかも、と論点をすり替え、これまでの政策とも矛盾を指摘されても、すべて変異ウイルス、これが世界を変えたかのような主張をして、また人々を恐怖に陥れようとしているようにしか、筆者には見えない。


ここまで官邸に対して邪推をするのも申し訳ないが、少なくとも結果的には、人々を抑制させるのは、恐怖である。

今恐怖をあおっているのは、変異ウイルスだけだ。


いまや、世界の先進国でいまだにコロナパニックになっているのは、日本だけだ。

アメリカ、英国などもすべて前向きで、経済が活況だというデータしか出てこない。


感染者数対比の経済活動の停滞比率のような、いわばコストパフォーマンスのような指標があれば、日本は世界一だろう。

コロナのウイルス自体の危機の程度に対する経済抑制効果の大きさは、世界一だ。


もしウイルスの意思が人間の経済活動抑制にあったとすれば、「ウイルス天国日本」ということになる。

その理由は、恐怖に支配されやすい、感情に支配されやすい社会であることに尽きる。


論理に支配されている社会であれば、感情を利用して政策を行う政権は、すぐに交代することになっていただろう。

日本においては、高齢者は恐怖に支配され、若い世代は欲望に忠実である。


これが、今回の緊急事態宣言が「効果がない」と断言できる理由だ。

そして、効果がなかったとしても、期限である5月11日あるいは短い延長をして、感染状況の大幅改善が実現しなくとも、緊急事態宣言は解除されるだろう。


そのときは「政府官邸は、そもそも、感染抑制のためではなく、政治の都合で緊急事態宣言の発出も解除もしただけだった」という批判を浴びることになろう。

 

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■緊急事態宣言の効果は絶望的なほどほぼ皆無だ
東洋経済 2021/05/02
https://toyokeizai.net/articles/-/426289

 

 

 

 


最後3つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 


■4度目宣言「効果あるのか」 苦境飲食店、募る不満―緊急事態初日・東京

時事通信社 2021年07月12日

 

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東京五輪の開催が迫る中、新型コロナウイルスの感染再拡大を受けた4度目の緊急事態宣言が12日、東京都で発令された。

夜の歓楽街では仕事帰りの会社員らを熱心に呼び込む客引きの姿も。


「効果はあるのか」。酒を提供する飲食店を締め付ける政府の措置に、苦境にあえぐ居酒屋店主や酒類問屋らは反発した。

「お酒あります」。


飲食店がひしめく夜の新宿・歌舞伎町では、従業員らが盛んに行き交う人々に声を掛けていた。

都の感染防止ステッカーと「お酒OKです」の張り紙を並べて掲示した店も。


都職員や警察官が「緊急事態宣言発令中」などと書かれたボードを手に練り歩き、若者らに帰宅を呼び掛ける姿も見られた。

宣言に従い、酒なしで営業する焼き鳥店の店長は「裏手で目に付きにくい店は従っていない。都も指導する様子がない」と不満を漏らす。


近くで飲食店向け広告会社を経営する男性(41)は「営業中の店に客が流れ、宣言の意味がない」と冷めた様子で語った。

要請に応じ、同日から酒の提供をやめた台東区の居酒屋「天正」の女性店長(45)は「宣言に効果はあるのか」と憤りを隠さない。


これまでも時短営業などを続けてきたが、効果を実感できなかったという。

売り上げも感染拡大前の4割程度に沈んだまま。


都内の五輪会場は無観客が決まり、「旅行者の需要もなくなった」と不安そうに語った。

打撃は卸売業者などにも広がる。


「酒だけが悪いのか。納得いかない」。

中央区の酒類問屋には宣言決定以降、注文のキャンセルが相次ぎ、12日は開店休業状態となった。


大会中も五輪会場周辺にある飲食店からの注文は見込めず、担当者は「相当の痛手だ」と肩を落とした。

中野区の問屋「キョクジュ」の男性社長(56)は、政府が休業要請に応じない飲食店との取引停止を求めてきたことに、「商売自体を否定された気分。一度取引をやめると二度と購入してもらえない」と憤慨。


五輪開催の一方で飲食業を厳しく規制する姿勢に、「あまりに矛盾が多過ぎる」と訴えた。

 


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■4度目宣言「効果あるのか」 苦境飲食店、募る不満―緊急事態初日・東京
時事通信社 2021年07月12日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021071200852&g=soc

 

 

 

 

 

 

【参考】


■緊急事態宣言による損失 五輪の経済効果を上回る

テレ朝news-テレビ朝日のニュースサイト  2021-07-31

https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000224194.html


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野村総研は緊急事態宣言による経済損失が、オリンピック・パラリンピックの経済効果を大きく上回るとする試算をまとめました。  

試算では、神奈川など4府県に緊急事態宣言が適用されることで生じる経済損失は9400億円としています。

さらに、東京都などでの期限の延長を合わせると、4回目の緊急事態宣言による経済損失は2兆1900億円に膨らむということです。  

東京オリンピック・パラリンピックによって見込まれる経済効果1兆6771億円を大きく上回ることになり、五輪効果は「完全に相殺されてしまう計算」としています。


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■緊急事態宣言による損失 五輪の経済効果を上回る
テレ朝news-テレビ朝日のニュースサイト  2021-07-31
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000224194.html

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜか、毎回大型連休に発動される緊急事態宣言。

お盆の時期、お正月の時期、そしてゴールデンウィーク。

 

大型連休には、なぜか、必ず緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されます。

まるで何かの意図があるかのようなタイミングではないでしょうか。

 

テレビでは「専門家」と呼ばれる方々が当たり前のことを、当たり前にコメントして、コロナへの不安を煽るばかり。

「ワクチン接種して、家にいなさい」とでも言わんばかりの、同じ発言が並んでいるように感じます。

 

度重なる緊急事態宣言。

大きな問題は、日本全体の経済への影響です。

 

緊急事態宣言の影響の少ない業界の方々は、なかなかピンと来ないお話かもしれません。

ただ、飲食店やサービス業などは、その影響力は計り知れません。

 

実際、店舗運営や接客する業種に従事する人数は非常に多く、倒産による失業やボーナス等の手当て削減などの影響は大きいのではないでしょうか。

また、飲食やサービス業との取引する業者も多く、卸や生産者、製造業にも、その悪影響は広がっていきます。

 

さらに、官公庁等の公的サービスも一部ストップする影響から、都市機能の一部も停止するという影響も避けられません。

「私は飲食業でもないし、接客業でもないから関係ない」という方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、間接的に、都市機能の停止、経済行動の縮小、お金の循環等、地域地域の経済の縮小悪化は、ボディーブローのように、その町全体に広がっていきます。

地方経済の縮小や悪化は日本全体に広がり、「関係ない」と言われる業種にまで不況は影響していきます。

 

日本経済の悪化は中小企業のみならず、日本を代表する大企業の業績にまで影響を与え、リストラや多くの社員のボーナス等賃金にも悪影響を及ぼします。

個人個人の収入が減少すれば、さらに消費は停滞、ますます日本経済は悪循環にはまっていきます。

 

緊急事態宣言不況ともいえるのかもしれません。

そして、この緊急事態宣言の大きな問題は「経済悪化」だけにとどまりません。

 

大型連休での移動制限は「家族との絆」にも影響を及ぼします。

長い間、親や親戚、旧友と会わないままですと関係性は薄れていきます。

 

離れ離れでコミュニケーションもなくなれば、その関係性や絆は薄まっていくのではないでしょうか。

私は、実は、これが緊急事態宣言における最も大きな弊害だと考えています。

 

なぜなら、私は、人と人との絆が、私達日本人にとって、非常に大事なものだと思っているからです。

農耕民族の日本。

 

力を合わせて農作物を育て、収穫してきました。

力を合わせて魚を取り、力を合わせて様々なモノを製造してきました。

 

「力を合わせて」日本の経済を作り上げてきました。

戦後、何もない日本の、唯一の武器。

 

それが「絆」。

兄弟や家族、友人や先輩後輩。

 

勤務先の方々とも力を合わせて様々な苦難を乗り越え、大きなプロジェクトを成し遂げてきたのが、日本ではないでしょうか。

身近な人々との「絆」が、人間関係における「信用・信頼」を生み出してきたのかもしれません。

 

日本人が、例え、初めて会った方に対しても「信用・信頼」を持ちえたのも、身近な方々との「絆」が背景にあるのではないでしょうか。

それが「日本人の思いやり」の原点かもしれません。

 

「思いやり」は、身近な方々との絆や信頼関係があってこそ、持ちえると言えるのではないでしょうか。

ただ。

 

度重なる緊急事態宣言。

この人間関係の分断により、日本の大きな価値「絆」が薄らぐ可能性があります。

 

緊急事態宣言と、まん延防止等重点措置による人間関係の危機。

コロナの危機、経済の危機も大きいですが、この人と人との「絆」の危機は、最も日本にとって大きな打撃となるのではないでしょうか。

 

そういえば、以前、あるアンケートで、死を迎える方々が最後に残した後悔のランキングを見たことがあります。

その上位に連ねていたが、家族や友人との関係性でした。

 

疎遠になった方々との復縁や、もっと自分から積極的に声をかけて会っておくべきだった、という内容でした。

人との関係は、辛いこともあります。

 

ただ、何事にも代えがたい「幸せ」とつながっていることも多いのかもしれません。

そこには、人生における、かけがいのない「一番大切なモノ」が、あるのではないでしょうか。

 

今一度、私たちは、緊急事態宣言によって失うものは何か、しっかりと深く、考えることが必要なのかもしれません。