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新システム小説講座

小説を書きたいけど書けないとか、自分にはそんな潜在能力がないと思い込んでいるそこの貴方!そう、書けるんです!これがね。

その4 小説の書き方~独白体のつかいかた~

2013年12月15日 23時07分09秒 | 小説の書き方
独白について説明したいと思う。独白とはなにかと問われれば
キャラクターが喋る地の文である。地の文とは、いわばかっこなどで
囲まれてない文章のことを指す。

独白がなく、淡々と語られる地の文は、自転車のオイルが渇いた
ギアのごとくである。



独白の例を書こう。

1:二人でレストランに入った敬吾は加奈子が一言も喋らないことに
  いきどおっていた。
2:「ねえ、なんで喋らないの?」と、敬吾は言った。
3:しかし加奈子はなにも喋らなかった。
4:……この女はこんな俺になにを隠すというんだい。わからない奴だ。


上記の文章だが、4番が独白体をつかっている。



例えば独白のない文章を書こう。

”近所に林がある。その林が高台から降りる坂道となっている。
ぼくはバックのなかに、紅茶のペットボトルとある小説を入れ、
坂道の途中につながる公園のベンチに腰をかけ、麦わら帽子の
うえからは無数の蝉の鳴き声が耳を振動させる。
 汗がひたいをおちた。バックのなかの小説を手に取ると
汗がページに落ちて、3滴透き通った。
 青年は顔をしかめた。小説をやりずらなそうに閉じると
ベンチの隣に置いた。
 あたりを見る。空は濃い青をしていた。
飛行機が蝉と音を共鳴し、青年はやるせなく下を向いた。
片手をバックにつっこみ、冷たい紅茶のふたをあけ、液体を飲んだ。”


つぎに上の文に独白を入れるとどのように面白くなるのか。
書いてみよう。

”近所に林がある。その林が高台から降りる坂道となっている。
ぼくは考えていた。バックのなかに紅茶のペットボトルとある
小説を入れて、坂道の途中につながる公園のベンチに腰をかけた。
ふう。麦わら帽子のうえから無数の蝉の鳴き声が耳を振動させる。
これが夏の威力か。さすが最終兵器並みのいやがらせだ。
 汗がひたいを落ちた。バックのなかの小説を手に取ると
汗がページに落ちて3滴透き通った。
 青年は顔をしかめた。もういい。小説を閉じる。そして
ベンチの隣に置いた。
 あたりを見る。空は濃い青をしていた。
青年にはまるで分厚いハードカバーのような青い空に思えた。
飛行機が蝉と音を共鳴し、うるさい。
嫌になったので取り出した紅茶を飲んだ。”



独白を書いていると楽しくなっちゃって、場面を書かなく
なる人がいる。それでは時間のつまみが動かない映画と同じだ。

例えばその例をだす。

”わたしは下校中にかんちゃんを見つけたんだよね。ラッキー。
彼に会えるなんて、わたし、いま女子力上げています、気合で。
「おーい! かんちゃん」とわたしは言うわ。
 すると向こうもびっくりな顔してこっち向いたの。うれしい!
かんちゃんの瞳からぞっこんラブリーマークが見えるわ。
だからわたしもダッシュしてパンチラ……なんでやねん!
だめ! いたずらっこな風なんだから。でもいいわ。かんちゃんの
ラブリーな気持ちがこれにより増幅されるの。ふふ……いい感じ!!”


上記のほとんど独白の文章だけれど、これも数ページなら読めるかも
しれないが、数十ページがこれだとかなり辛い。とくに100ページ
超えていると、まず公募で入賞しないだろう。と、忠告しておく。



小説を書くということはボーナスステージの上でいくつの場面で点数が
とれるかとも言えるかもしれない。すべては、点数をとるために小説は
あるのだ。こういう考えも面白いかもしれない。つまり場面得点法である。

その構造をつかうのなら、独白と独白の間でいかに点をとるのか、
ということである。独白は二つの独白の間にある普通の地の文を
面白くするためにある。