貝がらの小舟

短歌のことや日々のことなどを徒然と。

未来詠草 2015年3月号

2015-03-13 20:20:05 | 短歌
窓ガラス磨く朝に雨音は滅びのように親しく響む

歌集五冊積み上げて読む雪の日にほたりほとりと家鳴りはして

コンタクトレンズを外す白色のひかりに世界のほどけ際あり

しんしんと手のひら重ね眠る夜の世界すべてに初雪が降る

まひるまも薄闇の日は篝火に古い手紙をくべに行こうか

いくつもの星を吊るすよ雨ののち樹氷となれば黙りこむ木々

いのちから遠ざかりたい 冷たさは月光、本の扉を開き

もう春は来ない気がする水際の舟の骨格渇ききってて

みずうみの氷の下に眠る魚、その夢のこと、光源のこと

オレンジを蜂蜜で煮る夕刻よ遠い灯のような三月





11月号アンソロジーに

夏の雷ふいにはじまり真っ白な水の柱に閉ざされるよう

を引いていただきました。飯沼鮎子さん、ありがとうございました。


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