12月26日(木) 「謎の蝶アサギマダラはなぜ海を渡るのか」
アサギマダラはタテハチョウ科の蝶で、大きさはアゲハチョウほど。重さは0.5グラムにも満たない軽い蝶だが、春と秋には1000kmから2000kmもの旅をする。定期的に国境と海を渡ることが標識調査で証明された蝶は、世界に1種しかいないという。
本書は、10年間に13万頭余のアサギマダラにマーキングを施し、「一番多くのアサギマダラに出遭った人」として知られる著者が、アサギマダラの謎に迫ったサイエンスノンフィクション。
本書の目次より、第1章 不思議な蝶アサギマダラ/第2章 南の島にアサギマダラを追う/第3章 アサギマダラの不思議な旅/第4章 アサギマダラの謎
「想像をはるかに超えた生命の神秘。蝶と一緒に、さあ旅に出よう!」――茂木健一郎氏
アサギマダラの24の魅力
①旅をする:小さな体で海を渡り、2000Kmを超える旅をします。 ②飛び方が多様:24通りもの飛び方のパターンがあります。 ③美しい:独特の色合いを持ち、翅の形態にも機能にも洗練された美しさがあります。 ④力持ち:かなりの脚力を持っていて、枝につかまり、風にも飛ばされません ⑤耐える・激しい台風にいかに耐えるか知る ⑥グルメ:PA物質を含む植物を敏感に発見して集まる天与の才能をもっています。 ⑦柔軟な適応:アサギマダラの移動戦略は環境変動に実に柔軟かつ巧みに適応します。 ⑧舐める:他の蝶のように「吸う」のではなく、枯葉を舐め。人の手も舐めます。 ⑨群れる:1ヶ所に、数百頭、ときには千頭を超えるアサギマダラが旧蜜します。 ⑩速い:実質2日で、740Km以上もの海上移動をする例があります。 ⑪酔う:スナビキソウで吸蜜中は酔ったかのように無反応になり、手づかみできます。 ⑫鋭い嗅覚:仲間の匂いのついたネットや指に「ストーカー」行為をします。
⑬香りを操る:ヘアペンシルという実にユニークな道具でフェロモンを発します。⑭他種のマダラチョウと一緒に群れていることが少なくない。 ⑮毒草を食べる:ガガイモ科の有毒植物を食べ、毒を蓄積して防御に利用します。⑯土を舐める:地面の土やコンクリートの壁に群れて舐めていたりする。⑰強い:絶食で40日以上生きていた例や冷蔵庫保存でさらに生きた例があります。⑱長寿:羽化した蝶は4~5ヶ月の寿命ですが半年以上の例もある。⑲病気に負けない:病気や翅の形の異常があっても遠くに旅をします。⑳恐れない:人なつこい一面があり、吸蜜していないときでもあまり人を恐れない ㉑賢い:ネットに入れておくと実に賢く逃げ道を見つけて逃げ出します。㉒温度に敏感:22~26度が適温ですが、熱暑に弱く逆に寒くなると動けなくなる。㉓気象を読む:台風を上手に活用して移動したり、雨が降る前に一気に移動します。㉔不思議な集団移動:大名行列を連想させるような不思議な集団行動をする。
目次の次の頁にあったのですが読んで納得したというか益々興味がわきました。マーキングされたアサギマダラを見付けてみたくなりました。
1月3日(金) 「からくり民主主義」
賛否入り乱れる基地問題! 「反対」で生計を立てている人もいて、ことはそう単純ではありません。民(みんな)が主役の民主主義は、でも実際に現地を訪れると、その「みんな」が意外と見つからないのです。「世論」、「国民感情」、「国民の声」の主は誰か? 米軍基地問題、諫早湾干拓問題、若狭湾原発問題──日本の様様な困った問題の根っこを見極めようと悪戦苦闘する、ヒデミネ式ルポ。
本書のタイトル、『からくり民主主義』とは、「からくり民主ー主義」です。「からくりー民主主義」ではありません。つまり現代の日本、あるいは戦後の日本に本当の民主主義がない、という意味ではない。「本当の」とは理想であり、「べき」なので、私にはあずかり知らぬことです。(終章あとがきに代えてより)
本書を一読して、僕はまず最初に感じたのは、「この本は間違いなく100%橋秀実の本だ」ということだった。 1.とてもよく調査する。 2.正当な弱りかたをする(せざるを得ない)。 3.それをできるだけ親切な文章にする。 というのが、ノンフィクションの書き手としての橋秀実の三要素である。そしてほとんどの場合結末に結論はない。 でも僕らはその結論のなさを彼としっかりと共有することができる。 本書を最後まで読み終えたとき、たぶん僕らはこう思う。なんという困った社会に僕らは生きているのか、と。僕らはそのなかで生きていくしかないのだ。 (解説の村上春樹)
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