3月9日(木) 「存在という名のダンス」(上・下)(大崎善生著)
施設の周囲を鉄条網が囲み、勝手な外界との交渉は禁じられている。主人公の相川宗太が、小学2年生のときにここに預けられてから、4年が経過した。いま、宗太は施設を脱走し、父親の入院する病院がある函館を目指して歩いている。脱走した宗太を施設の監視部隊”荻野団”が追う。施設の目的とは何か。加納の残したノートは何を伝えようとしているのか。ゲルミナンド・ヘステとは何者か。宗太は無事に追っ手を振り切ることが出来るのか・・・。
タイトルに釣られて読んでみたが、ファンタジー・ホラーともいうべき小説。当初考えていた大崎善生の作品と全く異なり戸惑いもあった。こんな本もたまにはいいのかも。
3月26日(日) 「流」(東山彰良著)
2016年本屋大賞ノミネート!! 選考委員満場一致の第153回直木賞受賞作。
「20年に一度の傑作。とんでもない商売敵を選んでしまった」(選考委員・北方謙三氏)
「私は何度も驚き、ずっと幸福だった。これほど幸せな読書は何年ぶりだ?」(選考委員・伊集院静氏)
何者でもなかった。ゆえに自由だった――。1975年、台北。偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。
内戦で敗れ、追われるように台湾に渡った不死身の祖父。なぜ? 誰が? 無軌道に生きる17歳のわたしには、まだその意味はわからなかった。台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。歴史に刻まれた、一家の流浪と決断の軌跡。
17歳。無軌道に生きるわたしには、まだその意味はわからなかった。大陸から台湾、そして日本へ。謎と輝きに満ちた青春が迸る。
友情と恋、流浪と決断、歴史、人生、そして命の物語。エンタメのすべてが詰まった、最強の書き下ろし長編小説!
読み進めるに連れてどんどん引き込まれていった。戦争とは人の心を非人道的なものに変えてしまう。
3月28日(火) 「漁港の肉子ちゃん」(西加奈子著)
圧倒的な肯定を綴る、西加奈子の柔らかで強靱な最新長編
騙されやすい、人の良いおばちゃん。丸々と太った、いつも明るいみんなから慕われてる肉子ちゃん。見た目も性格も正反対な娘、キクりん。男に騙され続け、苦労だらけなのに、こりない。キクりんは、肉子ちゃんみたいには、なりたくない。でも、肉子ちゃんのことが大好き。肉子ちゃんも、キクりんと一緒に生活できるだけで幸せ。せいいっぱい、今を大切に生きてる。みんな、それぞれで生きている。
4月15日(土) 「小説家の四季」(佐藤正午著)
あの「その日暮らし随筆」が、十年ぶりに帰ってきた。地方都市・佐世保に居を構える小説家は、過ぎゆく日々のなかで、なにを見つめているのか。そのユーモアとペーソス溢れるまなざしに捉えられた、淡々と過ぎてゆく歳月、移り変わる季節、2007年秋から2015年夏までの日々。
4月19日(水)
「私小説を生きる作家」とも称される佐伯一麦氏がこの20年にわたって綴ってきた「読むことと書くこと」を巡る百四篇のエッセイを収録。2011年の東日本大震災が「読むことと書くこと」を大きく変えたと言われている。しかし、本書に収録されたエッセイのほとんどは3・11以前に書かれたものであるにもかかわらず、普遍的な人間の生の営みは変わらないのではないか、生活に裏打ちされた文章のしなやかな強靱さも――そんなことを考えさえてくれる書である。
人生と隣あった文学に気づかされること。窓辺に仕事机を据えて、言葉が聴こえてくるのを待つ。耳を澄ますようにして本を読む。生活に裏打ちされた文章について綴った百篇を超える“決定的瞬間”。作家生活三十年を編む、待望のエッセイ集。
5月2日(火) 「シェルター」(近藤史恵著)
人はなぜ、最も大切な人を傷つけてしまうのだろう? わたしたちは、ひどく似ているのかもしれない-。心のシェルターを求めて出逢った恵と少女いずみのミステリアス・ジャーニー。長編ミステリー。
5月8日(月) 「シャルロッテの憂鬱」(近藤史恵著)
元警察犬シャルロットとの日常と事件をやわらかく描く、傑作コージーミステリー
シャルロットは雌のジャーマンシェパード。警察犬を早く引退し、四歳で池上家にやってきた。はじめて犬と暮らす夫妻にも、散歩などをきっかけに犬同士、飼い主同士のゆるやかな連帯も生まれてくるが、なかには不穏な事件を持ち込む者もいて──。
5月10日(水) 「スーツケースの半分は」(近藤史恵著)
三十歳を目前にした真美は、フリーマーケットで見つけた青いスーツケースに一目惚れ、衝動買いをしてしまう。
そのとき、彼女の中で何かが変わった。心配性な夫の反対を押し切り、憧れのNYへ初めての一人旅を決意する。出発を直前にして、過去のある記憶が蘇り、不安に駆られる真美。しかし、鞄のポケットから見つけた「あなたの旅に、幸多かれ」というメッセージに背中を押され、真美はNYへ旅立った。やがてその鞄は友人たちへとバトンされ、世界中を旅するうちに、“幸運のスーツケース"と呼ばれるようになってゆく――。
大丈夫。一歩踏み出せば、どこへだって行ける。NY、香港、アブダビ、パリ、シュトゥットガルト……新しい自分に出会う、切なく優しい旅ものがたり。
近藤史恵の作品は好きでよく読む。以上の3冊も興味深く楽しむことができた。
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