9月26日(土) 「晩秋の陰画<ネガフィルム>」(山本一力著)
人情、驚愕、奇妙な味…この上なく豊潤で、大人の余裕が味わい深い、初の現代ミステリー集!
10月13日(火) 「カズサビーチ」(山本一力著)
1845年3月、クーパー船長率いる米国捕鯨船は日本海を目指す途中、無人島に漂着していた日本人11名、翌日にも沈没しかかった日本船の乗組員11名、計22名を救助した。22名分の水と食料の消費は激しく、送りとどけるにも日本は鎖国中で、沿岸部に近づけば被弾する恐れもある。船長の決断は早かった…。ペリー浦賀来航の8年前にあった日米交流の史実を題材に、船乗りたちの交誼を描く圧倒的感動巨編。
10月16日(金) 「始まりはジ・エンド」(新津きよみ著)
朝日新聞 杉江松恋が薦める文庫この新刊から*1
*1 当代きっての短編ミステリーの名手である。七編が収録されている。引き締まった語り口も魅力だが、ほろ苦い味わいがもたらされる各篇の幕切れが実に印象的である。
人生で出会うさまざまな“終わり模様”をテーマにした珠玉の7編。がんで死と向き合う妹が、病床で姉に託した切なく、愛しい願いとは―「死ぬまでにしてほしい五つのこと」。人それぞれが直面しているステージ。何かが終わった時が、振り返れば前向きな始まりだったり…その転換点を小説家の視点で、劇的なエンターテインメントに落とし込む。いっとき現実を離れて物語世界への没頭へと誘う、名手によるミステリアス短編集。
10月23日(金) 「夜の声を聴く」(宇佐美まこと著)
朝日新聞 杉江松恋が薦める文庫この新刊から*1
*1 宇佐美作品には常に不穏な空気が漂っている。青春小説のプロットとミステリーの謎を合体させたさせた他にない読み味の作品だ。これで読んでみることになった。
優秀でありすぎるが故に引きこもりとなった18歳の堤隆太の前で、突然手首を切った女性。その魅力に惹かれるがままに、隆太は彼女の通う定時制高校・通称ハル高に通い始める。彼は高校で知り合った大吾が働く「月世界」というリサイクルショップの手伝いを始めるが、そこは「よろず相談」を受け付けていた。他愛もない疑問を解決していくうち、隆太は数年前に起きた未解決の一家殺人事件の謎に巻き込まれていく。青春小説から一転して、驚愕のストーリーに姿を変える、書き下ろしミステリー。
11月6日(金) 「この夜の春」(宮部みゆき著)
ごめんくださいまし―。宝永七年の初夏、下野北見藩・元作事方組頭の家に声が響いた。応対した各務多紀は、女が連れていた赤子に驚愕する。それは藩内で権勢をほしいままにする御用人頭・伊東成孝の嫡男であった。なぜ、一介の上士に過ぎない父が頼られたのか。藩中枢で何が起きているのか。一夜の出来事はやがて、北関東の小国を揺るがす大事件へと発展していく。作家生活三十周年記念作。
11月10日(火) 「類」(朝井まかて著)
新聞の広告で何度も見て気になっていたし、朝井まかての「眩」が印象に残ってる*1
*1 くらら=葛飾北斎の娘にして天才女絵師を描いた作品でNHKドラマにもなった!
鴎外の“不肖の子”類、その愛すべき生涯。愛情豊かな父、美しい母、ふたりの姉と何不自由なく暮らした少年時代。父の死という大きな喪失を抱えながら、画業を志しパリへ遊学した青年時代。戦後の困窮から心機一転、書店を開業。やがて文筆家の道へ―明治、大正、昭和、平成…時代の荒波に揺さぶられながら、鴎外の子としての宿命と格闘し続けたその生涯。
11月11日(水) 「首里の馬」(高山羽根子著)
8/29 朝日新聞 「資料館特有の空気まで伝わる」*1
この島のできる限りすべての情報を守りたい―。いつか全世界の真実と接続するように。世界が変貌し続ける今、しずかな祈りが胸にせまる。第163回芥川賞受賞作。
*1 「記録すること」「保存すること」についての物語である。閉館が決まった資料館の資料のすべてを未名子は写真に撮ってマイクロSDカードに保存していた。そのデータを彼女は異国にいるオンラインの交流相手に送る。いつか<この資料がだれかの困難を救うかもしれない>から。
馬:沖縄在来の小型の馬、宮古馬(ナークー)。ヒコーキと名付けたり存在が?!
11月13日(金) 「ベトナムの風に吹かれて」(小松みゆき著)
右は映画化されたチラシ
ベトナムの首都ハノイで、日本語教師として働く著者。新潟に住む81歳の母とは離れて暮らしていたが、母の認知症がひどくなり介護の必要性が増したことから、母をハノイに迎え同居生活を始めた。人間関係の濃い下町の旧市街や旅先での緑豊かな山々の光景に刺激され、母はイキイキと昔の思い出を語り出す。転倒による大怪我や失踪事件などのトラブルにもめげない母娘。等身大の海外介護の日常をユーモラスに綴った感動のエッセイ。
11月18日(水) 「流浪の月」(凪良ゆう著)
7/17 朝日新聞 「常識では表せない切実な絆」 *1
あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい―。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。
*1 「事実は員実と同じではない。ひとつの物事に対する主観と客観は大きく食い違うことがある。世間という私たちが生きる世界の居心地の悪さの正体は何なのか。考え続けたい。」
11月22日(日) 「ザリガニの鳴くところ」(ディーリア・オーエンズ著)
10/24 朝日新聞 「内に自然を抱えた少女の謎」*1
ノース・カロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられたときから、カイアは湿地の小屋でたったひとり生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女のもとを去ってゆく。以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく…みずみずしい自然に抱かれて生きる少女の成長と不審死事件が絡み合い、思いもよらぬ結末へと物語が動き出す。全米500万部突破、感動と驚愕のベストセラー。
*1 「70歳近くで初めて刊行した小説が、各国で翻訳される。華々しいデビューの裏側には、長年動物学の分野で培ってきた、自然や生き物に関する豊かな見識と観察力が発揮されている」と冒頭にある。
尚。<ザリガニの鳴くところ>の答えがp155にあります!!
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