俺、隠岐に立つ

11年間の島暮らしを終え、ワイン農家を目指して岡山へ。
グッドライフを探す旅と美味しいものを綴ります。

「農産物の“目に見えない”価値をプロデュースする」

2015-02-12 | 漁業

昨年に引き続き、京都の総合地球環境学研究所の主催するシンポジウムに参加してきました。

テーマは、「農産物の“目に見えない”価値をプロデュースする」。

-ローカル認証と地域のお墨付きのメカニズム-について考えようという機会をいただきました。

昨年は水産物の持続可能な利用に対する認証制度であるMSCをはじめとした

農林漁業におけるグローバルな認証制度を地域でどのように活用できるかがテーマでした。

今年はローカル。

多様な事例の紹介に刺激を受け、夜はまた議論を交わす。

1年に1度の勉強の場。

こだわりを持って作られた美味しい野菜に美味しいお酒。

シードルってジュースじゃなかったのね。

2日間、本当によく考えました。

 

詳細は割愛しますが、ご興味のある方は以下に長文ですが感想をまとめましたので

御目通しください。

意味わからんと思うけど、備忘録かつ完全に個人の意見なので全体を要約したものではないことを

ご理解のうえ、お読みください。

 

以下、まとめ。 

自然資源を活用することにより産み出された価値を、流通にかかわる生産者-販売者-消費者が対話を通じて持続的かつ最適な再配分を目指すために役立つ仕組みとして、「ローカル認証」がある。

 

たとえば、アメリカの西海岸で展開される「salmon safe」という認証制度がある。この事例は、地域の象徴的な生物であるサーモンが棲息する環境を守ることが、地域の資源を利用する生産者にとって事業の持続可能性の要件であり、その認識が食品以外の事業者にとっても共有が可能であることを教えてくれる。

また、その生物が持つ象徴性により生産者・消費者の賛同を得やすくなるという性質を明らかにしている。兵庫県豊岡市の「コウノトリの舞」という地域農産物の安全性を保証する地域ブランドや、沖縄県恩納村のもずく養殖とサンゴの環境保全にかかわる取組みにおいても、その生物が持つ象徴性が消費者への伝わりやすさを向上させることに貢献している。

食品流通のステークホルダー間における対話を加速させるその他の仕組みとして、恩納村のもずくにおける「1パック購入するごとにサンゴの海の環境保全のために1円寄付」という取組みも大変伝わりやすく、効果的であると思われる。生産から消費までのサイクルが長期的に持続することに価値を見出し、そのために意識を持って取り組みに参加することが出来る点に魅力があるのではないだろうか。

 

このような「仕組み」は継続的な対話の中で磨かれ、その地域に合った特性を持つ形が出来上がっていく過程は一朝一夕では語れない。しかし、各地域の取り組み事例の中からいくつかのヒントが得られた。

 

生産者はただ単純により良いものを作ることが好きなのであって、難しいことは考えていないという指摘が複数の生産者からなされた。これは普段から自身が漁業者と接している中でも感じることである。よいものを作る生産者は、経済的な合理性のみでなくある種の哲学で動いており、そのこだわりを理解してもらうことに大きな喜びとやりがいを見出す。

彼らが現場で積み重ねてきた知識と科学的な知識をトランスレーターが有機的に結びつけた時に、あらたな価値が創造される。

 

そして、その価値を消費者に伝えるときには、お互いに五感で感じられる距離が大切である。生産と消費が分断された現代においては、文字や画像から得られる情報のみが判断材料とされ、そのことによりしばしば起こる「期待外れ」が双方への不信の原因となっている。「本物」の価値は、本当の対話によって広まっていくものであると確信する。

消費者の対話の形態は、その規模によって最適な形は異なるであろうが、そもそも立場の異なる者同士が良い形を求めていく過程での対話であって、完全な相互理解は難しいという前提に立ち、あきらめず、前に進むことが肝要である。

 

おわり。

 

 

 

 


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