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ミーターの大冒険 第五部 オーロラへ 第7話 地球 The Earth

2022-12-08 05:45:21 | オーロラへ
126第7話地球The Earth
ミーターの大冒険 
第五部 
オーロラへ 
第7話 

地球 The Earth


あらすじ

 ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、まずルート通りにコンポレロンに到達した。次にオーロラへ目指していた。
 ところが、コンポレロンから禁断の星オーロラへのルートがわからない。困難に直面した二人(?)であったが、そのとき、突如としてイルミナが「フィードフォアード症候群」に襲われた。ある感応者の精神と繋がる。例の「アール(R)」いわゆる「不死の従僕」の感応の響きであろうか。
 イルミナは彼女の精神感応力を稼働して、ヴァジル・デニアドールという人物の心理に入り込めた。そこでオーロラについての情報と故郷星の恒星系の特異性を知る。
 しかし、その「航海日誌」は、果たして信用できるのであろうか?
 ファー・スター2世号はさらに深宇宙に、銀河潮流に沿って進むが、データの不一致が判明する。ターミナスの図書館と18000年前の航海日誌にない天体が進行方向に存在したのであった。 
 そのとき、その天体から通信応答を求めて来た。
 それは、ガイアの長老ドムからであった。彼の自己紹介は「わたし/わたしたち/ガイア」であった。ミーターはあらかじめおおよそのことは了解していたように質問していった。イルミナの質問がどういう訳か面白い。

126
ミーター ドムさん、その長、つまり不死の従僕さんが、ある過去の時点で、銀河系外恒星系の一つをこの星系に出現させたということでしょう。宇宙の中の銀河系同士は網目状に繋がっていると聞いております。そしてそれが宇宙をこの流れる「宇宙潮流」だとアルカディアから教わりました。俺の推測では、おそらく不死の従僕さんが、ある過去の時点で、アタカナの再発見に関係があるんじゃないでしょうか?

イルミナ まあ、ミーターさんたら、いつ、どうしてそんな宇宙物理学者になっちゃんですか?
 ミーターさん、あなたが「ある過去の時点」とおっしゃたことが気になりますね。

ドム ミーターさん、イルミナさん、我が首領の長、ダニール・オリヴォーは、ハリ・セルダンの二つのファウンデーション計画の目的達成のために二つの追加措置の構築を企てました。その一つがガール・ドーニックに担わせた「微細心理歴史学」の構築。そしてガイア計画です。そのガイアを生み出すきっかけとなったのが「地球探索」でした。

ミーター ドムさん、「地球探索」ですって?

ドム そうです。あなた方が「アタカナ」と呼んでいます故郷星の正確な名前が「地球」Earth なのです。そしてそこの恒星Solar は「太陽」Sunと言います。不死の従僕ダニール・オリヴォーは地球に到達し、短い時間で放射能除去を行い、彼の超強力感応でバリアーフィールドを造り、その地点に降り立ち、地球のニフがあった場所の超古代の歴史に焦点を合わせました。

ミーター 「地球」ですか?
 その地球の「ニフ」ですか?その場所の土地の名前ですね。

ドム そのように聞いております。

ミーター その言葉の由来はわかりますか?

ドム 伝説でよろしかったら、お伝えいたします。例えば、言い伝えの「ニフ」の由来の一つは、「フニ」の語順を変えたと言われるものです。本来ニフ語は一つの子音と母音の組み合わせで出来ています。或いは母音が一つの場合もあって、文字がおおよそ五十あったそうです。
そしてその2文字を転倒して言葉遊びをする習慣があったそうです。
 ですから、「ニフ」は「フニ」から来ているという説です。

イルミナ 大変ややこしい遊びですね!相当文化程度が高度じゃないと、そのような遊びはできませんね。ところで、ドムさん、その「フニ」とはどういう意味ですか?要するに。

ドム ニフのある場所にある一番高い、形の良い山の名前だったそうです。本来の意味は「二つと無い」、或いは「唯一」という意味だとか。ニフの由来についてはまだまだあります。続けましょうか?

ミーター いいえ、結構です。そのデータベースを、ファー・スター2世号に転送してくださればいいです。

イルミナ まあ、ミーターさんったら!


ミーターの大冒険  第五部 オーロラへ  第6話  時間を超えた?

2022-12-07 18:59:05 | オーロラへ
125第6話時間を超えた?
ミーターの大冒険 
第五部 オーロラへ 
第6話 

時間を超えた?

あらすじ

 ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、まずルート通りにコンポレロンに到達した。ミーターは、その星の初めての惑星探索を果たした。
 ミーターたちは、コンポレロンの人々が最古の星についての迷信、地表が放射能で充ちていて焼け爛れているという異常な恐怖感を持っていることに驚く。また故郷の星の恒星系には巨大リングを持つ惑星があり、目指すアタカナには不釣り合いの大衛星があることを知る。

 問題なのは、コンポレロンからオーロラという禁断の星へのルートがわからない。困難に直面した二人(?)であったが、そのとき、突如としてイルミナが「フィードフォアード症候群」に襲われた。ある感応者の精神と繋がる。例の「アール(R)」いわゆる「不死の従僕」の感応の響きであろうか。
 イルミナは彼女の精神感応力を稼働して、ヴァジル・デニアドールという人物の心理に入り込めた。そこでオーロラについての情報と故郷星の恒星系の特異性を知る。
 しかし、その「航海日誌」は、果たして信用できるのであろうか?
 ファー・スター2世号はさらに深宇宙に、銀河潮流に沿って進む。
 データの不一致が判明する。ターミナスの図書館と18000年前の航海日誌にない天体が進行方向に存在した。ミーターたちは恐る恐るその新たな領域に入ろうとしていた。
 そのときその天体の地表から通信応答を求めて来た。ガイアの長老ドムからであった。彼の自己紹介は「わたし/わたしたち/ガイア」であった。ミーターはあらかじめおおよそのことは了解していたように質問していった。

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ドム そんなことはありませんよ。ご心配には及びませんよ、イルミナ・バーさん。我が首領は、先発隊のお二人にはわたしの知っている全知識をことごとくお伝えするように仰せ付かっておりますし、「わたし/わたしたち/ガイア」もそうすることが最善だと了解しておりますので、帝国辞書編纂図書館さん。

イルミナ まあ、わたしの本名までご存知なのですね。ドム ...

ドム ドム・マンディオ・レンブラスティラン・ノヴィです。すみません、我がガイア人は先祖からの名前を大事にする種族ですので。

ミーター というと、あなたはガイア人の中でもノヴィ族ということですね。それ以前のお名前はお分かりになりますか?

ドム それ以前は我が首領、R・レオナルド・エノビアレラ様より教えられただけです。ノヴィ族はシンナックスのニフ人だと聞いております。そしてニフ人は、それこそあなた方が探しておられます故郷星のある地域の名前とか、その地域とは海洋に浮かぶ島々の名前だったとか。

イルミナ 名前ついでに、ミーターさん、でしゃばってごめんなさいね。あなた方の「わたし/わたしたち/ガイア」のわたしの女性たちのことについてお聞きしてよろしいでしょうか?

ドム 残念ですが、イルミナとかアルカディアという名前は「わたし/わたしたち/ガイア」の女性には今のところついておりません。
 多い順に述べますと、ベニス、サラ、シーラ、スラ、セーラ、ソラ、ブリス、ベリスとなります。

ミーター 面白いですね。名前に法則性があるんですね!

ドム そのように聞いております。これなども、故郷の星を忘れないためのことであると知られました。

イルミナ ベリスという名前もあるんですね!ごめんなさい。話に割り込んでしまったわね。

ミーター いいんだ。おかげでガイアのことがわかったというもんじゃないか。

 ドムさん、普通、テラフォーメーションというのは、恒星系のハビタブルゾーン内の惑星を思い浮かべるのですが、ガイアがガイアSと一緒に存在する、また浮遊惑星(恒星系外の浮遊天体)でもないとすると、その想像エネルギーは凄まじく驚異的であったとしか考えられませんが、それについて何かご存知ですか?

ドム さあ、それについては「わたし/わたしたち/ガイア」の能力の範囲を越えております。ただ一言だけ、レオナルド様からレオナルド様の長(おさ)から教えられた言葉がおありとか。
それは「時間を超えた」という言葉だそうです。

ミーター/イルミナ 「時間を越えた」、ですって?


ミーターの大冒険 第五部 オーロラへ 第5話 反ミュールの真相

2022-12-06 19:24:16 | オーロラへ
121第5話反ミュールの真相
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第五部 
オーロラへ 
第5話 

反ミュールの真相

あらすじ

 ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、まずルート通りにコンポレロンに到達した。ミーターは、その星の初めての惑星探索を果たした。
 ミーターたちは、コンポレロンの人々が最古の星についての迷信、地表が放射能で充ちていて焼け爛れているという異常な恐怖感を持っていることに驚く。また故郷の星の恒星系には巨大リングを持つ惑星があり、目指すアタカナには不釣り合いの大衛星があることを知る。

 問題なのは、コンポレロンからオーロラという禁断の星へのルートがわからない。困難に直面した二人(?)であったが、そのとき、突如としてイルミナが「フィードフォアード症候群」に襲われた。ある感応者の精神と繋がる。例の「アール(R)」いわゆる「不死の従僕」の感応の響きであろうか。
 イルミナは彼女の精神感応力を稼働して、ヴァジル・デニアドールという人物の心理に入り込めた。そこでオーロラについての情報と故郷星の恒星系の特異性を知る。
 しかし、その「航海日誌」は、果たして信用できるのであろうか?
 ファー・スター2世号はさらに深宇宙に、銀河潮流に沿って進む。
 データの不一致が判明する。ターミナスの図書館と18000年前の航海日誌にない天体が進行方向に存在した。ミーターたちは恐る恐るその新たな領域に入ろうとしていた。

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ドム 左様、ミーター殿。と言っても「わたし/わたしたち/ガイア」自らそうは呼んではいませんが、その時期の到来が訪れる今までは極力ハイパー・スペースの中に消え失せてるとの自覚で外部世界とは、ある活動を除いて断絶して来ました。特に第2ファウンデーションが、「わたし/わたしたち/ガイア」を不本意ながら反ミュールと呼んでいるのです。

ミーター そう呼ばれているのは不本意なんですね。ドムさん、「反ミュール」という呼び名の理由ですが、「ミュール」と関係があるということは正しいのですね?

ドム 残念ながら、おっしゃる通りです。ミュールはガイアの人間でした。彼は健全な体で生まれ落ちないばかりに異常型だったことからガイアの世界には居ずらくなったようです。ガイアから消えて行ったのです。

ミーター ドムさん、ミュールは、もしかしたら平均のガイア人と比べて精神感応が強かったのですね。

ドム 左様です。それゆえ「わたし/わたしたち/ガイア」はミュールを放逸せざるを得なかったのです。それがガイアの痛みとして残っているのです。

ミーター それで、アルカディアの報告通り、ミュールの活動が全銀河に及び初めて第1ファウンデーションを征服してからは、背後で秘密裏に第2ファウンデーションを密かに後押して、ミュールの全銀河支配を阻止したのですね。

ドム おっしゃる通りです。微妙に後押ししましたが、第2ファウンデーションの方でも気がつきはじめたようです。ターミナスのアルカディアさんがご存知でしたとは驚きです。

ミーター そしてあなた方ガイアはガール・ドーニックの500年の到来に合わせて活動を活発化して来たということですね。それにはあなた方のレオナルドさんの首領さんが過去の歴史消滅を撤廃するという決断をされたという意味もある、のですね。

ドム ミーター殿、そこまでご存じなら、もう「わたし/わたしたち/ガイア」はあなたにお話しすることはございません。ただ少しだけ捕捉させてください。ガイアはあなたが目指すアタカナではありません。

ミーター 無論、承知しております。我らが目指すアタカナはあなた方のセーシェル星系の先、シリウス星系にあるようです。あと少し、お聞きしたいことがあります。ドムさん、レオナルドさんの首領さんが、不死の従僕なのですね。

ドム ミーター殿、その通りです。彼はあなたと同じ、「陽電子頭脳内蔵の第零法則主義者、ダニール・オリヴォー」です。そして彼がレオナルドにこのガイア創造を指示されました。

ミーター それは、この銀河の既成の事実として考えられている、18000年前のことではありませんね。

ドム それについては、残念ですが、そうでなかったともそうであったともお答えできません。申し訳ありませんが、「わたし/わたしたち/ガイア」は、三代前の記録がないのです。
ただガイアとしては、ミュール事件以来、只今大幅にこの銀河に干渉し初め、あなた方の第1ファウンデーションを筆頭に心血を注いでお助けする決意です。
 ご存知のようにあなた様の麗しいパートナーに感応能力の増大効果を起こさせて頂いたのもレオナルド様の首領様のお達しによっているのです。

イルミナ ミーターさん。ドムさんにこれ以上聞いたら失礼じゃないんですか、と思うんですけど。


ミーターの大冒険  第五部  オーロラへ  第4話  ガイア

2022-12-06 05:00:44 | オーロラへ
120第4話ガイア
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オーロラへ 
第4話 

ガイア


あらすじ

 ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、まずルート通りにコンポレロンに到達した。ミーターは、その星の初めての惑星探索を果たした。
 ミーターは、コンポレロンの人々が最古の星の話題に異常な恐怖感を持つのに、ある理由があることに思いつく。
 それは、太古の星についての忌まわしい伝説、地表は放射能で焼けただれているという。

 問題なのは、コンポレロンからオーロラという禁断の星へのルートがわからない。困難に直面した二人(?)であったが、そのとき、突如としてイルミナが「フィードフォアード症候群」に襲われた。ある感応者の精神と繋がる。例の「アール(R)」いわゆる「不死の従僕」の感応の響きであろうか。
 イルミナは彼女の精神感応力を稼働して、ヴァジル・デニアドールという人物の心理に入り込めた。そこでオーロラについての情報と故郷星の恒星系の特異性を知る。
 しかし、その「航海日誌」は、果たして信用できるのであろうか?
 ファー・スター2世号はさらに深宇宙に、銀河潮流に沿って進む。
 データの不一致が判明する。ターミナスの図書館と18000年前の航海日誌にない天体が進行方向に存在した。ミーターは、イルミナの計算能力に「折り込み済み」と答える。その真相とは? ミーターの推測は的中した。その星は、ガイアであった。しかし、アルカディアの情報の中にほんのわずかに伝わっていたので、ミーターにとってもほとんど未知の領域であった。ミーターは恐る恐るその新たな領域に入ろうとしていた。

120

ドム 私は、「わたし/わたしたち/ガイア」を代表して、「旅の人」にお伝えする。
 ようこそガイアへ。ようやく第1ファウンデーションの方を初めてお迎えできて光栄です。この声は、ガイア軌道の宇宙衛星ステーション経由で地表から送られているものです。あなたは特別なゲストとして地表に逗留することは許されております。
 「わたし/わたしたち/ガイア」の「不死の長老」からその旨聞き及んでおります。どうぞ我らのガイアにお降り下さい。

ミーター ご歓迎頂き、光栄です。私は、ミーター・マロウと言います。残念ですが、同じ第1ファウンデーションとは言っても、Rです。私は、あなた方、ガイアの最上長老、レオナルドさんの友人です。レオナルドさんから遭難中、助けて頂きました。

ドム 私の名前は、ドム・マンディオ・ノヴィ・レンブラスティランです。ほんとうの名前はもっと長いものになりますが、あなたのご便宜上、ドムとだけ呼んで下されば結構です。あなた様のことについては、詳しく、我が R・レオナルド・エノビアレラ様から聞き及んでおります。お傷のお加減はいかがですか?

ミーター ありがとうございます。もうすっかり完治しております。
 まだレオナルドさんはお帰りなさってないのですね?

ドム そうです。あと36年かかるのです。その間、私が「わたし/わたしたち/ガイア」の代表長老として最上長老の代理を仰せ付かっております。

イルミナ まあ、ミーターさんって私に秘密にしていたんですか?ひどいわ。

ミーター そうじゃないんだ、イルミナ。コンポレロンとオーロラの間に謎の天体が恒星系とともにあった。それが突如として出現した。そしてそれがなんなのか、お前に探ってもらった。もし例のガイアだったら、快く応答を返してくると睨んだ。それでわかったんだ。

イルミナ ごめんなさい。私の早とちりだったみたいで。
 通信を遮って、ごめんなさい。続けてください。

ミーター ドムさん、私の又聞きについてお答えください。まず、「反ミュール」についてですが、あなた方のガイアが「反ミュール」の本拠地なんですね?

写真は借用。


ミーターの大冒険  第五部  オーロラへ  第3話  相対主義

2022-12-05 19:59:20 | オーロラへ
119第3話相対主義
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オーロラへ 
第3話 

相対主義


あらすじ

 ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、まずルート通りにコンポレロンに到達した。ミーターは、その星の初めての惑星探索を果たした。
 ミーターは、コンポレロンの人々が最古の星の話題に異常な恐怖感を持つのに、ある理由があることに思いつく。
 それは、太古の星についての忌まわしい伝説、地表は放射能で焼けただれているという。

 問題なのは、コンポレロンからオーロラという禁断の星へのルートがわからない。困難に直面した二人(?)であったが、そのとき、突如としてイルミナが「フィードフォアード症候群」に襲われた。ある感応者の精神と繋がる。例の「アール(R)」いわゆる「不死の従僕」の感応の響きであろうか。
 イルミナは彼女の精神感応力を稼働して、ヴァジル・デニアドールという人物の心理に入り込めた。そこでオーロラについての情報と故郷星の恒星系の特異性を知る。
 しかし、その「航海日誌」は、果たして信用できるのであろうか?
 ファー・スター2世号はさらに深宇宙に、銀河潮流に沿って進む。
 データの不一致が判明する。ターミナスの図書館と18000年前の航海日誌にない天体が進行方向に存在した。ミーターは、イルミナの計算能力に「折り込み済み」と答える。その真相とは?
 

119

ミーター イルミナ、この航宙船ファー・スター2世号アルカディアの館に降り立った時より数日前のことだ、例のムン・リ・コンパーさんが、ここのセーシェル星系の大体の座標を教えてくれた時、「ガイア」という天体の位置を、次のように説明してくれた。
 
「シンナックスの先にガイアがある。その向こうにコンポレロンがある。僕の父の故郷。コンポレロンの向こうにあるのが。セーシェル、その先がオーロラ、そしてアルファ。シンナックスの先がシリウス星系だ。」
 こうとも言った。
 「人類の故郷は、きっとシリウス星系にある」ってね。
 そのシリウス星系にはカノープスやシリウスという恒星のあるって言ってた。そこに行くのに、シンナックスを経由するのが一番近いってね。そのシリウス星系にオーロラという故郷の星の候補があるらしいともね。

イルミナ ミーターさん。そうですね。でも例の「航海日誌」でコンポレロンより先のセイシェルを過ぎた辺りで暗中模索になってしまったわ。じゃあコンパーさんのいう通りだと、現在地点の座標がセイシェル星系とシリウス星の境でしょうかね?

ミーター まあ、どうだかね、ターミナス星の地図の表記区分じゃないんだから、相当曖昧であることはよく了解しなくてはならないって言うことだよ。

 アルカディアが言っていた。
 「中心というのはねえ、ミーター、自分を中心と考える人もいれば、向かい合うものの方を中心と捉えることもあるし、全体の中央を中心と考える人もいる。大事なのは方向性ね。もっと正確に言うなら、見たいものを見るには見たい方向を強く意識することなの。何を大事にするかって言うこと」ってね。

 それにコンパーさんでさえも曖昧だ。おそらくコンパーさんの記憶違いか、教えてくれた彼のお父さんも「また聞き」だったとも考えられる。何が真実であるかは、このファー・スター2世号のコンピューターに任せるのが無難だね!

イルミナ ふう、言って見れば、哲学者の私にしてみれば、「相対主義に徹することも時には必要」ってことかしらねぇ!

 ミーターさん、例の星からの通信が強くなって来たみたい。ファー・スター2世号の照会メッセージに応答してきて、通信を要求してきたわ。

ミーター 普通通信に切り替えてくれ。俺が直接傍受する。いよいよ待ちに待った時が来た。ハニスさんがなし得なかったことを俺がする時が来た。

イルミナ 了解しました、ボス!
 えっ!ハニスさんがなし得なかったことですって!

yatcha john s.

Photo  いずれ起きようとする天の川銀河とアンドロメダ銀河の衝突融合の想像図。