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ミーターの大冒険  第9話 時期の問題か、所在の問題か?

2023-05-20 19:25:25 | プロローグ
77第9話時期の問題か所在の問題か?
ミーターの大冒険 
プロローグ 
第9話
 
時期の問題か所在の問題か?

あらすじ

77 
ハニス  ミーター君、君がいたトランターでプリーム・パルヴァーの時代がようやく過ぎようとしているみたいだな。アルカディアさんがトランター滞在中何を考え、その頃、アルカディアさんの心に重くのしかかっていたことというのは何だったのだろうか?銀河復興の時期の問題か、故郷の星の所在の問題なのかな?

ミーター  ハニスさん。なにを藪から棒に、僕に訊くのですか?そういうことについては、ハニスさんの専売特許ですよ。僕は、ずっとアルカディアと一緒にいた、ということで、彼女の側にいて情報を共有できたというだけですよ。もちろん知っていることはすべてお話しできますけど。

ハニス  すまん。近頃の習慣でね。俺は、アルカディアさんのその頃の気持ちがどうであったか、集中して考えるようにしているもんで、君に訊いて、自分の納得を、再確認したかったんだよ。
まず「時期」の問題から、じっくり考えたのだがね。
 ドーニックがハリ・セルダンの「心理歴史学」に微妙な修正を与えて、晩年のハリがそれに狂喜して頷いた、という。その根拠は何だったのだろうか?

ミーター  ハニスさん。なんという深い洞察力のあるご質問をされますね!そう、アルカディアもその点について、何度も繰り返し自問していました。

 今、その詳細をお答えします。
 ガール・ドーニックの「人類故郷星調査報告書」が、ボー・アルーリンを通して、ハリが亡くなる数週間前に届けられたということです。
そして、それを読んだハリは、深く納得して、後事を二つのファウンデーションに託せたのです。その故郷星の名前は「ガイア」あるいは、別の資料では、「アタカナ」。

 その報告書の中で、特に注目すべき点は、「人類歴史一般仮説」という時間カオス、ガール流に言えば「証古学」の法則、つまり人類は500年をもって固定された文明は交替するというのです。

 そしてその「所在」については、アルカディアは、言い伝えられた銀河の中心、トランターから、「極素輻射体」と同じ原理を使って、銀河中心部の「大ブラックホール」を一直線に飛び越えて、その「極素輻射体」の青色極細照射の直線部分の最終点を、「反対側の端」つまりターミナスと位置付けたのです。

 ここからが、謎解きですよ。ハニスさん。
 もっと正確に言うなら、この煙に巻くような「反対側の端」の意味は、「円には終わりがない」というもう一つの公理からの調整からは逸脱できないのです。

 そう、第二ファウンデーションは、トランターです。

 しかし、ターミナスの偏向によって今や第二ファウンデーションの拠点は破壊されて、別の星に移っているのではないでしょうか?どう思われます、ハニスさん。

 でもね、ここからが本番です。ハニスさん。そして、その逆に、今度はターミナスから始発点にして、その照射をしてみましょう!
 
yactha john s. 『ミーターの大冒険』エピローグ 8 「時期の問題か?所在の問題か?」

#ミーター・マロウ♯ジスカルド・ハニス♯プリーム・パルヴァー♯ガイア♯アタカナ♯人類歴史一般仮説


ミーターの大冒険 プロローグ 第6話 敵を欺くには味方から

2023-05-14 18:27:41 | プロローグ
74第6話敵を欺くには味方から
ミーターの大冒険 
プロローグ 
6話 

敵を欺くには味方から

あらすじ

 ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「心理歴史学」の権威のハリ・セルダンを唸らせた、地球探査の報告書を携え戻ったガールの真実発見とはなんだったのか?
 「微細心理歴史学」という真理なのか?
 ベイタ・ダレルが、ガールの見解を正確に踏襲していた、ということなのか?

 ミュールの必然性とは、ますます展開が際立って来たようだ。

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ミーター ハニスさん、僕のデータでは、サルヴァー・ハーディンの時代とミュールの時代とでは約250年の隔たりがありますが、彼ら同士の関係について何かの真実があると思っているような口振りですね。よかったらこの僕に教えてください。
 大事なことなんですね!

ハニス そうなんだ。ここに身を寄せて貰ってから、そこにターミナスの秘密の根幹部分が隠されているのにやっと気がついてきたんだ。ベイタ文書にハーディンの真意について次のような記録がある。
 「たぶんそれは、心理歴史学者だったら事の真相を悟ったからでしょう─それも、悟るのが早すぎてハリ・セルダンにとって都合が悪かったからでしょう。しかし、われわれは心理歴史学者ではないから、このようにあちらこちらつまずいて歩き、五里霧中でさっぱり真相をつかめずにいる。これがハリ・セルダンの狙いなのですよ」。
 このラベンダー畑のおかげでこの霧が晴れて来た感じなんだね。
「アルーリンの真実」というやつがねぇ!

ミーター アルーリン?あの心理歴史学者ですか。ウォンダとステッティンの仲間第一号の。あのハリに「礼儀正しい盟友」と呼ばれた「ボー・アルーリン」ですね!彼とハーディンの関係について何か?

ハニス 大いにありそうなんだ。ハーディンは根っからの政治人間であったと記録されているが、実はアルーリンの元で心理歴史学の真髄を叩き込まれたんだ。アルーリンは彼を唯一の心理歴史学の後継者と任じていた節がある。

ミーター それがミュールにどういう関係があるんですか、ハニスさん?

ハニス そこなんだよ!ターミナスが生き残り、徐々に銀河の覇権を握るきっかけをつくったのがハーディンなんだがね。そのプロセスというのは、科学技術と宗教という一見場違いにみえる組み合わせによって最初段階は近隣のアナクレオン星域を奪取して行った。銀河全体が原子力技術の忘却によって衰退していくのを横目に見ながら、ターミナスだけが隆盛して行った。他の世界は必然的にターミナスの科学技術の助けだけに命を繋ぐ活路のように仕組んで行った。巧妙なからくりを造り上げて着実に遂行して行った。
 しかしその巧妙な仕組みもついに最近、機能してない。

ミーター ハニスさん。どういうことですか?ハニスさんは、アルーリンとハーディンがそういう筋書きを最初から仕組んでいたと勘ぐっているんですね!

ハニス ミーター君。お見事!ドンピシャだ!流石ホームズの二代目。そこまで分かっていれば、あとは簡単。あとはミュールのことだけだ。

ミーター ハニスさん。ごめんなさい。ハーディンとミュールの関係がもうひとつわかりません。お願いです、ご説明してくれませんか。

ハニス うん、そこなんだよ。「ホルレッゴールの戦い」って分かっているよね。ミュールの勝因は、よく彼の強烈な精神作用力と言われているが、実は原子フィールド抑制機の意味合いの方が重要な気がしている。俺の勘繰りというのは、彼はファウンデーションの科学技術、特に原子力技術に対して、もっと正しく言うなら、原子力を極度に嫌悪していたと理解出来るんだよ。
 その意味で、アルカディアの見解は的を得ている。ファウンデーションの弱点をミュールは的確に利用したということ。

ミーター なんですって!それじゃ、ミュールが正義でターミナスが悪だと言うんですか?
 ガールとアルーリンは私たちターミナスを欺いて来たですって!
 全くの逆??
 にわかには信じられません。ハニスさん!あなたは正気ですか?何のために今までターミナスは戦ってきたんですか?この銀河を復興し、正義を打ち立てるためじゃなかったのですか?あなたの方こそでっち上げじゃあないんですか?

ハニス ミーター君。そんなに怒るなよ。ロボットならもう少し冷静になったらどうなんだ。もう一回、最初からシュミレーションをしてみないかい。冷静に冷静に、真相究明するのが推理探偵の肝だろう。

ミーター わかりました。ごめんなさい。アルカディアも言ってました。「宇宙の謎は神妙、そう簡単には真相は掴めないものだ」と。
 それにしても!ガールとアルーリンの目論見は深淵過ぎます。ロボットの僕にはその論理は、全く把握困難です。その目論見を見事にベイタは深く理解した唯一の人物。そしてアルカディアは祖母の遺志を継いだと。

ハニス ミュールについてだがね。彼の威力は、強烈な精神作用力だと言われているが、彼の存在の由来が、今問題になって来たということなんだ。ミュールの存在を深く探れば、きっとその先に我が人類の故郷、最古の(惑星)世界が見えて来るに違いない。そして、さらにその先に銀河復興が。

yatcha john s.


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ミーターの大冒険 プロローグ 第5話 ハニスの気づき

2023-05-13 01:48:53 | プロローグ
73第5話ハニスの気づき
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プロローグ 
第5話
 
ハニスの気づき

あらすじ
 アルカディアが81歳で亡くなった。彼女の知人のジスカルド・ハニスはアルカディアに感銘を受けていた。そこでミーターとオリンサスとの面倒をみると同時に、ミーターから彼女の遺言の全てを聞く。ハニスは、ミーターとともに彼女の遺志を継ぐことを決意する。それは銀河復興を成し遂げることであり、危険で無謀にみえる挑戦でもあるのだが。
 ミーターは、ハニスの人柄に感銘を受け、彼の並々ならぬ過去の業績を知る。

 アルカディアのハニスへのメッセージは、「人は本来弱い存在」であることをいつも意識することから始まる、という真理に目覚めることである。

73
ミーター ハニスさん。よく最近はここに来られるみたいですね!ここの景色は格別ですね!僕もアルカディアとよくここに来ました。なんか、アルカディアは、「銀河のふるさとの星がもし実在するなら、こんな風景の世界」だと僕に呟いたことを思い出します。
 そして、確かベリス岬の洞窟ってこの裏側でしたよね。

ハニス ミーター君。俺を心配して来てくれたんだな。
 この岬の夕日は、綺麗だ。沈みかけの太陽になにかしかの糸口があるとずっと思ってきた。キミのデータベースの情報の整理にはもってこいの場所だからな。
 過去の銀河の歴史の神妙なからくりが見えてくるようなんだ。言ってみれば、隠されている盲点が沈みかけの瞬間に見える気がする。
 例えば、銀河のふるさとの星とトランター、トランターとターミナス。消された人類の歴史記録の結束点の前と後。
 ハーディンのターミナスとミュール。みんな裏と表が一回転して、真実相がなんとなく見え隠れしてきたんだ!
 キミの独り言の中に出てくる、「分かるかね、ワトソン君!」ってねぇ。あれは、『児童のための知恵の書』の一部なのかい?

ミーター そんなこともハニスさんはご存知でしたか。お恥ずかしい限りです。そうなんです。よくアルカディアと話が盛り上がるときの二人のフレーズなんです。
 僕が「流石、天下のホームズ」と言えば、彼女は決まって僕に「分かるかね、ワトソン君!」と答えたものです。

ハニス ミーター君。沈みかけの太陽になにかしかの糸口があるとずっと思ってきた。

yatcha john s. 「 ハニスの気づき 」


ミーターの大冒険 プロローグ 第4話 アルカディアの精神

2023-05-10 20:57:59 | プロローグ
72第4話アルカディアの精神
ミーターの大冒険 
プロローグ
第4話 

アルカディアの精神

あらすじ
 アルカディアが81歳で亡くなった。彼女の知人のジスカルド・ハニスはアルカディアに感銘を受けていた。そこでミーターとオリンサスとの面倒をみると同時に、ミーターから彼女の遺言の全てを聞く。ハニスは、ミーターとともに彼女の遺志を継ぐことを決意する。それは銀河復興を成し遂げることであり、危険で無謀にみえる挑戦でもあるのだが。
 ミーターは、ハニスの人柄に感銘を受け、彼の並々ならぬ過去の業績を知る。

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ハニス 驚いたな、ミーター君!ここの大ラベンダー畑の中央の見晴らしの丘全体がスライドしてラベンダー畑を少しも傷つけずに、その地下が大格納庫だとは!垂直上下機能のタンカー宇宙船だったら、充分の空間だね!ここまでアルカディアさんは用意周到だとは、驚くべき行動力だ。恐れ入る。

ミーター ハニスさん。彼女のこと、そこまでよくご理解下さり、感謝です。あなたは恐らく今、この銀河でいちばんのアルカディア理解者ですね!僕を除けばねぇ!

ハニス 俺は、ベリス岬の洞窟で発見した消失していた所謂「ガール文書」をアルカディアさんに届けた際、アルカディアさんにジャーナリズムのホントの意味を聞いたことがある。

 彼女はこの俺に丁寧に語ってくれた。

「ハニスさん、よく聞いてね。私は祖母ベイタの生涯を丹念に調べてみました。この宇宙、銀河の謎の答えをね。あなたは信頼できる人物ですね。窓辺にヘディキウム(ジンジャーの一種、「花縮砂」)を置いている理由をご説明すればいいわねぇ。そして無意味(薬用にも食用にもならないと思われていたものに真の意味)だと思われたものを意味のあるものに変えられる能力があるのでしょう。
 素晴らしいわ!ジンジャーの花ことばのようですね! 
 予知とは、ひらめきとひらめきを結びつけることよ。すべては、意味に集中することが大切です。そこから太古の知恵の『大量行動の原則』に従って果敢に挑戦するしかないわね。
 結果・答えはそこから自ずと現れるのよ!そして人間は、本来、弱いということを意識することも忘れずに。」

『鶸』も『花縮砂』も同じ意味だと、教えてくれたんだ。




ミーターの大冒険 プロローグ 第11話 陽電子から第零の法則

2023-01-21 19:24:45 | プロローグ
79第11話陽電子から第零の法則
ミーターの大冒険 
プロローグ 
第11話
 
陽電子から第零の法則

あらすじ

 アルカディアが81歳で亡くなった。彼女の知人のジスカルド・ハニスはアルカディアに感銘を受けていた。そこでミーターとオリンサスとの面倒をみると同時に、ミーターから彼女の遺言の全てを聞く。ハニスは、ミーターとともに彼女の遺志を継ぐことを決意する。それは銀河復興を成し遂げることであり、危険で無謀にみえる挑戦でもあるのだが。
 
 ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「心理歴史学」の権威のハリ・セルダンを唸らせた、地球探査の報告書を携え戻ったガールの真実発見とはなんだったのか?「微細心理歴史学」という真理なのか?ベイタ・ダレルが、ガールの見解を正確に踏襲していた、ということなのか?ミュールの必然性とは?ますます展開が際立って来たようだ。
 そしてその究極的謎の究明には、「極素輻射体」の理解が必須となる。
 ミーターは何度も繰り返されて理解したアルカディアの理論をジスカルド・ハニスに語っていく。セルダン理論は、ハリ・セルダンが見破ったワイ市での出来事から、「ロボット第零の法則」、そしてその法則は「陽電子頭脳」の完全機能の結晶から導き出されたというのだ。それは実に生命と宇宙の根源にまで遡れるという。

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ハニス ハリの「心理歴史学」は、「第零の法則」から自然に導かれる理論というのだな、そして「陽電子頭脳」から自然に「第零の法則」が生み出された、というのだな?ミーター君。

ミーター そうです、ハ二スさん。どんな素粒子にも、反物質は存在します。陽電子とは、電子の『反物質』です。反物質とは、既存の粒子とはほとんど同じ性質を持っているにも関わらず、電気的な性質が逆になっている粒子です。
 そして実は、こういった反物質は、通常の物質の時間逆行粒子だと考えられています。つまり、「陽電子は、時間をさかのぼっている『電子』なのです。
 エントロピーを増大させることが退廃であり、時間順行だとすれば、反粒子の陽電子によっては時間逆行つまりエントロピーの減少作用を惹き起せます。
 つまり陽電子頭脳から過去追慕のメカニズムが働くと思って間違いはないのです。

ハニス では何処まで遡ると言うんだい、ミーター君。

ミーター 理論的には138億年前。それ以前には時間は存在しませんからね。

ハニス それじゃ、現実、未来を構築する本質的力とは何なのかね?

ミーター そこまでお聞きになるんですか。僕は一介の翻訳ロボットですよ。でも頑張ってお答えしましょう。
 陽電子頭脳の傾向は、過去への執着。それに頼っていては、ちっとも未来など展開しませんよ。
 でも、ハ二スさん。有機的生命体は、基本、精神作用でその中でも、人間だけに固有の「想像・創造作用」はエントロピーを減少させます。
 安定的な漸進的進歩は、人間とロボットとの共同によって営まれる、というのがアルカディアの意見なのです。言うなれば、孤立人から全人(他の無機、有機、社会、宇宙との感応状態)への移行が今、策(もと)められている、ということですね。ちょっとくどくて、僕の説明では理解が困難でしょうけど。おわかりになられたら、嬉しいですよ、ハ二スさん。

ハニス それでは正物質と反物質とが衝突して、「対消滅」が起こってしまうのでは?

 さあ、どうなんでしょう!それ以上は、僕にはなんとも、わかりません。これ以上の謎解きは、ハ二スさんのお役目ではないでしょうか?
 なぜなら、陽電子から必然的に無機と人間との同調・感応をはじめて見いだしたのは、「ジスカルド・レヴェントロフ」。あの不死の従僕にその全権を委ねた、貴方の由緒あるお名前の「ジスカルド」ですからね!

yactha john s. 『ミーターの大冒険』エピローグ 11 「 陽電子から第零の法則 」

Photo ∶陽電子を光らせてるジスカルド・レヴェントロフ