子供の頃、確か5歳か6歳くらいのときのこと。
ある日の保育園。
音楽に合わせて積木を積むというミッションが与えられた。
それが完了した者から抜けて、次のメンバーと交代するが、完了できなければ、いつまでも抜けることは許されないという。
自慢ではないが、当時はワタシは同い年の者と一緒にいるのがアホらしいくらいレベルが高かったと思う。
そんな中で、小さい頃から「おゆうぎ」とか、何が面白いのか全く理解できず、たいへん苦痛であった。
さて、与えられたミッションは比較的たやすいらしく、みんな次々交代していく。それを見ながらワタシは焦っていた。
できそうな気がしない。
いよいよ順番がやって来た。
楽しい(んだろうねえ)音楽に合わせて積木をつかむ。
やっとなんとか一段目ができた。しかし次に積もうとした積木は他のメンバーにさらわれ、いっこうに作業ははかどらない。
音楽は終わった。
できなかった。
居残りはワタシだけだ。
次のメンバーとまた曲に合わせて積木を積む。
頑張ってみた。
やはり今回もできない。
二度続けて居残りは、作業の難易度を考慮すると珍しいようだった。
三度目に挑戦。
しかし、今度は一段目の積木さえ確保できない。
熟練するどころか、精神的な疲労もあり退化している。
おそらくワタシは完了できることはあるまい。
ワタシは立ち上がった。
オルガンを弾く保育士のところへ歩み寄り、
「できん」
と言って自席に戻った。
後のことは覚えていない。