春爛漫の紅のいろ

戦前の雑誌から鳥渡素敵な写眞をピックアップ

岡田時彦と光喜三子

2018年05月02日 | 戦前の雑誌(特に映畫)
映画之友 昭和6年4月號より



写眞には以下のようにキャプションが付いて居ります。
蒲田の超特作映畫で、島津(保次郎)監督の「愛よ人類と共にあれ」で岡田時彦と光喜三子の若夫婦

フィルムが現存してないのが何とも悔しいですね。
また、この頃は無声からトーキー時代へと変はりつつある頃で、「トオキー受難時代」副題「彼等は果してトオキーを征服するか!?」という記事で、当時の人気俳優について書かれてゐますが、その中の岡田時彦の部分を以下に抜き出してみます。

岡田時彦・・・
顔と同じやうな聲を持ってゐる、といったら恐らく「そんな言ひ方はない」といはれるかも知れないが、顔と同じやうな繊細な、小味な聲を持つ人である。
あくまで、彼女達の憂鬱な愛人として、近代味を持った二枚目型である。
この二枚目俳優の聲は若い時代の伊井蓉峰のやうに綺麗型ではない。
自叙傳を書いて過去の閨房の有様さへ暴露させて平氣でゐる二枚目である。
何處か皮肉な味がある。
かうした複雑な表現は今迄の映畫でも度々見られてゐるけれども、これに臺詞が加はる時、現在、新劇、新派劇を通じて唯一人といっていい位の立派な二枚目が出來上がると思ふ。
神経が細く行き届く點だけでも、舞臺の人にとっては恐るべき二枚目である。
ただ心配なのはその體力が、どこまで岡田氏を保護するか、ただそれだけである。

トーキーになる前に逝ってしまって聲は聞くことができませんが、現存するサイレントのフィルムから想像するしかありません。


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