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2005年1月スタート

終わりの季節

2005-07-25 00:57:29 | 日記?週記?
 何とも、哀愁漂う今回のテーマだが、別に僕の人生に終わりの季節が到来した訳ではなく、これは単なる曲名である。

 最近、通退勤のクルマの中でよくかけているのが、この曲である。Rei Harakami(日本人だ)という人のLustというアルバムに収録されている。ジャンルではエレクトロニカということになるが、珍しく普通のヴォーカルの入った曲である。

 短い曲なんだけれど、一番エネルギーがみなぎっていて、かつ、そのエネルギーを持て余していた頃を何となく思い出させる曲である。リピートして、何なんだろう、これは?と思いつつ聴いている。

 実はこの曲はカヴァーである。作詞/作曲を手がけ、なおかつ原曲を歌っていたのは、あの細野晴臣だ。YMO以前のフォーク/ロック時代のアルバムであるHosono Houseに収録されており、こちらはもう少し、のんびりとした感じで、これはこれで良い塩梅だ。

 というわけで、通退勤の車内がここ10年におけるリスニングルームになっている。それ以前は、家でジャケットやライナーノーツ片手にレコードが擦り切れ、テープが伸びてピッチが下がるくらい色んな音楽を何時間も繰り返し聴いていたんだけど、最近は自宅で自分が選んだ音楽をかけることがほとんど無くなった。

 ひたすら集中して音楽を聴いていた頃の自分が、今の自分を見たらどう思うのだろうか?
なんて心が硬直したヤツなんだろう、なんて思われないだろうか?ヒヤヒヤする。

 あらかじめ謝っておこう - ごめんな、昔の自分。でも、まぁ、信じられないかもしれないけど、これはこれで案外楽しくやっているんだよ。

バレエと親バカとカミキリ

2005-07-19 00:50:55 | 日記?週記?
 色々と慌ただしい3連休だった。

 まず、中日の日曜日に我が娘ナゴミのバレエの発表会があったのだ。発表会というのは観に行くだけでは済まない。準備が必要なのである。準備を手伝うのはナゴミの母、つまり僕のツマである。ツマが準備で忙しくなると、夫の僕も必然的に忙しくなる、わけではないが、なんとなく忙しくならないと申し訳ないような気持ちになる。そういうわけで、社宅と会場の往復や、残された息子ハジメの面倒をみることとなる。

 さらに話は当日だけではなく、前日にも波及する。前日にもリハーサルという作業が構えているのだ。ツマはリハーサルの支援作業にも携わる。従って、僕はやはり社宅と会場を往復し、残された息子ハジメの面倒をみることとなる。

 さらに話は我々一家に留まらない。リハーサルの日に僕の両親がやってくるのだ。かくして、送り迎えやら、宿泊やら、何やかやと作業が発生する。

 まぁ、忙しい話というのは、書く方も読む方も、面倒なものである。従って、書かない。それに一番忙しかったのは僕ではないのだ。

 というわけで、リハーサルの話を書こう。会場であるホールに入ると、いきなり先生が大声でダメ出しをしている。「みさきッ(仮名)!そこじゃないでしょ、場所違うッ!」「出てくる所、違う!」「全っ然、バラバラ!」とか、もう厳しい。厳しい上に絶え間ない。

 話は変わるが、昔、宮沢賢治の朗読で有名な人が「雨ニモ負ケズ」を読むのを聞いたことがある。こんな感じである。
「あめにもまけぇ~~~ん、ずかぁぜにもまけぇ~~~ん、ずゆきぃにも・・・」
 妙な所で発音が切れるので、逆に切れ目が見えない。

 要はダメ出しが途切れない、ということを言いたかったのである。何も宮沢賢治を持ち出さなくても良かった。

 で、我が娘もこんな大声でダメ出し受けて大丈夫かとハラハラしていたら、我が娘が出てきた。

 しっかり、ダメ出しをくらっていました。腕をムンズとつかまれて、ぶぅん、と振り回されてピタリと正しい位置につきました。「ナゴミ!赤のテープを越えて、黄色いテープで止まるの!」とダメ出しをくらって(ステージには位置決めのために色付きのテープが貼ってある)、ベソでもかくかと思いきや、「ハイ!」と大きな声で返事をした。

 親バカ、と言われようが、思わず立ち上がって「エラい!」と叫びそうになってしまいました、僕は。それを押しとどめたのは「しかし、家であれほどいい返事をしたことがあっただろうか?」という思いであった。家でもちゃんとお返事してね。

 で、当日である。ナゴミが舞台の袖から出てくる。普段は色黒の我が娘が見事に色白にメイクされている(リハーサルではメイクまでしない)。その色白顔が、ニカー、っと笑っている。踊りながらも笑顔を崩さず、目だけは左右を追いつつ、きちんと最後までニカー、っと笑顔を保ち続けた。そりゃ、踊りは一番ではないだろうけれど、笑顔は間違いなく一番だった。歳とか娘とか、そういうのを飛び越えて、とにかく「エラい!」「エラい!」「エラい!」と三連発で褒めちぎりたくなった。きちんとポーズを決めたところで拍手も起こった。

 いや、もぅ、嬉しかった。紙吹雪でも投げたくなった。親バカとでも何とでも呼んでほしい。

<追伸>
 前回、行方不明となったカミキリムシは無事ベランダの隅っこでひっくり返っている所を保護しました(ツマが)。現在は虫かごの中で、同居虫のコクワガタムシと黒糖ゼリーを食べています。

カミキリムシ

2005-07-10 23:34:50 | 日記?週記?
 ある日、家に帰ってくると立派なカミキリムシが虫かごに入っていた。妻か子達が近所で見つけて捕まえたらしい。虫かごには息子が友人からもらったコクワガタが先に住んでいたのだが、カミキリムシはコクワガタの餌である黒糖ゼリーの上に乗って、一生懸命ゼリーを食べていた。

 翌日ベランダに出るとカミキリムシはベランダに居た。やはり黒糖ゼリーの上に乗っている。妻に聞くと、虫かごの中というのも可愛そうなので外に出してやったらしい。妻は続けて、カミキリムシってギュウギュウ鳴いて、可愛いよねぇ、と言う。僕は、カミキリムシが鳴く、なんて知らなかったので驚きつつ、妻の言うようにカミキリムシに触れると、確かにギュウギュウ、ときしむような声で鳴いた。

 僕は家ではベランダで煙草を吸うので、以後は煙草を吸う度にカミキリムシの姿を目にすることとなった。一旦目にすると、指で触れて必ずギュウギュウ、と鳴かせずには居られない。朝にギュウ、夜にギュウ、である。時代劇で、悪代官が美しい町娘を手下に無理矢理連れてこさせ、うなだれる町娘のあごを親指と人差し指で、ぐいっと持ち上げて「愛い(うい)娘じゃのう」とのたまう、アレに似てなくもない。

 さて、カミキリムシは黒糖ゼリーに飽いて、ゼリーを乗り越えて歩き出す素振りを見せたので、今度は同じベランダで妻が育てているスイートピーの茎に移した。移したのは、妻である。妻もこの時点でかなり、カミキリムシに情が移っていたようだ。妻は移したスイートピーの茎に、シロップをつけてやった。

 インターネットでカミキリムシを調べてみると、霧吹きで水を吹きかけてやると、ギュウギュウ鳴いて悦ぶ、とあった。妻にその話をすると、妻は如雨露でカミキリムシに水を掛けてやったらしい。「確かにギュウギュウ言ってたよ」と妻は言ったが、果たしてそれは悦んでいるのだろうか?

 話は飛ぶが、佐野元春に関する逸話で、彼がスキューバダイビングでイルカと戯れた後、こう語ったそうである。
「イルカ、って可愛いよね。頭に小さな穴があるんだけれど、そこに指を入れると、キュウキュウ言って喜ぶんだ。」
頭の穴、ってそれ「噴気孔」、つまりイルカが呼吸する穴じゃないですか!

 妻がカミキリムシに水を掛けてやったのも、同じようなことなのではないだろうか!いや、こっちは本当に喜んでいるのかもしれないけれど・・・。

 その後も、メロンを食べたら、メロンの皮の上に乗せてやったり、色々と可愛がったのだが、先程気になってベランダに出てみたら、姿が見当たらない。懐中電灯で、くまなく探してみたのだが、居ないのだ。

 そう言えば、今夜9時頃だったろうか、ベランダ近くで、鳥が鳴くような声が何度かしていた。こんなにすぐ近くで鳥の声がするのは珍しい。何だろう?と妻と話していたのだが、ひょっとすると鳥に食われたのだろうか?それとも、大きな声で鳴きながら近くの芝生に飛び立ったのだろうか?

 何はともあれ無事でいて欲しい。できれば、明日ベランダに出て、いつものようにスイートピーの茎につかまっている姿を見かけることができたら、これほど嬉しいことはない。

人生いろいろ、ホテルもいろいろ

2005-07-04 01:14:30 | 日記?週記?
 先週は静岡に出張に行った。前泊して、翌日用を済ませて帰ってくる、という予定だったのだが、案の定仕事でバタバタして、出発したのは会社の終業のチャイムが鳴ってから。結局、彼の地に着いたのは、夜の9時半過ぎ。

 さて、前泊したホテル、駅前にある小さなホテルなのだが、フロントに入るとどう見てもフロントの受付のお姉さんとは違う雰囲気のお姉さんが2人。茶髪でキャミソールorタンクトップといういでたちで、「そうか、これが噂のクールビズなのだな」と無理矢理自分を納得させる。

 チェックインをしようとしたら、片方のお姉さんが「どうぞこちらのくじをお試しになって下さい」とビンゴゲームで使う、回転バスケットの中に番号付きの玉が入っているヤツを差し出すので、ハンドルを回して出てきた玉を渡すと、「残念、ハズレです」。

 なんだ、なんだ、と思っていると、今度はもう片方のお姉さんが「お夜食にどうぞ」と菓子パンとブリックタイプのコーヒー飲料を手渡してくれた。

 「あ、どうも」とモゴモゴと口を動かすと、くじのお姉さんが「朝食のお弁当が250円ですが、いかがしますか?」と尋ねるので、「あ、じゃあ、お願いします」と答えると、続けて「何時にお持ちしましょうか?」と畳み掛けてくる。お持ちする?どう考えても部屋にお持ちするようなホテルではないが、「じゃあ、とりあえず7時半」と答える。

 ここまでのやりとりで、頭に「あ、」とか「じゃあ、」とか「とりあえず」とか付いているのは、あきらかに戸惑い、気おされている証である。

 我に返って体制を立て直そうとした矢先に菓子パンのお姉さんが、「それでは、こちらが当ホテルのカードです。10泊につき1泊サービスさせていただきます。どうぞ。」とカードと小さな袋を差し出す。ルームキーと一緒に受け取った所で、「ゆっくりおくつろぎください」とお姉さんが声を揃えて言った。「あ、ども」と僕は言う。結局、気おされたままである。

 部屋に着いて、カードと一緒に受け取った小さな袋を見ると、静岡茶のお茶漬けであった。何だか、吉田戦車の漫画みたいだ。そのうち「ほら、お小遣いよ」とか「千歳飴はいかが?」とか「シャンプーハットをどうぞ」とか言われそうである。

 遅い夕食をとり、ホテルに戻ってきて案内を読むと、4階に大浴場がある。部屋にももちろんバス・トイレは付いているが、いちいち湯を入れたり、加減を調節するのも面倒なので、大浴場に行ってみた。

 大浴場、というには小さいが、小さいながらも壁も床も浴槽も大理石である。サウナもあるので汗をしっかり流してから、洗い場に置いてある使い捨てのナイロンタオルでごしごし身体を洗い、ジェットバスにつかって、疲れを癒す。風呂から上がると脱衣場の隣にマッサージ室と表示された部屋があるので入ってみると、新しいマッサージ椅子が並んでいる。思わず座って、疲労回復コースを選択し、スタートボタンを押す。首・背中・腰は言うまでもなく、ふくらはぎ・足裏に至るまで、入念にもみほぐされ、ついウトウトとしかけたところで、「冷たいウーロン茶はいかがですか?」と言う声がして、ハッ、と我に返ると、西村雅彦みたいなフロントマンがウーロン茶の缶を持って立っている。「は、はい、お願いします」と答えると、肘掛けの上に、そっ、と缶を置いて静かに彼は去って行った。どうも落ち着かない。何となく頭の中にハテナマークを3つくらい抱えたまま部屋に戻って、明日の予習をしてから床に就いた。

 翌朝、目が覚めて、7時半きっかりにドアをノックする音が聞こえ、昨夜の菓子パンのお姉さんが、お弁当を持ってきてくれた。部屋で弁当を食べながら、改めて部屋を見回す。狭いが決して不快ではない。出窓には、ポトスの鉢植えがあり、きちんと育てられている。

 言い忘れたが、このホテル、税サ込みで1泊たった5000円チョイなのだ。カードを使用したら、1割引きのようなものなので、実際は5000円を切ってしまう。

 そう考えると随分と有り難いホテルだけれど、次回来る時迄に潰れないことを祈る。