能勢謙三の鹿児島まち案内日記

1534 1枚の新聞切り抜き

東京に住む姪っ子がこのほど、101歳のじいちゃん(私の父)に会いに鹿児島へ遊びに来て、「これ読んで」と私に1枚の新聞切り抜きをプレゼントした。11月8日付毎日新聞夕刊の「あすへの話題」というコラム。ノンフィクション作家、梯久美子さんが書いた「バスからの眺め」という見出しの記事だった。
それによると、
鹿児島を訪れていた梯さんは最終日、空港行きのバスに乗るまで2時間くらい余裕があったのでタクシーで城山へ向かった。10年ほど前に、山の上の老舗ホテル(城山観光ホテル)の庭に面したカフェでお茶を飲み、桜島の眺めを楽しんだのを思い出したのだという。
暖かく穏やかな晴天。見事な眺めを満喫しながら地ビールを味わった後、帰りは鹿児島中央駅までホテルの送迎バスを利用した。広大な風景、山の緑、街の色づきかけたイチョウ並木に接して、改めて鹿児島の魅力を発見した気持ちになった次の瞬間、梯さんは、バスの窓ガラスが曇り一つなく磨かれていることに気づいた。「ホテルの送迎バスには珍しいことで、街があんなにも輝いて見えたのは、この窓のおかげもあったのだ。駅までのわずか数十分だが、手を抜かないホテルの姿勢が、旅の終わりの時間を幸福なものにしてくれた」と、梯さんは結んでいた。

城山展望台から(資料写真)

後日、このことを同ホテルの知人に伝えると、「その記事は既に社内ネットで従業員に配信されました。うれしいことです」と返信が来た。良かった、と思った。

そして先日、茨城に住む私の兄から一通の封書が届いた。「海外出張から帰り、たまった新聞を斜め読みしていたら目に留まった」と、1枚の新聞切り抜きが同封されていた。姪っ子が持ってきてくれたものと全く同じものだった。

鹿児島に縁のある者がそれぞれに、「鹿児島」に目が留まったのだな、と思うと、何だかうれしくなった。

ともあれ、たかが窓ガラス1枚、されど窓ガラス1枚。私たちは心しなくては、とも考えさせられた。


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コメント一覧

もう66歳
http://yaplog.jp/5098/archive/1832
やはり老舗で長く続くホテルは何事も徹底していますね、誇りにおもいます。それに比べて鹿児島市議会の問題意識の無さにはあきれてしまいます。来年の西郷どんを当てこんでハード面を整備、新設しても魂が入っていなければダメですね。
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