【やさしい俳句入門】(埋字3・下五を埋めてみる)
さて8日の記事の「下五を埋めてみる」の2問。
- 野良犬がついてくるなり「 」
- 火事を見て戻る道辺に「 」
本日は、①に挑戦してみます。
わたくしの書き込みには「梅雨滂沱」「夏真昼」「冴ゆる風」「雪模様」とありましが、おそらく下五には時効や天文の季語が入るに違いないと思って、このような言葉になったのだろうと思います。
そして実験句では
松井氏「野良犬がついてくるなり霜の朝 というのがありました。これは、冬の朝、なんとなしに人恋しくなったのでしょうか、野良犬が人の後をついてくる。寒さが厳しいので、犬も人恋しくなったというわけで、「霜の朝」としたわけです。」と。
※わたくしが「冴ゆる風」とした発想と似ています。
他の実験句では
松井氏「野良犬がついて来るなり大西日 というのがありました。これは野良犬がついてくる、そして西日が長く射す、おそらく犬も、そしてその前を行く人の影も長く伸びたのでしょう。そうした童謡の世界というか、子供の世界というものがここにでて来ます。」
※わたくしは、なんらかの時候、天文の季語、そして夏、もしくは冬を連想する句が多いのではないか・・・と、思いましたが、やはりそうでした。
さらに実験句として
「野良犬がついて来るなり枯野道 これも、冬の景色でよくあることですが、やはりその、枯れた中を野良犬がついて来るという淋しい風景としてとらえています。」
さて原句は
野良犬がついて来るなり墓参り 寺田寅彦 松井氏「これは寺田寅彦の句で、墓参りとしているのは、そんなに優れた下五ではなくて、わりに平凡です。平凡ですが、少なくとも下五を変えると、枯野道とか、霜の朝という淋しい風景(略)、大西日になると、童話的になる。こういう違いが下五で出て来るということを知ってもらえば結構です。」と。
※ 正直この句の「解答」を読んだとき、あまりインパクトを受けませんでした。
松井氏も「わりに平凡です」ということでしたが、あえてそうした問題を提出することで、「下五」における違いを強調したかったのだろうと思います。
※典比古
次回は②の 火事を見て戻る道辺に「 」
の「解答」をお知らせします。
しばらくは雲間を泳ぐ昼寝かな 典比古(絵も)