シャンパンブレイク

30年以上JAL国際線客室乗務員としてフライトし現在癌の治療中。お酒大好き旅が大好き趣味はランニング~

つらい現実

2009年04月12日 | 
ラウンジで井戸端会議メンバーで一番の元気印のゆう子さんと三枝子さんのことを心配していると、そこへご家族の方がいらっしゃいました。

「昨日はご迷惑をおかけしたようで申し訳ありません。」

「いいんですよ。全然気になさらないで。お互いさまなんですもの。ところで三枝子さんは納得されました?」

「はい。最初はなかなか信じてくれませんでしたが、私たちも先生から本人が言われたことと同じことしか聞いていませんし・・・そう何度も言いましたら・・・やっとわかってくれたようです。」

「良かった~。あんなに落ち込んでは良くなるものも良くなりませんし。ご家族も大変でしょうけれど、一番ショックなのは本人なんですから。私達にはその気持が良く分かります。大丈夫。すぐに立ち直りますよ。私も経験者ですから。」

ご家族の方も疲れたご様子で、今後ともよろしくお願いしますと挨拶されてお帰りになりました。

この元気印のゆう子さん。
私が入院した時に最初に声をかけてくれた人です。
凄く明るくてとても病気とは思えない。

癌になる前は山登りが趣味で、日本だけではなくカナダやアルプスの山々、中国やアジアなど、世界中を節約登山と称してお仲間たちとお金をかけず、登山旅行を趣味としていたのだそうです。

専業主婦だというゆう子さんですが、お話は百戦錬磨の超キャリアウーマンといった感じなんです。とてもパワフル。

彼女は大腸癌。
それもかなり進んでいて、見つかった時には即手術といわれたそうです。
自覚症状は全くなし。寝耳に水状態だったと言います。
入院した病院では肛門を残すことは難しく、人工肛門の手術となる説明を受けたそうです。

「人生明日はわからない」とは良く言い当てたもの。
思いもしないところで人生行路の大暗転に遭遇、この私がガン・人工肛門という重荷を背負って、60路坂にさしかかることになろうとは夢にも思わなかった。
最初はどうしたら良いのか?
とにかく人工肛門だけでも・・・どうにかできないか・・・?
何度も担当医師と話し合いをしたそうです。

インターネットでこの病院を知り、担当医と相談して、紹介状を書いてもらいこの病院の門をくぐったのだそうです。

この病院では、癌切除の大腸癌手術で半年間だけストーマ(人工肛門)で、半年後の再手術で元のように自分の体で排泄できることが可能という診断が下りました。

これを聞いてゆう子さんは悩んだそうです。
最初の病院では手術日まで決まっていたことと、再手術がうまくいくかどうかは可能性に賭けるということになります。

担当医の先生が、
「手術台に乗る直前まで考えて、いつ中止しても良いから自分の考えで決めてください」という一言と、
息子さんが
「後で後悔しないように」
という一言で、お世話になって申し訳ないけれど、たとえ失敗でも仕方ないと覚悟してこの病院での手術を決めたのだそうです。

そういう経緯を経て今は無事に手術に成功し、私たちを励ますことに徹しているのだそうです。

ゆう子さんとおなじように、私が入院した時からお世話になった井戸端会議のメンバー大山さんは幼稚園の園長先生。
ずっと忙しく人生を走り続けた挙句が癌。
最初は胃癌と診断されて入院したけれど、調べていくうちに転移も見つかり手術はできないという結論を下されてしまった一人です。

とても優しくて穏やかで、明るくて。
今ではご自身の病気を受け入れて、無理せずに向き合っていこうと思えるようになったと話してくれます。
私が痛いと愚痴をこぼすと、
「いいじゃない。切った痛みでしょ。うらやましいわ。手術が出来て」
なんて言って明るく励ましてくれます。

その大山さんは抗がん剤治療に変更ということで、病棟が変わり、お会いすることが少なくなってしまいました・・・淋しい・・・
(癌の症状や治療法、部位によって病棟が別れている。)

あっちをむいてもこちらを見ても入院患者はすべての人が癌患者。
そういう私も癌患者の一人です。



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