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芝増上寺ー東京の中の江戸PART2

2005-04-29 15:51:29 | 江戸由縁東京旧聞
先日「芝増上寺ー東京の中の江戸」のところで、かつて増上寺に
葬られていた徳川家将軍達の墓が改葬のため開けられて、遺体
やら遺品やらの学術的調査が行われたと書きました。

これは昭和33年に東京大学の鈴木尚教授らによってなされた
もので、そのときの報告書として出版されたものが「増上寺徳川
将軍墓とその遺品・遺体」-鈴木尚・矢島恭介・山辺知行編です。
東京大学出版会が発行所で当時の価格で8900円でした。
やっと手元に来ましたので簡単にご説明します。

この本の大きさは横22センチ、縦30センチ、437ページに
わたる詳細な医学的報告、さらに骨格などの写真、英語による
報告もあって大変立派なもので、ちょっとした百科事典の一冊分
はあろうかと思われる重さがあります。
内容の大部分は医学的解剖学的データが多くを占め専門的な用語
がやたら多く出て来ます。

かつて埋められていた将軍達や正室、側室および幼児の遺体、
さらに副葬品などにも微にいり細にいり調査の手が加えられ
説明がされていますので、どうしてもこのような厚さになって
しまうのでしょう。
ホントに重い本で気軽に持ち歩けるものではありません。
 
焼失前の建築物の写真や墓の構造にも触れ巨石を取り除くのに
苦労したところや、動かしたが故に取りだすための他の方法を
考えねばならなかった、など大変な仕事だったことが想像できます。

また報告書の性格から当然ですが、将軍や側室たちの頭蓋骨の
写真もあり、正面、横、上、後ろと各角度からの撮影で、特に
九代の家重などまだ髷が残っておりリアルです。無論他の骨に
ついても一本一本について詳細な説明があり、また歯についても
それぞれ所見があり、将軍を含む21体についてこと細かな観察が
なされていて、全体的に将軍家の遺体に関する法医学報告書と
思えば間違いないでしょう。
 
副葬品についても2代将軍秀忠では27点あってほとんどが
絹小袖や座布団で他に扇、鉄砲、刀といったところですが、
一方14代家茂の副葬品は34点で、そのうち興味深いのは
日本読みの目盛りの入ったオランダ製の華氏寒暖計やロンドンの
ベンソン社製の懐中時計が含まれていることです。
時代の変遷が副葬品からも読み取れるといったところでしょうか。

という訳でこの連休中はこの報告書と格闘中です。疲れそう。

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