国見温泉は秋田駒ヶ岳の登山口に立地する温泉で、雪に閉ざされる 11~5 月の間は冬季休業となる。江戸時代にはすでに知られた温泉だったようで、南部藩の湯治場だったそうだ。湯は美しいエメラルドグリーンを呈し、東邦大学の研究によると、炭酸カルシウムと硫黄コロイドがレイリー拡散することで青色を呈し、それと多硫化イオンの黄が合わさることで緑色になるとのこと。
国見温泉は森山荘と国見山荘で入湯したことがあるが、大本命の石塚旅館は時間の都合で今回が初めて。浴室は 2 ヵ所に分かれているが、いずれも同じ源泉を使用している。まず最初に向かったのは小浴場だが、素晴らしい緑色の湯に思わず感嘆の息が漏れる。綺麗に澄んだ緑色で、深く蒸した緑茶のような色だ。かけ流し量も多く、鮮度は抜群に良いが、いかんせん熱く、長湯はできない。味は苦味とエグ味、においは…国見温泉や他の緑色に透く硫黄泉に特有のにおいだ。小浴場から外に出ると混浴の露天があるが、あいにくの豪雨で雨水交じり、色も黄味が強く、見学だけにした。これとは別に薬師の湯という大浴場もあるが、そちらはやや濁りがあり、透明度は 40 cm ほどで濃い緑色だった。こちらもしっかりとかけ流されていたが、湯舟が大きいためか入りやすい温度となっていた。
においについて諸氏のホームページを確認したところ、硫黄臭+αの形で、薬臭、アブラ臭、クレゾール臭、墨汁臭など、様々な表現が散見された。次回は宿泊でオフ会を開き、このにおいをどう表現すべきか温泉仲間と意見交換するのも楽しそうだ。
(2019 年 8 月)
◆源泉情報◆
源泉名:薬師の湯
泉質:含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩泉
湧出量:209 l/min
泉温:49.0℃
成分:pH7.0、溶存物質 4084 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。
ナトリウムイオン | 851.5 (78.62) | 炭酸水素イオン | 2507 (78.12) |
マグネシウムイオン | 77.7 (13.56) | 塩化物イオン | 198.5 (10.65) |
カルシウムイオン | 57.2 (6.05) | 硫酸イオン | 220.0 (8.71) |
メタケイ酸 | 63.6 | 硫化水素イオン | 40.8 (2.34) |
遊離二酸化炭素 | 303.3 | 遊離硫化水素 | 46.1 |
分析日:2014 年 12 月 1 日
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