入湯求湯巡礼行記

これまでに訪れた温泉を紹介します。
時代に逆行し、写真は基本的に載せません。
変換できない残念な名称のブログです…

犬吠埼温泉 犬吠埼ホテル (千葉県銚子市) ★★

2020-07-27 | 関東の温泉

犬吠埼は古くから景勝地として知られ、明治期には旅館ができた。しかしながら、温泉を掘り当てるには 1000 m ものボーリングを要したため、ホテルや旅館に温泉が引かれたのは平成に入ってからである。現在は、潮の湯、屏風ヶ浦温泉、黒潮の湯の 3 源泉が使用されている。

犬吠埼ホテルは黒潮の湯を引いており、海の見える露天の大浴槽と 1 人サイズのポリバスに使用している。大浴槽の縁から寝湯の方へオーバーフローしており、おそらく循環かけ流し併用であろう。ポリバスは源泉かけ流しと書かれていたが、一向にオーバーフローすることはなかった。塩味、臭素臭、消毒臭のある湯で、湯上りは食塩泉らしくベタベタとした肌ざわりだ。大浴槽は無色透明だったが、ポリバスでは黄褐色透明であった。源泉の素性はなかなかに濃く、臭素、ヨウ素、アンモニアなど特徴的な成分も多が、それほどキャラクタレスティクな感じはしなかった。加水はしていないとのことなので、十年余りの間に成分が減少しているのかもしれない。他に露天には海草風呂、内湯に白湯の大浴場、サウナ、水風呂がある。海藻風呂はヌルヌルを期待したが、洗濯ネットにわずかばかりの海藻が入ったのが沈められているだけで、ただの白湯と言って差し支えなかった。

源泉かけ流しを謳いつつオーバーフローのないポリバスやなんの特徴もない海藻風呂など、やや残念に感じる点が多かった。一部の浴槽でオーバーフローがあったのはよかったが、オーシャンビューに甘えず、風呂のコンセプトを見直すべきだろう。


(2020 年 7 月)


◆源泉情報◆
源泉名:犬吠埼温泉黒潮の湯
泉質:ナトリウム-塩化物泉
泉温:23.6℃
成分:溶存物質 22730 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。

ナトリウムイオン 7425 (82.55) 塩化物イオン 13690 (99.26)
カルシウムイオン 1075 (13.71) 炭酸水素イオン 101.9 (0.43)
マグネシウムイオン 154.8 (3.26) 臭素イオン 51.2 (0.16)
アンモニウムイオン 11.7 (0.17) ヨウ素イオン 52.5 (0.11)
鉄 II イオン 5.7 (0.05) メタホウ酸 85

分析日:2009 年 2 月 5 日


北浦温泉 北浦壮 (茨城県行方市) ★★★

2020-07-23 | 関東の温泉

北浦に架かる鹿行大橋のたもとにある老人福祉センターである。橋の完成に合わせ 1968 年に建設されたが、温泉が湧いたのは 1979 年のことで、養鯉場と設けるために井戸を掘った際に出たものだそう。

建屋外装はおそらく 1968 年当時のものであろう (築 46 年?)。大変に年季が入ったコンクリの 2 階建てである。休憩室が広く取られているが、地域の老人で込み合っていた。浴室は 1 階の最奥にあり、おそらく温泉を掘り当てた際に増築したのであろう。決して広くはない浴室であるが、こちらも賑わっていた。内湯のみで、湯舟は 2 つあり、いずれも加温源泉がオーバーフローしていた。湯はやや褐色に色付いているが薄く、ツルスベ感もほとんどない。

ちと混み合っていてくつろげなかったが、地域の高齢者のための施設であり、それは致し方ないことだろう。茨城県内では珍しいかけ流しの湯であり、それだけで満足であった。


(2014 年 1 月)
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<再訪>
6 年ぶりに再訪してみた。相変わらずの佇まいである。いずれの浴槽も熱めに沸かされた源泉が注がれ、かけ流されていた。体感で 44℃ ほどに感じる湯は、澄んだ褐色の湯で、甘いにおい、塩味が感じられた。ツルスベ感もあるが、それほど強くはない。


(2020 年 7 月)


◆源泉情報◆
源泉名:北浦温泉
泉質:ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
湧出量:150 l/min
泉温:16.6℃
成分:pH8.6、溶存物質 1667 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。

ナトリウムイオン 458.1 (78.46) 塩化物イオン 622.0 (69.60)
マグネシウムイオン 26.6 (8.62) 炭酸水素イオン 324.7 (21.11)
カルシウムイオン 41.5 (8.15) 炭酸イオン 23.5 (3.10)
メタケイ酸 48.5 硫酸イオン 74.1 (6.11)

分析日:2008 年 12 月 15 日


平潟港温泉 砥上屋旅館 (茨城県北茨城市) ★★★

2020-07-21 | 関東の温泉

平潟漁港は福島県との県境に近い漁師町で、集落には 20 程の旅館や民宿がある。そのうちのいくつかには平成に入ってから温泉が引かれているのだが、入浴のみ受け付けているところがあまりないこと、また、冬場には名物のあんこう料理目当ての宿泊客が多く、予約がとりづらいことから、温泉マニアの中でも情報の少ない温泉地である。

砥上屋旅館も、入浴のみでは利用することができない“のみ不可”の旅館である。明治 40 年創業の老舗で、建屋は創業当時のものとのこと。漁港ビューな浴室はこじんまりとしており、浴槽は 2 人サイズといったところ。湯口でアブラ臭のする湯がかけ流されており、口に含むと強苦味と塩味を感じた。また、よく観察すると、赤茶色の浮遊物もみられた。湯温は適温 (表示によると加温ありとのことだが、貯湯したものを使用しているのだろうか) だが大変温まりがよく、窓を開けて漁港をぼんやり眺めながら湯に浸かったり、寒風で熱りを冷ましたりを繰り返した。

どぶ汁風のあんこう鍋もおいしかったが、特にタコの煮物とあん肝の和え物が絶品だった。漁師から作り方を習ったという和え物は何という名前だったか、教えていただいたのに忘れてしまったことが唯一の心残りである。


(2020 年 2 月)
※お気に入り度は湯使いや浴室の設えによるもので、客室や食事は評価対象外としています。


◆源泉情報◆
源泉名:五浦元湯温泉 2 号泉
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
湧出量:450 l/min
泉温:63.0℃
成分:pH8.0、溶存物質 12030 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。

ナトリウムイオン 3009.0 (63.95) 塩化物イオン 7384.0 (99.67)
カルシウムイオン 1428.0 (34.81) 炭酸イオン 8.9 (0.14)
ストロンチウムイオン 18.9 臭素イオン 2.4 (0.01)
メタケイ酸 50.0 メタホウ酸 53.6

分析日:2009 年 10 月 6 日


内原元湯温泉 湯治の湯 (茨城県水戸市) ★★

2020-07-20 | 関東の温泉

水戸市内にはかつて成沢温泉、水戸ラドン温泉、霞温泉「夢の湯」などの温泉施設があったが、いずれも廃業してしまっている。2019 年現在、現存するのは内原温泉「湯泉荘」のみであったが、水戸市郊外のデイケアセンターが、新たに温泉事業を始めたとのことで調査してみた。

建屋は大きく、休憩所や食事処のスペースが広く取られている。一方、浴室は施設全体の大きさからするとやや手狭に感じた。内湯は真ん中に仕切りがあり、それぞれに同程度の湯が注がれていて、ぬる湯とあつ湯のような温度の違いは判らなかった。他に水風呂、サウナがあり、露天もあったが、そちらは湯が張られていなかった。メタケイ酸による規定泉と聞いていたので、大した湯感はなかろうと考えていたが、ぬるりとしたツルスベ感のある湯で、細かな気泡がびっしりと付くのには驚いた。基本は循環のようだが、人の出入りなどで湯量が減った際には源泉が追加されるよう。

従業員の方は大変親切で、感じよい。オープンしたての土曜なのに人が少ないのが気がかりであった。


(2019 年 9 月)


◆源泉情報◆
源泉名:源泉水戸内原元湯温泉
泉質:規定泉 (メタケイ酸)
湧出量:110 l/min
泉温:16.1℃
成分:pH9.4、溶存物質 162 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg)。

ナトリウムイオン 26.4 炭酸イオン 28.0
メタケイ酸 91.8 炭酸水素イオン 9.8

分析日:不明