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投資に重要な指標を紹介したい

日銀金融緩和見送りショックの影響は甚大

2016-04-29 23:00:25 | 日記
4月28日に発表された2016年3月の消費者物価指数は、総合指数が対前年同月比マイナス0.1%、生鮮食品を除くコア総合指数がマイナス0.3%と落ち込んだ。2018年4月8日が任期終了となる黒田日銀総裁は、コア指数2%を目標としているため、4月28日開催の日銀金融政策決定会合で、何らかの金融緩和策を発表するものとマーケットは予想されていた。金融緩和によって円安・株高が進めば、輸出関連企業収益の回復や、資産効果による消費拡大も期待されたが、金融緩和見送りによって、失望感からの円高・株安が進んでいる。特に、アベノミクス(2012年12月16日の衆議院選挙で自民党勝利)と日銀金融緩和(2013年4月4日に金融緩和発表)への期待感から、2012年12月~2013年12月の13か月間で日本株を約16.7兆円買い越した海外投資家の失望感は大きい。そして、日銀の金融緩和見送りは、企業活動や消費マインド回復の適切な策が見当たらないという印象を与えることになる。安倍政権の消費税引き上げ時期先送りについても、そうするしか打つ手がない状況を表明しているわけで、アベノミクスに対する失望感が増している。海外投資家は、アベノミクスによる経済回復への懸念から、2016年1月~3月で、日本株を約5兆円売り越した。おそらくオーバーウェイト(基本的な保有量よりも多めの投資)になっていた、日本株の保有ポジションを中立な水準まで調整したのだろう。しかし、日銀施策とアベノミクスが行き詰まったと考えれば、アンダーウェイト(中立な保有量よりも減少させる)するために、更に日本株の売りを拡大させる可能性は高まるだろう。一方で、構造改革により、消費・サービスの拡大に向けて過剰設備投資・過剰在庫・過剰生産の調整が進み始めている中国経済指標は順調で、中国経済の底入れにより、資源・新興国経済指標にも明るさが見え始めている。特に鉄鉱石価格は、1月の1トン当り35ドル近辺の水準から、60ドル前後まで約70%程度上昇。原油先物価格も1バレル当り45ドルを超えている。米国市場では製造業の業績が悪化し、2016年1月~3月期の実質GDP成長率が前四半期比で年率0.5%にとどまったことを嫌気して株価下落となった。しかしながら、対前年比でみると2.0%の成長で、個人消費支出は対前四半期比で1.9%の伸びと堅調だったことや、1月~3月は原油価格が20ドル台まで下落し、エネルギー関連事業の低迷があったことを勘案すると、今後は、原油価格の回復に沿って成長率改善が期待される。今まで割安な水準にまで調整していた資源新興国通貨・資産の回復や、為替の影響を受けにくく、マイナス金利で、日本の不動産関連資産パフォーマンスには期待が高まるだろう。一方で、日本経済の改善が進まないことを、中国経済減速やエネルギー価格下落の影響として説明されている部分が多いが、既に、そのような要因は改善傾向となっている。むしろ、製造業や輸出産業の拡大に託している日本の経済対策に問題があることを投資家は認識し始めることになるであろう。世界レベルでの金融緩和は、着実な個人消費改善により、緩やかながら経済成長を期待する戦略であり、供給拡大を促進することではなく、着実な需要を拡大する政策だ。そして中国も過剰設備投資を抑え、ボトムアップの消費・サービスの拡大を図る方向に政策転換している。そのような環境で、製造業大企業を中心に、トップダウンで経済成長を図ろうとする戦略は、曲がり角に来ているようだ。資源新興国資産と日本の不動産関連資産以外は、調整が拡大しそうな状況だ。

市場リスク要因のチェック

2016-04-26 20:44:27 | 日記
(タックスヘイブン)
パナマ文書で、タックスヘイブンにおける口座情報に注目が集まっている。しかしながら、タックスヘイブンの国や地域は、資源や製造業などの産業が少ないために、収入を拡大する政策として、課税水準を下げることで外資系企業を誘致し、観光産業などにも力を入れている。結果として、合法でタックスヘイブンの国や地域に、課税軽減という特殊な目的での関係会社を設置してビジネスを行うケースは多々ある。投資信託でも、海外での課税を避けて、国内投資家に2重課税とならないように配慮し、ケイマンやバミューダなどに外国投信を設定してグローバルな運用を実施し、ファンド・オブ・ファンズとして国内投信が外国投信を組み入れる仕組みは効果的だ。つまり、タックスヘブンに口座があったとしても、それが合法であるものならば問題にはならない。一方で問題になるケースは、マネーロンダリングなどの違法な資金の保管口座の場合や、政治家等、自分の資産を公開しなければならない立場にある人間が、タックスヘイブンに隠し口座を所有している場合だ。隠し資産をタックスヘイブンに保有している場合には、その政治家の失脚などによる政治リスクとなるが、法や規則に乗っとった口座がほとんどであることも事実だろう。実際に、タックスヘイブンの国や地域は、外資系企業の誘致に成功しており、実質GDP成長率も高い。IMF(国際通貨基金)が発表した2016年実質GDP成長率予測は、パナマが6.1%、ドミニカ5.4%など堅調で、観光のみならず、合法的な外資系企業活動の諸費用が政府収益としてプラスの効果を挙げている。

(英国のEU 離脱国民投票)
2016年6月23日に、英国において欧州連合(EU・加盟国は28か国)から離脱するかどうかの国民投票が実施される。英国がEUを離脱すると、世界金融取引の中心地となっているロンドンから、金融機関がパリやフランクフルトといった欧州地域に拠点を移すというリスクや、欧州向けの輸出が関税引上げで大幅に減少するというリスクが発生することから、最終的には離脱しないだろうという予測が多い。しかしながら、国民選挙なので、結果は蓋を開けてみないとわからないだろう。特に英国はEUに加盟しているが、通貨はユーロ(ユーロ適用国は25か国、うちEU加盟国は19か国)でなくポンドを使用。欧州では国境検査を撤廃して、自由に通行ができるというシェンゲン協定に加盟している国が多く、EUに加盟していないスイスもシェンゲン協定に参加しているが、英国は安全保障の観点から、シェンゲン協定を認めず国境検査の排除はしていない。シェンゲン協定によって、イタリアのミラノからスイスのローザンヌを通ってフランスのパリに行くにはパスポートの検査がない。しかし、ロンドンのセント・パンクラス駅からパリのガール・ド・ノール駅(北駅)に行くにはパスポートの検印が必要になる。シリア難民の取り扱いなど、治安や労働の問題からは、英国がEUから離脱すべきという意見も多いだろう。では、英国がEUから離脱すると、どのような影響があるのだろう。まず、成長率が大きく低下する可能性が高い英国のポンドが対ユーロで大幅に下落することになるだろう。一方で、英国はEUで第2位の経済規模だ(IMFが予測する2016年の英国GDP規模は2.76兆ドル)。第1位はドイツの3.47兆ドル(小数点以下四捨五入)、第3位がフランスの2.46兆ドル、4位がイタリアの1.85兆ドル、5位がスペインの1.24兆ドル、6位がオランダの0.76兆ドルで、英国のEU離脱は欧州大陸にも影響を与え、通貨ユーロは対米ドルで下落することになるだろう。円から見れば、米ドル高が期待されるので、大幅なユーロ安は避けられそうだが、英国ポンドは大きく下落する可能性が高まる。ただし、英国の国民投票でEU離脱が決定されたとしても、即座にEUからは離脱できない。リスボン条約の取り決めで、EU離脱表明から2年を経て、他のEU加盟国が英国の離脱を承認して初めてEU離脱が成立するため、最低2年以上の期間が必要になる。したがって、英国国民投票の結果が即座に影響するわけではないことは心に停めておくべきだろう。結論としては、英国EU離脱は英国ポンド安の要因となるが、離脱危機が数年先となることから、ユーロや世界株式の暴落というのは想定しづらいということになる。

(サウジアラビア・アラムコの上場)
サウジ・アラムコ(SAUDI ARAMCO)が約2兆ドルの株式上場の計画を発表した。約200兆円以上の上場は世界最大だが、引受け手にサウジアラビアの政府資金が加わるとのことで、オイルマネーが現在保有の株式を売却し、新規株引受に回り、世界株の需給悪化要因となりそうだ。ただし、すぐに上場を実施する訳ではないことには注意すべきだろう。また、利回り水準からは株式の配当利回りは、米国S&P500指数で4月25日に1.97%(出所:ウォールストリートジャーナル)、ニューヨークダウ工業株30種が2.26%、日本でも東証1部株価指数時価加重平均で2.03%(単純平均は1.79%)であることから、株式売却による現金化よりも、保有債券の売却が先行する可能性は高い。米国ニューヨークダウ工業株30種の高値が2015年5月19日の18312ポイント(日中高値は18351ポイント)であったことから、米国株の高値に近づくと、オイルマネーの売却を懸念して警戒感が高まりそうだ。その反面、エネルギー銘柄の価格下落が足を引っ張っていたが、原油価格が1バレル当り45ドルを超えるような展開があれば、エネルギーセクターの反発により、高値更新の可能性も高まる。オイルマネー全体の収益も含めて、原油価格の動向が、世界株の方向性に影響しそうな状況だ。

(JREITの需給)
円高懸念により企業収益の低迷が不安要因になっているのであれば、世界レベルの金融緩和と、日本のマイナス金利によって、REITに注目が集まりそうだ。個人消費の最大投資が不動産であり、都市部の不動産市場は堅調だ。海外REIT も順調だが、円高のケースには為替により評価損が発生している。その為替要因を取り除くとすればJREITが有力な投資対象となるだろう。日本取引所が発表しているレポートによると、3月末の東証REIT指数は1896.40、時価総額加重平均予想年間分配金利回りは3.25%だった。本日4月26日の1962.40でも利回りは3.14%。3%の利回りまで買われれば、東証REIT指数が2050ポイントを超える計算になる。2015年における投資信託のJREIT買越し金額は2254億円、2016年2月・3月の売越し金額は1068億円、個人投資家の2016年2・3月のJREIT売越しは984億円。逆にマイナス金利によるJREITの投資利回りに注目した海外投資家が、2016年2月・3月に1999億円の買い越し。昨年のJREIT戻り売りと、利益確定の売りがほぼ出尽くしてきている模様で、新たな海外投資家の買いに支えられているJREITマーケットは一段の高値水準を狙う可能性が高まっているのではないだろうか。

好転した日本株・通貨先物市場の需給

2016-04-25 05:22:52 | 日記
(米ドル円需給)
CFTCが発表するシカゴマーカンタイル取引所の投機的ポジション(ノンコマーシャル)は、4月19日付で対米ドルでの円ロングが10万5710コントラクトとデータが取れる期間では過去最大となっている。4月19日付の円ショートは3万3840コントラクトで、売りと買いを差し引いたネットのポジションは、7万1870コントラクトの円ロング・米ドルショートと円買いに傾いていた。しかしながら、4月27日・28日に開催される日本銀行金融政策決定会合において、何らかの追加金融緩和が発表されるとの思惑から、円買いポジションの巻き戻し(円売り・米ドル買い)が続きそうだ。4月22日の米ドル円は111.70円となっているが、短期的な投機筋は、過去最大というネット7万コントラクトを超える円ロング・米ドルショートポジションとなっており、今後は、このポジションの解消(円安・米ドル高への動き)が進みそうな気配だ。

(日本株需給)
海外投資家が日本株を長期的投資として買い越し始めたのは、2012年12月16日の衆議院選挙で自民党が大勝し、アベノミクス期待が高まった後だ。海外投資家の買い越しは、2012年12月に1兆5448億円(小数点以下四捨五入)、2013年は15兆1196億円。しかし、2014年1月は日経平均株価が16000円を超えたことにより、株価上昇の利食いで1兆1696億円の売り越しとなった。このことから、16000円以下で海外投資家の売りは収まることが予想され、割安な水準と考えられる。その一方で、海外投資家の日本株投資は、2014年に8527億円の買い越し、2015年に2510億円の売り越しと追加の長期投資は少なかった。2016年以降は、消費税の引き上げ先送り観測が高まり、2015年の経常黒字が16.6兆円と拡大したことによる円高回帰の予想や、3月に日銀追加金融緩和が発表されなかったことも加えて、アベノミクスに対する失望感が高まり、約5兆円の日本株売り越しとなり、3月末の日経平均株価は16758.67円となった。しかしながら、4月に入り16000円を下回ったことにより、海外投資家の売りは終息し、3月28日から4月15日については4710億円の買い越しに変化している。円高の終息も含めて、日銀追加金融緩和期待から日経平均株価は反発の展開となりそうだ。また、懸念された北海道5区の衆議院補選で自民党が勝利したことから、不安視されていたアベノミクスへの信頼回復にも繋がるだろう。その反面、上昇スピードが速すぎると、連休を控えて利食い売りが出る可能性も高く、慎重な投資態度が求められることになる。

海外投機的資金が材料視し始めた日銀追加金融緩和期待

2016-04-20 21:00:15 | 日記
日銀追加金融緩和の実施された2014年10月31日時点での、日経平均株価は16413.76円、米ドル円は109.43円。この水準よりも低ければ、マイナス金利導入も含めて、日銀の金融政策は効果を上げていないということになる。黒田日銀総裁の任期は2018年4月8日で、後2年間の間にインフレ率を2%に近づけることが要求されることから、今月4月27日・28日開催の日銀金融政策決定会合では、何らかの追加金融緩和を打たざるを得ない状況だ。海外の投機的資金は、この追加金融緩和期待感で、円ロング・米ドルショートの解消(ショートしたドルの買い戻しが予想される)と、日本株の上昇に賭けたポジションを取りそうな気配といえる。3月の日経平均株価高値は、日銀金融政策決定会合開催初日となる3月14日の17233.75円。今回4月の政策決定会合で追加金融緩和の確率が高いとすれば、17300円をトライする可能性は高まりそうだ。その反面、熊本地震によるマイナス要因や、衆議院の北海道補選での結果が不安要因となっており、選挙結果は海外投資家の投資動向に影響を与えることになる。海外では、エネルギー価格が安定してきており、依然として割安と考えられる資源・新興国の通貨・資産のリバウンド(買戻し)が進む可能性が高まるだろう。

市場堅調の背景は原油と中国経済の安定

2016-04-20 07:17:16 | 日記
原油価格の上昇に関しては、OPECよりも、米国シェール企業の減産が明らかになったことが大きく影響している。イラン制裁解除による原油供給拡大を不安視した投資家が、原油先物をショート(空売り)し続けていたが、今月は、原油先物が決済日を迎えても、翌月先物の売り継続(ロールオーバー)が終息し始めているようだ。原油をショートする動きが収まれば、1バレル当り45ドル近辺までの上昇期待も高まるだろう。原油価格安定の背景には中国経済の堅調があげられるが、今までの過剰設備投資・過剰生産を調整し、消費拡大という需要改善で経済浮揚を実施するというボトムアップ戦略が軌道に乗り始めている。また、金融緩和によって都市部の住宅価格も安定しており、当面は年間6%以上の実質GDP成長率は維持されそうだ。中国経済が安定的に推移すれば、中国経済減速懸念で過小評価されていた、新興国・資源国の通貨・資産価格の上昇が期待されることになる。米国株が高値に接近してきているが、今まで調整していたエネルギー関連企業の反発が後押しをしたことが背景だ。ニューヨークダウ工業株30種平均の高値は2015年5月19日の18312.39ポイントで、昨日2016年4月19日は18053.60と、あとわずかな水準にまで近づいている。しかしながら、高値接近で、利食い売りも拡大することが予想され、上昇スピードは鈍化する可能性が高まるだろう。原油価格と中国経済という、大きなリスク要因が安定したことは好感されるが、投資の観点からは、今まで割安に推移していた資産・通貨の反発に注目することの効率が良さそうだ。一方で、リスク要因に安定感が増せば、金融緩和と低金利継続という投資環境下で、高金利資産でのコツコツ型投資が、引き続き順調な成果となる期待感に繋がりそうだ。

震災という新たな不安材料の影響

2016-04-19 06:52:20 | 日記
まず、熊本地震により被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。今後の安全と早い復興が重要となりますが、市場にも今回のような大きな震災の影響は大きかったようだ。このような大震災の影響は、阪神・淡路大震災(1995年1月17日)と東日本大震災(2011年3月11日)では異なっている。阪神・淡路大震災では、震災直後は、その影響を織り込むことができなかったが、都市部の震災でもあり、その甚大さが認識されると株価は大きく下落し、その後は円高により、更に株価下落が継続する展開となった。震災前週末1月13日の日経平均株価は19331.17円、震災当日の株価は19241.32円と横這いだったが、1週間後の1月23日には17785.49円に下落。円高が進行したこともあり、約5か月後の7月3日には14485.54円(震災後約25%下落)となった。米ドルは1月17日の98.90円(三菱東京UFJ銀行外国為替公表仲値TTM)から、3か月後の4月19日には80.20円(日中安値は79.75円)、半年後の6月29日も85.60円と円高で、輸出関連企業収益悪化の背景となっている。一方、東日本大震災では、震災直後に株価・米ドルともに下落する動きだったが、その影響は震災直後の数日だった。震災前日2011年3月10日の日経平均株価は10434.38円、当日3月11日は10254.43円と横這い。しかし、震災翌週3月15日には8605.15円まで約15%程度下落、その後は9000円台へ回復傾向となったが、輸出関連部品企業の被災によりサプライチェーンが分断され、成長率の悪化が株価を抑え込む結果となり、半年後の9月30日は8700.29円だった。米ドルは震災当日の3月11日は82.92円、翌週3月17日には79.34円まで下落したが、その後は4月6日に85.18円の円安米ドル高に反発。しかし、4月を高値に円高米ドル安傾向となり、半年後の9月30日には76.65円までの円高となった。今回の熊本地震は、地方型震災として東日本大震災に似たパターンとなりそうだとすれば、震災直後の数日間は株価下落となるが、その後は震災以前の水準に回復。ただし、輸出関連部品工場等の操業停止で、サプライチェーンの分断が成長悪化に影響することになり、株価上昇を抑える可能性が高まるかもしれない。阪神・淡路大震災のマグニチュードは7.3、東日本大震災は9.0、今回の熊本地震が7.3という大きさであることからも、市場への影響を軽視してはいけないだろう。その反面、経済の復興を含めて、政府の財政政策の拡大や、日銀の金融緩和の可能性は高まったといえるだろう。経済対策の発動期待が、マーケットの下支え要因となりそうだ。

マイナス金利で拡大が期待されるJREIT市場

2016-04-15 00:11:56 | 日記
国土交通省が開催している不動産投資市場政策懇談会提言によると、不動産投資市場の成長戦略として「2020年頃にリート等の資産規模を約30兆円に倍増」(2015年12月末時点でのJREITが保有する不動産総資産額は約14.6兆円)とされている。宿泊需要増加(訪日外国人旅客数が2011年の622万人から2015年には1974万人に拡大していることが背景)、物流施設の高機能化(電子商取引市場が2014年の12.8兆円から2020年に22.9兆円と予想されている)、ヘルスケア施設の整備(高齢者向け住宅が2012年の54万戸から2025年には146万戸へ拡大予想)、クラウドファンディング市場の拡大(2013-2014の新規支援額伸び率59.5%増)などから、社会経済発展に応じた不動産需要への対応が講じられることになる。また、年金基金等の機関投資家による不動産投資や、個人投資家の拡大により、投資家層のさらなる多様化が図られるようだ。2015年のカナダ国民年金基金の不動産関連資産配分は11.5%、米国カリフォルニア州職員退職年金基金(The California Public Employees' Retirement System:カルパースCalPERS)の不動産関連資産配分は9.5%、2011年に不動産関連資産投資を開始し、2015年には日本の不動産投資を開始したノルウェー政府年金基金 - グローバル(政府石油基金)は3.3%となっており、今後は日本の年金基金も不動産関連資産としてリートへの投資を考慮することになりそうだ。日本や欧州では、マイナス金利が導入されたことで、相対的に高金利資産への投資機運が高まっており、株式配当利回りを上回るリートへの注目が高まっている。東証リートについては、日本取引所が発表する月刊REIT(リート)レポート(2016年4月版)において、3月末の東証REIT指数は1896.40ポイント、時価総額加重平均予想年間分配金利回りが3.25%、時価総額合計が11.8兆円と紹介されており、安定的な賃料収入を背景にした3%を超える利回りは魅力的だ。2016年1月29日に日本銀行がマイナス金利導入を公表し、2月以降に東証REIT指数は大きく上昇したが、買いの主体は海外投資家で、日本の個人投資家、投資信託は、値上がりによる利食い売りと、昨年2015年1月の高値1990.45ポイント近辺で購入した投資家による、ホットひと安心の戻り売りが多く出ている。2016年2月の投資部門別売買動向では、個人の売りが532億円(小数点以下四捨五入)、投資信託の売りが583億円、金融機関の売りが133億円、逆に海外投資家の買いが1167億円となっていた。3月には、個人の売りが452億円、投資信託の売りが485億円、金融機関の売りが82億円、海外投資家の買いが832億円になっており、2016年2月~3月では、海外投資家が累計で1999億円買越し、個人と投資信託が2052億円売越しと、日本の投資家の利食い売りを、海外投資家が新規に買うという結果だった。今後は、利回り水準の高さから国内金融機関が買いに回る可能性が高く、海外投資家も長期的な利益を狙った投資と考えられ、日本の個人・投資信託の売りが一巡すれば、もう一段高い水準まで上昇する可能性は高まっていると言えるだろう。

投機的資金の需給からは円高修正の可能性

2016-04-13 08:04:52 | 日記
CFTC(米国商品先物取引委員会)が発表するシカゴマーカンタイル取引所(CME)における通貨先物市場の需給動向からは、対円で米ドルが買い戻される可能性が高まりそうだ。2016年1月に入り、2015年の日本経常黒字が約16.6兆円と拡大したことから、対米ドルで円を買う(ロング)動きが継続し、投機的資金のネット円ロングポジションは4月5日時点で、6万73コントラクト(1コントラクトは1250万円)まで拡大している。しかしながら、過去にネット円ロングが6万コントラクト水準に近づいた場合は、円ロングを利食い売りで解消し、米ドルが買い戻される展開が多いようだ。2000年以降のデータでは、2004年2月3日付でネット円ロングが6万4499コントラクトと6万を上回ったが、米ドルは105.59円。その後、ネット(買いポジションと売りポジションを相殺したもの)で円ショートに変化し、5月18日に114.29円まで約9円の米ドル高となった。2008年3月18日にはネット円ロングが5万5759コントラクト、3月25日付で6万5920コントラクトに拡大したが、米ドルは3月18日に97.02円だったものが、8月26日には109.45円に上昇し、通貨先物ポジションはネットでマイナス2万コントラクト前後まで米ドル買いが進んだ。2012年1月10日付のネット円ロングは5万9657コントラクトと6万の水準に迫ったが、米ドルは76.86円。2012年3月19日には83.56円となり、7円程度の米ドル高に推移。通貨先物ポジションも、ネットでは円ショートに変化した。2016年3月8日付ではネット円ロングが6万4333コントラクトと拡大し、米ドルは4月12日に三菱東京UFJ銀行公表外国為替相場仲値で108.10円まで円高となっている。また、ネットポジションではなく、ロングポジションのみで見ると、2000年以降は、今まで2008年3月4日の9万4654コントラクトが最大だったが、4月5日には過去最大の9万8130コントラクトにまで円買いが拡大してしまっている。一方で、4月27日・28日に開催される日本銀行金融政策決定会合での金融緩和政策発表期待や、5月サミット前後の安倍政権による財政政策発動の可能性があることを勘案すれば、円高の流れは、一旦収まりそうな気配だ。貿易収支が2016年1月~3月で黒字となりそうだが、その要因は原油価格下落による輸入金額大幅減少が影響している。このところの原油価格上昇はエネルギー輸入金額増加に影響するため、貿易黒字が定着するという状況ではないだろう。米国エネルギー情報局が発表した4月の短期エネルギー予測では、2016年WTI原油価格が34.60ドル、2017年には40.58ドルとし、米国でのシェールオイル生産が減少傾向となることが予想されており、原油先物価格上昇要因となっている。国際通貨基金(IMF)の4月発表データでは、2016年の世界経済成長予想が下方修正されたが、中国の成長率が0.2%上昇修正されたことが好感され、既に先週から下方修正が織り込まれており、市場への影響は少なかった。原油価格下落・円高推移・中国経済減速不安等に落ち着きが戻れば、リスク資産価格反発にも期待感が高まりそうだ。

原油・米ドル円・日本株について

2016-04-10 23:53:10 | 日記
(原油価格)
制裁解除によるイラン産原油の供給と、原油価格下落にも関わらず拡大を続けていた米国原油在庫が、原油価格上昇を抑えこんでいた。しかし、イラン制裁解除の影響が市場価格に織り込まれ、1月以降拡大を続けていた米国原油在庫(1月1日に4億8232万バレルが3月25日には5億3483万バレルにまで拡大)が、4月1日付(発表は4月6日)で5億2990万バレル(小数点以下四捨五入)と減少。来週4月13日に発表される4月8日付データが低下すれば、原油在庫がピークアウトした可能性が高まるだろう。結果として原油価格安定が確認され、エネルギー関連企業が発行するハイイールド債スプレッド(上乗せ金利)低下や株価回復、更に、資源国通貨や資産の上昇も期待されそうだ。米国シェールオイル生産コストが1バレル当り40ドル程度と予想されているため、50ドルに近づけば、シェール生産拡大を阻止すべく、OPEC加盟国の原油増産によって価格上昇が抑えられることになるだろう。当面は1バレル当り30ドル~45ドル程度の推移となりそうだが、原油価格の落ち着きは、オイルマネーの資産売却リスクを低減させ、資源新興国資産への売り圧力を回避させることになる。また、原油価格安により輸入金額が減少することが、日本における貿易黒字という円高要因の一つとなっているが、原油価格上昇となれば円高進行が抑制される可能性も高まるだろう。

(米ドル円)
2016年に入り円高傾向になっている最大要因は経常黒字の拡大だ。2月8日に発表された2015年の財務省国際収支状況における経常黒字は16兆6413億円となり、2014年対比で13兆9955億円の黒字増加。特に、金融緩和の影響によって日本からの海外投資が拡大し、直接投資収益と証券投資収益を中心とする第一次所得収支が20兆7767億円となったことが、今後のリパトリエーション(海外資産からの収益を日本に戻すことで円買いが進む)を促進すると見られ始めた。それまで115円を上回って推移していた米ドルは、2月10日に115円を下回り、円高傾向に変化している。一方で、2015年の貿易・サービス収支は2兆2062億円の赤字となっていた。2016年1月の貿易・サービス収支は6377億円の赤字、しかし、4月8日に発表された2月の貿易・サービス収支が5846億円の黒字となり、2兆451億円の第一次所得収支を含めた経常黒字は2兆4349億円であったことから、4月8日の米ドル円は108.85円(三菱東京UFJ銀行公表為替相場の仲値TTM)と円高が進んだ。更に、税関ベースの財務省貿易統計も、1月が6488億円の赤字、2月が2428億円の黒字だったが、4月8日発表の3月上中旬速報が5103億円の黒字となり、2016年に入ってからは、税関ベースでの貿易収支通算が黒字に変化したことで107円台の円高を記録する状況となっている。円高の勢いが増しそうな状況だが、既に投機的資金は対米ドルで円を大きく買い越しており、絶好の利食いチャンスとなったようだ。シカゴマーカンタイル取引所の通貨先物市場では、4月5日付での投機的ポジションの円ロング・米ドルショートは6万コントラクトに拡大しており、今後、対円での米ドルショート(空売りポジション)の買い戻しが進めば、円高の勢いは緩む可能性が高まるだろう。特に、日銀金融緩和の可能性や、5月26日・27日の伊勢志摩サミットに向けて財政政策が発表されれば、円安・株高の期待感も高まり、円ロング・米ドルショートのポジションを解消する動きが出そうだ。2018年4月8日に任期を迎える黒田日銀総裁からすれば、後2年間を残して、未だに生鮮食品を除く2月のコアインフレ率が0.0%と、目標の2%からはほど遠い状態だ。2014年10月31日の日銀追加金融緩和発表時点で、日経平均株価は16413.76円、米ドル円は109.43円と、現在の水準よりも高い。株安・円高という逆資産効果となっており、インフレ率改善の目的であれば、何らかの追加金融緩和を行う可能性は拡大するだろう。審議委員も、前回マイナス金利導入に反対票を投じた白井委員が退任し、桜井氏に代わったことで、金融緩和議案の成立はスムーズになったと言えそうだ。日本株のショート、円のロングに賭けている投機資金も政策上のリスクには要注意の姿勢を示すことになるだろう。

(日本株)
海外投資家がアベノミクス効果を狙って日本株を大幅にオーバーウェイトしたのは2013年で、15兆1196億円の買い越しだった。2014年は8527億円の買い越し、2015年は2510億円の売り越しと、日本株には中立な投資姿勢だったが、2016年に入り、3月までに約5兆円の売り越しとなっている。円高による輸出企業収益の減少や、消費税先送り観測によるアベノミクスの躓き、日銀金融緩和にもかかわらず円高・株安となっている金融政策の不調、公的資金の株式保有量増加でも上昇しない株価などを背景にして、海外投資家の日本株オーバーウェイト解消による売りが株価下落に繋がった。しかしながら、日経平均株価が16000円以下では割安水準と想定され、海外投資家の売りは極端に減少している。2016年以降の日経平均は、2015年12月30日の19033.71円から下落傾向が続き、2月12日には14952.61円の安値を記録した。約4000円以上も下落したことになるが、3月末までに16000円を下回ったのは、2月10日の15713.39円、2月17日の15836.36円、19日の15967.17円、24日の15915.79円と、2月12日以外は15700円を下回ることはなかった。2016年4月に入り株価が調整しているが、4月5日が15732.82円、6日15715.36円、7日15749.84円、8日15821.52円と15700円以上の水準を保っている。米ドル円が108円を下回っても、株価下値抵抗力がついており、そろそろ日本株が割安と考える投資資金が、日銀金融緩和と財政政策発動期待で、日本株買いに向き始める可能性は高まるのではないだろうか。個人投資家、公的資金、海外投資家も含めて、日経平均株価16000円割れは割安との見方が強まりそうだ。

JREIT市場の可能性

2016-04-07 05:12:56 | 日記
日本取引所のホームページで、東証REIT指数のリアルタイム価格推移をみることができるが、昨日の引値は1901.36ポイントだった。昨年2015年1月16日には、10年国債の利回りが0.2%を割り込んだことからJREIT価格も上昇して高値を付け、1990.45ポイント。現在の10年国債利回りがマイナス0.07%となっていることから、東証REIT指数も2000ポイントを超えて良さそうなものだが、増資や新規銘柄追加等によって指数価格が薄まっていることが影響しているようだ。一方で分配金込みの東証REIT指数は2015年1月16日は3433.36。今年2016年3月22日には3458.20(東証REIT指数は1927.20)と昨年水準を上回っており、分配金を含めた実際の指数は、すでに昨年高値を超えていたことになる。日本取引所が発表している月刊REIT(リート)レポートによれば、2016年2月末の予想年間分配利回りは3.28%(東証REIT指数は1873.29ポイント)となっており、魅力的な投資水準だ。予想分配利回り3%まで買えるとすると、東証REIT指数は2050ポイント近くまで上昇することになる。不動産価格の上昇を受けて、REIT価格も割高になっているとの意見も多くなってきたが、不動産価格の上昇は、REITが保有する不動産物件の評価を押し上げていることを忘れてはならないだろう。一般社団法人不動産証券化協会のARES J-REIT REPORT(No.69 March)によれば、J-REIT が保有する不動産の含み益率(簿価に対する含み益の比率)は10.2%に拡大したとのことだ。REITの価格は賃料収入を基準とした分配利回りを重要視して形成されるが、不動産価格上昇は、REITの含み益を拡大させていることになっている。新規にREITが取得する物件価格が上昇していることは事実だが、その反面、既存の保有物件は含み益となっていることはREIT投資の魅力を増すだろう。東証REIT指数自体の高値は2007年5月31日の2612.98ポイントとなっており、それと比較すると現在の水準はまだ低いともいえる。投資の観点からは、信用リスクはないが為替リスクのある米国30年債利回りが4月6日に2.58%、企業リスクはあるが為替リスクのないJREITは、この2.6%近辺の分配金利回り水準まで買われる可能性があるかもしれない。マイナス金利によって国内金融機関の資金運用難が続けば、不動産を証券化したJREIT市場に資金が向かう可能性は高まることになるだろう。

IMF半期報告で世界経済成長下方修正の予想(内容を訂正しました)

2016-04-06 06:31:41 | 日記
国際通貨基金(IMF)は年に2回、4月と10月に世界経済予測データを公表するが、毎回IMF総会の3日前に発表されている。今年春のIMF総会は4月15日~17日にワシントンDCで開催されることから、4月12日にワールドエコノミックアウトルック(WEO)の経済予測が明らかになるだろう。この経済データをベースとして、運用機関等はマクロ経済予測を調整するケースが多いが、新興国経済成長が下方修正されそうだ。特に、中国が構造改革として、過剰生産や過剰設備投資を減らし、消費・サービスを中心に中高速成長に移行する方向を示しているが、その中国製造業の落ち込みが世界経済に影響することが懸念されている。来週、IMFが新規に発表する予測データが明らかになれば、世界経済に対する悲観ムードが広がるかもしれない。ただし、IMFのレポートは、原油価格が低迷し、世界株価が下落していた2月から3月の動向が大きく反映されているため、少し弱気バイアスがかかりすぎているものと予想される。将来を見越して投資するのであれば、この調整局面を割安と考えることが可能だろう。残念ながら、アベノミクスへの失望感は想定以上に大きく、日本銀行の金融政策も手詰まりになっているとの観測から、円高・株安が進行している。海外投資家の需給動向からは、15000円台の日経平均株価は割安と想定されるが、IMFのワールド・エコノミック・アウトルック(WEO)の経済予測発表で、世界経済成長率が下方修正されるならば、株価の調整要因となるかもしれない。一方で、そのような局面が、割安資産投資のチャンスであることを忘れるべきではないだろう。

16000円割れの日経平均株価は割安な水準の可能性

2016-04-04 13:13:53 | 日記
4月1日時点での日経平均株価は、65日(13週=約3か月)移動平均が16930円(小数点以下四捨五入)と17000円を下回っており、今後も毎日30円程度は移動平均が下がって行くことが予想される。25日(5週)移動平均は16805円と13週移動平均に迫っていることから、日経平均株価が現在の水準を維持するようであれば、今週末にも、5週移動平均が13週移動平均を上回りゴールデンクロス(短期の移動平均が長期の移動平均を上回り、市場が上昇傾向となっている可能性を示すシグナルの一つ)することになる。アベノミクスへの過剰期待の失望感から、海外投資家のポジション調整とドル安の影響で日本株は売られたが、16000円以下の水準では海外投資家の売りニーズは既に収束し始める可能性は高いだろう。海外市場では、ニューヨークダウ工業株30種平均の65日(13週)移動平均が、4月1日で16719ポイント(小数点以下四捨五入)、25日(5週)移動平均は17220ポイントと、既にゴールデンクロスして強気相場の推移となっている。また、ドイツDAX指数は、65日移動平均が9693ポイント、25日移動平均が9808ポイントとゴールデンクロスしており、他の海外株式市場のほとんどがゴールデンクロスしているにも関わらず、日本株のみが低迷している状況だ。海外株の回復は、米国経済指標が堅調な割には、金利正常化(引上げ)のスピードが緩やかで、中国経済も第13次5か年計画の発表により、過剰設備投資や過剰在庫が修正されると予想され、世界に蔓延しているデフレ(過剰生産による物価低迷)が落ち着き始めていることが背景にある。また、イラン制裁解除を嫌気して下落していた原油価格が、30ドル~40ドルの水準で安定し始めたことも好感されている。米国の金利引上げスピードが緩やかであることが確認され、米国輸出の逆風となっていたドル高が止まり、新興国通貨が改善に向かっていることで、米国や新興国株式市場は堅調。その反面、米ドル安のあおりを受けた結果の円高が、日本株にとっては重荷となっている。しかしながら米国株も、ニューヨークダウ工業株30種平均が、2015年5月19日の高値18312.39ポイントに近づいて来れば、上昇スピードが低下し、利食い売りによって反落することが予想される。そうなれば、米ドル安・円高の流れも終息する可能性が高まり、円高で調整していた日本株反発の支援材料となるだろう。2014年10月31日の日本銀行追加金融緩和発表時の日経平均株価引値が16413.76円、2013年4月4日の日本銀行金融緩和発表から先週末までの日経平均株価の平均値は16522円(少数点以下四捨五入)。日経平均株価が16500円を下回っていれば、日本銀行の金融緩和により株価が下落するという逆資産効果を生むことになり、2月のコアインフレ(生鮮食品を除く総合物価指数)が0.0%であることを含めて、何らかの金融緩和策を講じなければならなくなるだろう。当然、金融緩和策は、株価押上げと円安効果を生むことが期待される。政府の財政政策発動の期待感も高まり、海外投資家の売りが一巡すれば、公的資金の買い(2016年3月末時点では、投資計画の25%を数%下回っていることが予想され追加投資が必要)、事業法人による自社株買いに加え、マイナス金利で高金利資産投資(4月1日時点、東証1部の予想配当利回りは単純平均1.88%、時価加重平均で2.17%)を考慮する個人投資家の買いにより、株価の回復の可能性が高まるのではないだろうか。日本製造業の企業収益低迷の一因には、中国の構造改革により過剰設備投資に歯止めがかかったことがある。2016年2月の工作機械受注は対前年比でマイナス22.5%。「中国経済減速の影響を受けて」と説明されているが、中国経済は順調で、産業用ロボット等の機械受注が過剰生産の修正という前向きな理由で低下したことが背景だ。中国向けの輸出落ち込みを、他のアジア諸国に振り向けなければならないが、世界経済の改善は順調で、中国経済を過少評価すべきではないだろう。新興国を含めて、世界の株式市場が堅調な推移となれば、日本株市場も、その影響を徐々に好感することになりそうだ。アベノミクスの成否を問うことで、不安心理が継続しそうだが、そのような時期に割安な資産に投資をすることが、収益チャンスを生むことになるだろう。

アベノミクス不安で割安水準に近づいた日本株・東証REIT市場

2016-04-03 21:50:32 | 日記
2016年に入り、日本取引所が発表した海外投資家の売越し額は約5兆円。2012年12月16日の安倍政権誕生後2013年末まで、海外投資家の日本株買越し額は約16.6兆円だったので、約3分の1が売り戻されたということだろう。まさに、アベノミクス期待で日本株を購入した海外投資家の失望感が出たと言えそうだ。しかしながら、2013年に買越した海外投資家は2014年1月に日経平均株価が16000円を超えて、売越しに変化した。長期的に日本株に投資した資金は、15000円台で積極的に売却を進めるということは少ないだろう。円高や日本企業の収益悪化が日本株の売り要因となるのは、あくまでも心理的な不安要因にしか過ぎない。そろそろ日本株は割安水準に近づいたといえるだろう。一方で、マイナス金利の影響で、高利回り資産を見直す動きは継続しそうだ。特に東証REIT指数の利回りが2月末に3%を超えており、都市部のオフィス・ホテル・倉庫といった投資物件の賃料収入は安定的に推移する可能性が高いだろう。東証REIT指数(分配金込み)は、2016年3月に2015年1月の高値水準を超えたことから、ほっとひと安心の売却や、益出しの売却によって伸び悩んでいる。しかし、そのような売却が一巡すれば、金利水準に注目した投資によって上昇する可能性は高まるだろう。