努力の跡

え！？これってもしかして…
さっちゃん、ごはん食べてないんじゃ？

と思ったこの現実。

飼育員さんがどの食材なら食べてくれるか
必死に検討した形跡がそこにありました。


２、３日に一度は外へ。
という言葉を信じて、毎日通ったカバ舎。
いつもジローひとりで私の前に。
「あれ？ジロー。今日もひとりなの？寂しいねぇ」

でも、
本当に寂しい思いをしていたのは他でもないさっちゃんだったのです。

ジローのいるカバ舎は午前中こそ静かなものの、
パンダから流れてきたお客さんがたくさん。
口を開けても、ぐるぐる回転しても歓声が鳴りやみません。

しかし、さっちゃんのいる屋内プールは静かなもの。
あの緊張した目で見張りながら何時間も。
いえ何日も過ごしたかと思うと…

さっちゃん！ごめんね。
少しでもそばにいたかった。
なにもできないのは分かってたけど、
そばにいること！それだけはできた。
声をかけること！それだけはできた。

だけど…「関係者以外立ち入り禁止」の看板が私の前に立っていた。

よく聞く私の声がほんの少しでもさっちゃんの安心になったなら
いくらでも声をかけてあげたかったよ。
近くに行けるならいくらでもその目を見ていてあげたかったよ。

さっちゃん、なにもできなくて本当にごめん。

カバとの距離の近さに感動していた私だが、
こんなにも通路とプールの距離を感じることになるとは
思いもしなかった。

どう頑張っても、さっちゃんは独りだったから。
悲しくなる。そう。ただただ、悲しくなりました。

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