一昨年の冬、大学の制作室で夕方まで絵を描いていたときのことです。
そろそろ帰ろうかと立ち上がった瞬間、下腹部に今までに感じたことのない激痛が走りました。刺されるような痺れるような。
とにかく痛すぎて身体が固まり全く動けない。数秒静止した後、激痛を耐えてゆっくりと座りました。
持っていたロキソニンを飲んでおさまるのを待ちますが、30分ほど経っても痛みはおさまりません。
生理中だったので生理痛かとも思いましたが、生理痛が重いタイプではありませんでしたし、じわじわ痛くなったわけではなく本当に突発的だったので、痛みの原因がわからずちょっと不安でした。
もしかしたら生理痛に加えて腸が動いてダブルで痛いのかも?と思いはじめ、便を出せば治るのではないかと、頑張ってトイレまで行きました。
しかし便は出ないしどんどんしんどくなるので制作室へ戻ることに。
お腹が超絶痛くて歩くのも辛い。過呼吸気味になり、血圧が下がって目の前がチカチカするわ、冷や汗も出始めフラフラに。
お腹が痛すぎてショック状態になっておりました。
このままでは倒れる。しかし大学は時間的に人が減って、廊下で倒れても誰にも見つけてもらえないぞ!と冷静に考えた私は、なんとか身体を動かして意地で人が数名残っていた制作室に戻りました。
真冬の極寒の制作室で身体は冷えきってますし、お腹の痛みがこのままおさまるとは思えませんでした。
意識を失ってからでは逆に迷惑かかると思い、同室の子に頼んで救急車を呼んでもらうことにしました。
正直救急車を呼ぶのは躊躇いました。
もしこれがただの生理痛だったならば、生理痛ごときで救急車を呼ぶなんて迷惑な話です。
親が病院に勤めてるので「寝とけば治るのに救急に来る軽症患者」の話はよく聞いていました。
医療従事者の娘がたかが生理痛で救急車を呼ぶわけにはいかない…
しかし、大学から家まではバスで1時間+快速電車で1時間弱。我慢して帰れとは無理な話。
痛みがおさまるのを待っていたら最終バスに間に合いそうにないし、親にすぐ迎えに来てもらえる距離でもないので、病院に行くしかないと判断しました。
何よりとにかく大学が寒すぎて暖かい場所にいきたい!!と思っていました。
生理痛は冷やすと良くないですしね。
救急車が来るまではとても長く感じました。サイレンが近づいてきて救急隊の人が来てくれたときはやっと助かる!と思いました。
バリアフリーなど全く考えられていない古い芸大の狭い階段を担架で運んでもらい、腹に響くガタガタしてる石畳の上をストレッチャーで運ばれ、初めて救急車に乗って病院へと搬送されました。
救急車を呼んでくれた同室の子達も普段全然接してないのにわざわざついてきてくれてありがたかったです。
時間が経つにつれ、どこが痛いのかはっきりとわかってきました。このときは左下腹部でした。
病院に着いたら痛み止めの点滴をされたり、血液検査やレントゲンやエコーもされた…のかな(あまり記憶にない)
性交渉の有無をしつこく聞かれ(一切ないって言ってるやろ!そもそも経験無いわ!と心の中で叫んだ)
造影剤をいれてCT検査をしようかという話になった頃、痛み止めが効いてきたのか段々とお腹の痛みがおさまってきました。
造影剤は副作用もあるし無理にCT検査をしないでおこうと、このまま安静することに。
さらに遠くから親が車で来てくれたので、初めて来た知らない病院で一晩過ごすよりかは家に帰ることにしました。
普通に歩けるくらいにお腹の痛みはひいており、医者には「ただの生理痛だったみたいだね」「もしまた痛いようであれば近くの婦人科で診てもらってください」とだけ言われました。
その後は何ともなく、救急車呼んだわりにケロっと元気。ただのお騒がせマン。
大学での卒業制作と演劇活動が重なり精神的にしんどかったし、忙しかったので疲れもあったのかなーと。
それから生理中は身体を冷やさないように気を付けるようにしました。
「ただの生理痛でよかったわ!笑」と、笑い話にして言いふらしておりました。
***
それから約一年後、また下腹部に激痛が走ります。
真冬ではなかったとは思いますが、寒くなり始めた頃です。
そして案の定、生理中でした。
寝ようと布団に入ったとたん、今度も突然、急に痛みが起こりました。
痛みでまたショック状態に陥りかけます。
今回は幸いにも自宅。立ち上がれないので親にロキソニンを持ってきてもらい何とか飲みましたが、なかなか効かず泣きながら痛みに耐えました。
痛いのは左下腹部、前と同じです。
さすがにまた救急車を呼ぶわけにはいかない。しかも深夜だし。生理痛で呼ぶのは申し訳無いし恥ずかしい。
ひたすら耐えて耐えて耐えて…マシになったかと思えばまた痛くなったりを繰り返し、そのうちに寝てしまいました。
次の日起きたときには痛みが和らいでおり、再びロキソニンを飲んだら完全に痛みがなくなりました。
激痛が起こった晩は夜更かししていたので、今回も前回同様、身体を冷やしてしまったなあと反省。
生理中はぜったい冷やさんぞ!と心に誓いました。
***
三度目の激痛で全てひっくり返ります。
今回は身体が冷えたわけでもなければ、生理中でもありませんでした。
5月10日の晩、座ってゲームをしていたところ急にお腹が痛くなってきました。
最初はまだ我慢できていたのですが、10分後には激痛に変わり、嘔吐もしました。めっちゃしんどい。
吐き気があるのでロキソニンは飲めず、代わりに座薬を入れたところ、少しずつ楽になってゆき、その日はこのまま寝ました。
次の日には治ってるだろうと思ったのですが、起きたらまだお腹が痛いぞ…
しかも下腹部だけじゃなく全体的に痛い。
激痛ではありませんでしたが動いて働きに行けるような状態ではありませんでした。歩くと痛みに響くのでそろそろとしか歩けない…
朝と昼にロキソニンを飲んで様子を見ていたのですが、とうとう夕方になっても痛みが止むことはなく。
今回は生理中でもないので今までのとは違う別の何かが体内で起こってるのではないか?ということで、かかりつけの医者に行きました。
「虫垂炎の疑いあり」
と診断されて血液検査をしてもらうと、白血球の数値が高くて炎症が起こっているのは確からしい。
虫垂炎とはいわゆる盲腸です。薬を飲んで治ることもありますが手術のパターンもあります。
大きめの病院の救急外来に紹介状を書くので今から行ってきてくださいと言われたので、恐々と行きました。
新型コロナで臨戦態勢の救急外来に腹痛で行くなんて申し訳無い。でも盲腸だったら仕方ないよなあ、生理痛で行くよりは許されそうだなあ、ただ単にウンコさんが腸につまってるだけだったら恥ずかしいなあ等と考えていました。
病院ではまずお腹のエコーをしてもらいましたが、これだけではよく分かりませんでした。でも一番痛いのが右下腹部で症状がいかにも虫垂炎っぽいとのことで、もう少し詳しく検査してもらいました。
初めて造影剤を入れられて、初めてのCT検査。
前々回の腹痛のときは結局造影剤をいれずCT検査もしなかったので、今回が初めてです。緊張しました。
造影剤をいれると身体が熱くなるんですね。特に皮膚が薄いところでカーッと熱さを感じます。
副作用は何も出なかったので良かったです。
そしてCTの結果
「虫垂炎ではありません」
お?なんだ良かったー
「右側の卵巣に炎症がみられます」
若くて優しくてイケメンぽい救急医さんが、解りやすく説明してくれました。
たぶん何らかの原因でバイ菌が卵巣に入って膿がたまっているのではないか、その炎症がお腹に広がっている可能性があると。
その場合、抗生剤で治したり、場合によっては膿を切除する手術になるかも?ということで、さらに詳しく婦人科の先生に診てもらうことになりました。
***
婦人科にお世話になるのは初めて。
恐怖の内診台…否応なしに脚を開かされ…おケツにエコーをつっこまれ……😭
その結果、やはり卵巣に膿だまりっぽいものが見えたらしいです。
診察が終わる頃にはもう夜の11時近くになっていましたが、そのまま入院。(遅くまで皆さんありがとう)
抗生剤を投与しながら翌日またさらに詳しく検査することになりました。
原因はわからんけど膿さえなくなれば元気になるだろうし良かった!病院食楽しみだな~と思いながらその日は寝ました。アホの子だわ。
翌日、今日はMRI検査を予定してますと言われてドキッとしました。
中学生のころ、膝に激痛(激痛多いなとか思わないで)を感じてMRI検査をしてもらったとき、怖かった記憶があります。
大きくてよく分からない物体が大きな音を発していて、それに身体を覆われるなんてとっても怖くないですか???
さすがにもう大人だし泣きはしないだろうが、ちょっと身構えていたところ、先に婦人科の先生による診察がありました。
また…内診台に乗り…おケツに……😭😭
そして言われました。
「この影は膿ではないと思う」
「MRIしないと断言できないけど」
「いわゆるチョコレート嚢胞っていうものだと思われます」
え…
ここにきてまた診断が変わった。
チョコレート…
「どろっとチョコレートみたいな中身だから…」
「基本は薬を飲んで治療…」
「まだ小さいから手術はしない…」
「捻転の恐れもない…」
「破裂したからお腹に痛みが広がったんじゃないか?」
「小さいから破裂してもフクスイがたまらなかったのかも…」
「抗生剤はもう必要ない。ピルで…」
そんなようなことを二人の婦人科のお医者さまから言われました。
チョコレート…
なんか嫌な予感しかない
←診察後スマホで調べるやつや。調べるよそりゃ!
チョコレート嚢胞とはざっくりいうと薬を飲んで一生付き合う必要があるらしい。
月経のある女性の10人に1人が子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)になる。
不妊の原因になる確率が高い。
放置すれば卵巣癌になる場合もある。
完治しようとすれば子宮卵巣全摘するほかない。
なんというか、心構えしてなかったところに突きつけられたので、結構ショックでした。
別に子どもを産みたい願望はそんなないし、100%不妊になるわけではないけど「私の未来の可能性」がひとつ消えた気がして悲しくなりました。
しかも薬を飲んで調整していかないといけない。薬はタダではないから金がかかる。そしてたぶん低用量ピルだからきちっと飲まないといけない。
めんどくさい!!嫌だ!!
でも待った、
MRI検査したら実は何でもありませんでした~ってなるかもしれないし…!!
…ならなかった。
「お腹の痛みもおさまりつつあるので退院して通院に切り替えましょう」
入院は短くなりましたが
これからが長い
***
落ち込んではないですけど、不安はあります。
でもひとつポジティブな考えが浮かびました。
生理痛だと思っていた過去二回の激痛も恐らく嚢胞が破裂したのではないかと、私は思うのです。
だって尋常じゃない痛みだったよ。あれがただの生理痛なわけがないと心の底で思っていました。実は何か悪いことが起こってるのではないかと。
破裂して激痛は起こったものの、これまではわりとすぐに痛みがひいて何ともないように見えた。
あのときからもうチョコレートの爆弾が腹の中にいたのだ。
今回痛みが長引いてよかった。でなければ医者にいかなかったよ。
救急外来に紹介状を送ってくれたお医者さん、コロナで大変な中受け入れてくれた救急外来の皆様、診てくれた皆様ありがとう。
激痛の原因がとうとうわかりました。
ただの生理痛じゃなかった。
あのとき救急車を呼んだのは大袈裟じゃなかったんだ…
←これがわかったことが一番の救いだったり。
ということで「これから」です。
死ぬ病気とかではないのでよかったです。
痛みは我慢せずにちゃんと診てもらいましょう…
ダラダラと過去最長の日記になったのではないでしょうか。
月
コロナも実際に役つのは、有識者だとかクイズ王の見解では無く『体験談』だと思います!
最初の時は誤診と云う事?…(^_^;)
でも、不幸中の幸いだったかも知れませんね。
記録として自分のためにも書きましたが、何かの参考になればと思ってブログにしました。
紆余曲折ありましたが大事にいたる前に原因がわかって良かったです!