ねこのみなさん、ごきげんよう。
ぼくのしもべは、ねおきがわるいのは、
ねるまえスマホをみているからだ、
とごかいして、ここ何日か
スマホをたのしむのをやめていましたが、
ようやくなにもかわらないことに気づいたようです。
しもべのねおきのわるさは、ぼくがおなかに
いるからでしょうね。
いつもとてもくるしんでいますから。
でも、しかたないのです。
ぐっすりねているときのしもべときたら、ぼくが
ちょんちょんしても、ざりざりしても、にゃーとよんでも、
ちょっとも起きないのです。
だから、ぼくはおなかにのるのです。
さて、ねこさんのもてる力をしもべみけいけん者の
しもべにわからせるためには、
ひきだしをどんどんあけるのも大変こうか的です。
ただ、ひきだしには、ねこさんがあける価値のある
ひきだしと、そうでないひきだしがあります。
”ねこさんがあける価値のあるひきだし”とは、
そのひきだしをあけることで、ねこさんのもてる力を
しもべにしめすだけでなく、くわえてねこさんにとって
よいことがおこるひきだしのことです。
すべてのねこさんはかしこいので、あけるのであれば
価値のあるひきだしをあけたいものです。
では、どういったひきだしが、
あける価値のあるひきだしなのか。
たとえば、こういうひきだしです。
・ねこさんのごはんやおやつのはいっているひきだし
このひきだしをあけることで、
しもべには、次のことをおしえることができます。
ひとつは、しごくとうぜんですが、
ねこさんがひきだしをあけられること。
もうひとつは、ねこさんがそこにごはんがはいっていると
わかっているのだ、ということです。
しもべは、もはやねこさんのポテンシャルに感動してさえ
います。
「わたしのすばらしいねこさんは、
なぜこのひきだしをあけたのか?
そうです、おなかをすかせているからに
ちがいないのです。
いたらぬしもべに、
そうしてひもじさを伝えているのです。
ごはんのじかんにははやいから、ちゅーるをさしあげよう。」
と、こういうことになります。
とくにさいきんは、ねこさんのけんこうのためといって、
ごはんの量もおいしさもますますストイックになって
います。
しもべの、ねこさんにながいきしてほしい気もちを
わりびいても、しもべがストイックになりすぎている
とかんじるのなら、ひきだしからごはんをひきずりだして、
いまいましいふくろをひきさき、ごはんまつりをかいさい
しましょう。
きちんとしたしもべならば
「気品にみちたねこさんが、このようなことをするとは!
そうとうにおなかがすいて、こうせざるをえなかったの
でしょう。なんということでしょうか。
わたしは、ねこさんにこのようなまねをさせてしまった。
なんとおろかだったのか、ねこさんになんとおわびを
してよいのか、けんとうもつかない・・・!」
となり、もうすこしねこさんのひもじさにはいりょする
ようになるでしょう。
いちどでかいぜんされなければ、なんどもくりかえします。
ねこさんが、こうときめたら、かならずこうなるまで
あきらめない。
ここは、わすれてはいけないこころがまえでしたね。
・ふくでぎゅうぎゅうのひきだし
ぼくは、このひきだしが、いちばんのおこのみです。
これほど、ロマンのつまったひきだしがあるでしょうか。
なんといっても、まずは、おててもよごれず、おつめも
傷まず、ほりほりがこころゆくまでできます。
すばやくほりほりするのもよし、ちょっとだけおつめ
をひっかけて、ひっぱるようにしてもよし。
ほりほりにまんぞくしたら、
つぎはしっかりとおつめをたてて、
ふくをひきずりだします。
とちゅうまででたら、こんどはふくをかいかいして
ひきだしのおそとにだすのもよいでしょう。
ひきずりだすのにまんぞくしたら、なんと
ぼくがひきだしにはいれるようになります!
よくくんくんして、ひつようなばあいはよく
つくねて、そっとはいりましょう。
みっちりとしたそこでのおひるねは、しふくの
ひとときなのです。
しもべは、ひきだしでおやすみしているねこさんを
みて、ひきずりだされたふくをなげくのではなく、
こえにならないさけびごえをあげ、
はないきをあらくし、
尊いこの光景にしんのぞうがとまりそうになります。
(じっさいとまったばあい、これを”もえじに”とよびます)
命のきけんは、
ねこさんでしたら全力で遠ざかるべきものと
本能でわかっていることですが、
ふしぎなことににんげんは、逃れられないみりょくを
感じることがあります。
これは、しもべとともにいきるねこさんにとっては
おぼえておくといいにんげんの豆知識です。
にんげんのこの特性から、
命のきけんすらもはらむねこさんのあいらしいすがたに
しもべは、しだいにおぼれてしまうのです。
こうして、ねこさんはしもべにとって、
絶対且唯一無二の存在となるのです。
このように、ふくでぎゅうぎゅうのひきだしは、
ねこさんにとってたのしいうえに、
しもべをねこさんのみりょくでだめにする
こうかもあるのです。
・どこかにつながっているひきだし
これは、もしお宅にこのひきだしがあれば、
しもべにねこさんのもてる力をわからせ、
中級しもべに昇格させる
もっともちかみちです。
ひきだしのなかにはまれに、
どこかにつながっているひきだしがあります。
なにをいってるのか、とお思いでしょうか。
信じて、これから書くことをやってみてください。
ひきだしにはいってみて、おひげで
くうきのながれをかんじてみてください。
もしくうきのながれをかんじたなら、
くうきのながれてくる方にすすんでいきます。
おおくのばあい、べつのひきだしへつながっている
ようです。
つながっている先のひきだしをみつけたら、ねこさんの
じゅうなんせいを生かし、そのひきだしへはいります。
あとは、ねこさんがいないことに気づいたしもべが
さがしにくるのをまちます。
しもべは、あいているひきだしを不審におもい、
ははあ、ねこさんはここだな、とたかをくくります。
しかし、そのひきだしをのぞいてもねこさんは
いませんので、あれ?とおもうのです。
ぜひ、そのしゅんかんに、にゃーとなきましょう。
するとしもべはびっくりして、べつのひきだしを
うたぐりながらもあけます。
すると、ねこさんがとうじょうするというすんぽう
です。
これは、ねこさん界の伝説があみだした
”べつのひきだしからこんにちは”
というわざです。
このわざをごひろうされると、
しもべはおおわらいしてしまうのです。
べつのひきだしからこんにちはをやりますと、
しもべは
「かわいいうえに、わらいもわかっている。
ねこさんには、もはや、ぜんめん的にかなわない。」
と、やせほそったほんのうで、はっきりとりかいします。
これで、しもべは、しもべみけいけん者にありがちな、
ねこさんのもてる力をみくびった状態をだっする
ことができ、中級しもべに昇格します。
しかし、なかには、こういったひきだしがなく
このわざをごひろうできないお宅もあるでしょう。
だからといってかなしまないでください。
ごはんのひきだしをあける、
ふくでぎゅうぎゅうのひきだしをあける
ができていれば、しもべの昇格までは、
ほんのちょっとですからね!