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性転換【Ⅹ】

2023年11月01日 | 動画 ニュース

「浩樹~ ここに新しいブラジャー置いとくからね。 母さんちょっと回覧板届けてくるから~♪」

 母、信子は風呂場の脱衣場の籠に長男、浩樹の新しいブラジャーを置くと家を出て行った。

 二階から降りて来た長男の浩樹は風呂場へとそのまま移動した。

 ソファーに寄りかかってテレビを見ていた妹のミユキは浩樹が気になって、脱衣場へと兄を追った。

 

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【性転換Ⅹ】

 

 

 


「浩樹~ ここに新しいブラジャー置いとくからね。 母さんちょっと回覧板届けてくるから~♪」

 母、信子は風呂場の脱衣場の籠に長男、浩樹の新しいブラジャーを置くと家を出て行った。

 二階から降りて来た長男の浩樹は風呂場へとそのまま移動した。

 ソファーに寄りかかってテレビを見ていた妹のミユキは浩樹が気になって、脱衣場へと兄を追った。


「お兄ちゃん… すっごおぉーい♪ また乳輪と乳首、おっきくなってるう~!」

 脱衣場で上半身裸になった浩樹を見た妹のミユキが驚きの声を上げた。

 浩樹は妹から乳房を隠すように背中を向けた。


「いいから、早く出てけよ!」

 Bカップの乳房を見られて顔を真っ赤にした浩樹は、後にいるミユキに照れ臭そうに軽く怒鳴った。

 脱衣場に干してあった手拭を回収しに来たフリをしていたミユキの左手の指が突然、浩樹の乳房をそして乳首を掠った。


「ぁんっ! ビクウゥンッ! ガクッン!」

 乳首からの激しい快感(しげき)に浩樹は妹の前で恥かしい声をあげ両膝から力が抜けその場に跪いてしまった。

 無言で深く俯いた浩樹に妹のミユキは顔を真っ赤にして恥じらいの様子を見せた。

 両手で乳房を覆い隠す浩樹。


「ゴッ、ゴメン! たったたたたたたた…」

 ミユキは両手で乳房を隠す兄の浩樹を目の当たりにし、呆然としたあと驚いてその場から逃げ出してしまった。


 藤堂浩樹、高校二年生で勿論男子……


 小学生高学年頃から乳房が少しずつ膨らみ始め、中学二年生の頃にはAカップ、そして高校一年生でBカップにと女性化乳房は進んだ。

 ただ、一般的な女性化乳房と違っていたのは、浩樹の乳房は母親同様に完全に熟した機能を持っていたという点だった。

 乳房を揉まれれば女性同様に心地よくなり、乳首は触れられただけで全身と脳裏を激しい快感(しげき)が突き抜けた。

 その度に浩樹は全身から力が抜け、女性同様に身体の中からオビタダシイ量の愛液を溢れさせた。

 浩樹の身体に異変を感じた母親の信子は浩樹が中学二年生になった時、父親を伴って何件かの病院を訪ね歩いた。

 その結果、全ての病院の意見は身体の発育が終ってから切除手術をしましょうだった。

 発育が終り次第、切除手術をするということで考えを纏めた両親だったが、浩樹は直ぐにでもして欲しい手術願望をグッと堪えた。

 というのも無理はなく、中学二年生の頃のAカップなら兎もかく、高校生になってからのBカップは歩くたびに揺れ、他の男子からも女子からも異様な視線で見られていて、乳首が擦れる度に成人女性と同等の刺激が彼の動きを抑止していたからだった。

 理由は様々だろうが、健康な男子較生の立場に立って考えれば誰しも解かるところだろうか。

 そしてそんな浩樹の箪笥な入っている下着と言えば、思春期の男子でありながら上半身用だけが成人女性と同じ下着であった。

 感度の高い身体を快感(しげき)から守るためと同時に、女子と違って身体の大きい浩樹だけに、ブラジャーもキャミソールもスリップも大人用のものを使っていた。

 オマケに普段の生活の中では無意識に刺激を受けることもあって、浩樹はトランクスを使用したかったにも関らず、仕方なくブリーフに母親の手作りの当て布が付けられた物を履いていた。

 溢れた愛液を受ける女性と同じ当て布が必要だったからである。

 だが、母親である信子にしてみれば、男子として生んだ我が子の下着に当て布を縫い付けることがどれほど苦痛だったか計り知れない。

 まして浩樹のために買うナプキンは買いたくない一つでもあった。

 染色体に異常の無い浩樹の身体は人体異変として病院の医師たちに認識された。

 ただ、浩樹の乳房は女性同様に乳腺を持っていたことだった。

 即ち、単なる女性化乳房ではなく、立派に授乳の出来る身体であったということが医師達を驚かせた。

 そして将来、この切除に立ち会う医師は性同一性障害者で女性乳房切除の権威と称えられる医師に決まっていた。

 プリプリしてツンと上を向いた浩樹の乳房は外人モデルのように美しい形をしていて、白い肌の中にある乳首は桜貝のように綺麗な色をしていた。

 本来なら女性の下着や身体に興味の出る年頃にも関らず、上半身を包む浩樹の下着は全て女物であって、就寝時には殆どをノーブラのミニスリップ着用眠っていたから、浩樹にしてみれば女物は普通に自分の下着だった。

 ブリーフも前側に当て布が縫い付けられていて、時折、生理用ナプキンをも使っている浩樹は女性との区別と言えば精々、パンティーストッキングを履く履かないくらいしかなかった。

 もっとも女子高生でも滅多に履かないパンストは対象外といえば対象外だっといえよう。

 そんな浩樹といえども健康な男子。

 深夜、自室でする自慰も上だけ見れば女のようだが、ちゃんと射精もする男としての能力を持っていた。

 ただ、違うのはペニスを肉棒化させての自慰ではなく、成人女性同様に感じる乳房を使っての女の自慰だった。

 浩樹は乳房を弄ることでペニスを勃起させ、扱くことなく男女両方のエクスタシーに達することが出来たのである。

 ベッドの中で上半身晒して自らの手を使った自慰は浩樹に喘ぎ声を連発させた。

 しかるに浩樹は自らの口をタオルで縛り猿轡をして自慰に臨んでいた。

 プルプルと揺れる上向きの乳房を両手で揉み回す姿は客観的に女そのものだった。


 目を閉じて首を仰け反らせ二つの乳首に指を絡める。

 切ない吐息が薄明かりの部屋に漏れる頃、二つの乳首は硬く勃起し触れる度にジンジンと身体の内側をコダマした。

 ペニスと肛門の中間辺り、身体の内側にモワァっと広がる官能が背骨を通って脳裏へと鈍い刺激を伝える。

 両手で支えるように乳房を回し揉みすればジワッーっと重たい心地よさが広がり、乳首を弾けばビンビンッとエレキギーターのような鋭い刺激が脳をつんざく。

 ブリーフとペニスの間に入れたナプキンが溢れる浩樹の愛液を受け止めていた。

 そんな浩樹の自慰を屋根裏から息を殺して覗き見する中学三年生のミユキが居た。

 ミユキは兄の浩樹に恋する乙女ではなく、兄である浩樹の女の部分に恋していた。

 タオルで自ら猿轡しているとはいえ、女が喘ぎ声を奏でて隣室に聞こえないはずもなく、妹のミユキは浩樹の喘ぎ声と共に押入れから天井裏へと侵入し、浩樹の自慰を見ながら自らもクリトリスを弄り官能に浸っていた。

 そのミユキの想像は常に浩樹の乳房を揉んでは乳首に舌を絡めるというものだった。

 そしてパンティーを膝までずらしたミユキは息を殺し指を動かしていた。

 ミユキのデリケートな部分からは幼いながらも女の体液が太ももに滑り落ち、何も知らずに乳房を両手で回す浩樹はエクスタシーへと突き進んでいた。

 兄、浩樹の乳房オナニーを覗き見る妹ミユキの右中指は、クリトリスから尿道へと滑り落ち、小陰唇の外側と内側を往復させて喘ぎ声を堪えていた。

 
 触れて見たい… 弄って見たい…


 屋根裏の隙間からボンヤリ見える浩樹の乳首を見て、ミユキの指は小陰唇の間を無作為に動き回っていた。

 そして兄、浩樹が全身を仰け反らせ硬直する辺りを見計らって、ミユキもまたエクスタシーの扉を開いた。

 両手で二つの乳首を弄り仰け反らせる浩樹は、かけ布団から食み出した両足を硬直させカガトをピンと伸ばしてエクスタシーに入るパターンだった。

 そんなミユキの太ももを伝ったヌルヌルした液体は、屋根裏の板にポタポタとヌメリを落とし、押し殺したミユキの吐息が乾いた屋根裏に湿気を漂わせた。

 

「やっぱり無いわね… 男性用の肌着で胸に余裕のある物なんて~ 大きければダブつくし、長さも違いすぎると… やっぱりこれしか無いのかしらねぇ~」

 娘のミユキを連れて衣料品店を訪れていた母の信子は、買い物籠に入れたキャミソールとタンクトップを手にとって溜息をした、

 そんな母、信子を他所に娘のミユキは、新しいキャミを着けて自慰する浩樹のことを考えていた。


「お兄ちゃんも、こんな可愛いパンティー着ければいいのに……」

 ミユキは頭の中でフリルのパンティーを履いた兄、浩樹を想像していた。

 
 そんな浩樹は1ヵ月後、掛かり付けの医師たちにも言えないような奇病に犯された。

 普段どおりに生活していた浩樹は学校から帰った辺りから突然の腹痛に襲われた。

 倒れるように塞ぎこみ、身を案じた母の信子は浩樹を病院に連れて行った。

 ところが、内科の医師は原因がわからないと手をこまねいた。

 その後、近くの外科へ行きレントゲンを撮ってもらったが異常は見当たらないまま、鎮痛剤を処方され帰宅した。

 浩樹の容体は回復することなく、熱も出て来たたため内科で貰った解熱剤を使った。

 熱は一時的に下がったものの、腹痛は治まらず母、浩樹への看病は翌朝まで続いた。

 そして、痛みの治まった浩樹の傍で眠っていた信子が目を覚ますと、顔色のよくなった浩樹がぐっすりと眠っていた。

 その後、浩樹は学校を病欠し、父親の博之は会社、ミユキは中学校へと出かけた。

 朝の九時、信子はパートを休んで寝ている浩樹に付き添った。

 その浩樹が目を覚ましてトイレに行った瞬間、母の信子は浩樹の驚愕する叫び声に慌てた。

 信子は慌ててトイレの前に立って中にいる浩樹にドア越しに声を掛けた。

 ドアが静かに開くと、パジャマとブリーフを膝まで下げて便座に座ろうとしていた浩樹が床の一点を恐ろしい形相で見入っていた。

 母、信子はその視線の先を辿った。

 

 

【二話】

 


「なっ、何っこれぇ!? な、な、な、何っ!」

 浩樹の股間の下、床に落ちている腐った肉の塊に、信子も全身を震撼させた。  

 床に落ちていたのは、紛れもない腐って落ちた浩樹の性器だった。

 浩樹は呆然とし信子は唖然とした。

 その信子が腰を屈めて性器を見据え、そして浩樹の股間にゆっくり視線を移した瞬間、信子は後ろに尻餅ついてひっくり返った。

 浩樹はその様子を見て、首を傾げ自分の股間を見た瞬間、全身を痙攣させ声を大きく震わせた。

 恐ろしい物を見たような顔する浩樹はそのまま便座にペタリと座った。

 母、信子と長男の浩樹は真っ青な顔して互いの視線を重ね顔を強張らせた。


 ギヤアアァァァーーー!!!


 親子は便所で力任せに叫び声を上げた。

 そしてその後。
 

「母さん! 誰にも言わないくれ! こんなこと誰かに知れたらモルモットにされて一生、病院から出られなくなるよ!!」

 ブリーフとパジャマを履いた浩樹は自室の部屋の布団の横で、母である信子の両手を掴んで低い声で説得していた。

 母の信子もまた、うん! うん! と、首を縦に大きく振って浩樹に答えていた。

 二人は恐ろしい物でも見るように、透明な食肉用のジッパー付きの袋に入った浩樹の性器を見詰めていた。

 
「とにかく、これ冷やさなきゃ!! 指の切断と同じに!!」

 信子はバタバタと浩樹の性器の入った袋を持つと一階の冷蔵庫へと走って行った。

 そしてその間、浩樹は下半身を裸になると、手鏡で自分の股間を覗き込んだ。

 鏡の中を覗いた瞬間、浩樹は顔色を真っ青にし歯をガチガチと鳴らした。

 そこには陰毛に隠れるよう割れ目が存在し、両足を開いて鏡を覗くと、パックリと開いた大陰唇の中にクリトリスと尿道、そして小陰唇の間に穴がついていた。

 浩樹は恐怖でそのままそこに失禁してしまった。

 そこへ現れた母の信子は悲鳴を上げそうになりながらも、部屋にあったタオルで床を拭き取り、別のタオルを浩樹の割目を隠すように上に掛けた。

 浩樹は母親の前で両足を開いたまま気絶していた。


 数時間後、目を覚ました浩樹は布団の中で自分の股間をピタリと張り付くパンティーに気付いて再び声を失った。

「取敢えずお母さんのパンティーだけど新品だから、それ履いてなさい。 女の身体には女の下着が一番だからね。 あと暫く学校は休みましょう…」

 母の信子は不安げな表情を隠せず布団の中で震える浩樹の横に正座して、思い詰めた声を出して掛け布団をポンポンと軽く叩いた。


「浩樹のアレは冷蔵庫の横の冷凍庫の奥に保管したから、落ち着いたら病院に持って行きましょう… 取敢えず今は休みなさい。」

 母、信子は落ち着いた口調で布団を頭から被る浩樹に話した。


「母さん! 誰にも! 父さんミユキにも! 黙ってて!」

 一瞬布団から顔を出した浩樹は直ぐに布団を頭から被った。

 信子は無言で頷くと浩樹の部屋から出て行った。

 浩樹は布団の中で、夢なら覚めてくれと、右手で股間を撫でたが夢ではないことに愕然とした。

 暫くして母の信子が浩樹の部屋を訪れると、浩樹を連れてトイレに行った。

 女性のトイレの仕方を教えるためだった。

 泣きながら母、信子を便座に座って見詰める浩樹に信子は涙を堪えて、小便の時と終えた時の拭き取りを教え、大便の時は膣方向へ拭かないことを声を震わせて浩樹に伝えた。

 こんなことを高校二年生にもなる長男に教えなければならない信子の苦悩は想像を絶するものだった。

 浩樹は小便をすると恐る恐るペーパーで陰部を拭き取りトイレを流すと、黙ったままトイレを出た。

 トイレのドアの傍にいた信子は作り笑顔をしてニッコリ微笑むと、今度は浩樹を風呂場へ連れて行き、一緒に風呂に入ろうと誘った。

 
「取敢えず自分の身体がどうなっているのか、女性の身体はどうなっているのか、自分の目で見て頭に入れて頂戴… 元に戻る戻れないは別としてそれまでは今の身体で生活するんだもの…」

 湯船に入れたお湯を止めて脱衣場へ戻った信子は浩樹の前で服とスカートを脱いだ。

 初めて見る黒いスリップ姿の母親に浩樹は恥かしげに俯いた。

 スリップを脱いでパンティーストッキングを脱いだ信子はブラジャーを外し、浩樹の前でパンティーを脱ぐと乳房と前側をタオルで隠した。


「何してるのぉー アナタもさっさと脱ぎなさい。 今は恥かしがってる時じゃないのよ!」

 信子は恥かしくて赤面する浩樹を声を少し大きめに即すと、浩樹は大きく深呼吸をして頷くと服を脱いで全裸になった。

 浩樹は信子のように見よう見真似でタオルで身体を隠すと風呂場と足を入れた。

 身体を洗い湯船に浸かり温まったところで、浩樹は台座に座り鏡の前で両足を大きく開いた。

 母、信子はその後ろで鏡の中に映った長男、浩樹の陰部に見入った。


「これが大陰唇… ここがクリトリス… 解かりづらいけどここが尿道… そしてここが小陰唇… そしてここが膣の入口…」

 浩樹の後ろから浩樹を抱きかかえるようにして、信子は指さしして女の部位を説明した。

 母、信子には照れはなく淡々と教師のように説明した。

 そんな浩樹の陰部は生まれたての赤ちゃんのように綺麗だった。

 
 母、信子が風呂を出た後、一人残された浩樹は戦々恐々としながらも、陰部に震える右手を伸ばしクリトリスをそっと中指の腹でなぞってみた。

 凄まじい刺激が浩樹の脳天を貫いたが、女として未熟な浩樹はそれが後々、快感に変わるなんて思いもしていなかった。

 噂に聞いたことのあるクリトリスはヨガリ声を奏でる快感とは程遠く、単なる痛い刺激でしかなかった。

 浩樹は信子が再び用意してくれたパンティーを履き、いつものブラジャーとミニスリップを身につけると真横にある大きな鏡を見て絶句した。


「これが… 俺なのか……」

 鏡の中に映った浩樹の身体は女そのものだった。

 そして、スボンだと思って手に取ったスカートを見た瞬間、浩樹は顔から火が出るほど恥らった。

 下着姿のまま、服とスカートを持って母の信子のところへ行くと、浩樹は大声で怒りをブツけた。

 すると信子は涼しい顔をして物静かな口調で声を出した。


「ズボンだと暑いかも知れないから取敢えず履いてなさい… そして寒かったらズボンにしなさい… アナタの体温(からだ)が男なのか女なのか解からないから、今は……」

 信子は居間のソファーに座り、電話帳の医療コーナーに視線を向けていた。

 浩樹は信子の落ち着いた口調に驚いて、無言で手に持ったスカートをその場で履いた。

 母親の前でスカートを履いた浩樹だったが、不思議とスカートに違和感を持ってはいなかった。

 そんな浩樹は浩樹の方を見ようとしない母をそのままに二階の自室へと戻って来た。

 母の態度に悔し涙が込み上げ、タオルを出そうと箪笥を開け瞬間、引き出しの中にあった新品のパンティーを見て浩樹は愕然とし、新品のタイツを見て更に浩樹は追い討ちをかけられた。


「寒かったら履きなさい… 前と体温も何もかも違ってたら調節も難しいでしょうから… 二段目にはパンストも入れておいたから、気温と体温に合わせて使い分けしなさい。」

 浩樹は淡々と自分に女装を勧める母が恨めしく思えた。


「ミユキやお父さんが戻る前にスカートからスボンに替えなさい… それからタイツを履くならソックスは色が目立たないものにしなさいね、バレちゃうから…」

 信子は箪笥の前に崩れた浩樹に伝えると再び一階へと戻って行った。

 その信子は寝室に篭るとパソコンでインターネット検索に目を凝らしていた。


 半陰陽……

 
 信子の目はこの一文字に釘付けになっていた。

 以前、信子が気になって調べていた病名だった。

 ただ、複数の医師たちからはそんな言葉も出てこなかったことで、信子はすっかり半陰陽という言葉を忘れていた。

 もしかしたら浩樹は半陰陽なのではないかとモニターに目を凝らした。

 とは言いながらも既に浩樹には乳房もついていて、股間には疑いの余地が無いほどの精密な女性器がついていたことで、信子は一人悔し涙を頬に伝えていた。

 浩樹が余りにも可哀想だと信子は涙を流した。

 その浩樹はといえば二階の自室で、母親が箪笥に入れてくれたパンティーストッキングを袋から出し、ドキドキしながら履き始めていた。

 スルスルと爪を引っ掛けぬようにフィットさせながら履いたパンティーストッキングに、浩樹は不思議と違和感はなかった。

 手鏡を学習机の上において、自分の姿を確認する浩樹は何故か嬉しくなってスカートを履いてみた。

 浩樹は不思議な感覚に浸っていた。

 鏡の中に居る自分ではなく普通の女の子、そしてその女の子を見る自分が不思議だった。

 
 この日の夕方、ミユキが学校から戻る前に男姿に戻った浩樹は、いつものように振舞っていた。

 当然のごとく父親にも気付かれることなく緊張の時間は過ぎ去った。

 だが浩樹の様子がいつもと違うことに逸早く気づいたのは妹のミユキだった。

 深夜、浩樹が自室の明かりを落とすと、それを察知したミユキは自室の押入れから天井裏へと足音を忍ばせた。

 真っ暗な天井裏の隙間からは小さな灯りのともる浩樹の部屋は丸見えだった。

 いつものようにキャミソールの肩紐を落とした浩樹は両手で乳房を揉見回していた。

 ただいつもと違うのは途中から浩樹の右手が布団の中に消えたことだった。

 乳房だけの自慰だったはずの浩樹の右手が何故かこの日は布団の中でゴソゴソしていた。

 
「ヤダッ! お兄ちゃん、アソコをモミモミしてるのお!?」

 屋根裏で覗き見するミユキはドキッとした表情を浮かべ浩樹の自慰を観察していた。

 そんな浩樹の表情もまた普段とは違う、不思議な色気を漂わせていた。

 浩樹はパンティーの上からパンティーストッキングを履いたまま布団に入っていた。

 下半身を覆うパンティーストッキングの肌触りに心地よさを覚えたようだ。

 浩樹は右手を太ももと尻に滑らせていた。

 もちろん、女の身体のことなど何も知らない浩樹は乳房の快感と巣半身からの心地よさに延々と自慰を続けていた。

 そしていつまでも終らない浩樹の自慰に飽きて来たミユキは終焉を見ることなく屋根裏から撤退した。

 その数分後、浩樹はエクスタシーに達した。

 ただ、全てを終えた浩樹はパンティーの内側に嫌な違和感を覚え、ベッドから出るとパンティーストッキングを脱ぎ、パンティーを膝まで降ろした。

 ヌルヌルした透明な粘液が浩樹のパンティーの内側に貼りついていた。

 浩樹は濡れる身体になっていた。

 噂には聞いたことのある女の愛液を思い出した浩樹は、パンティーの内側を指でなぞり、その匂いを嗅いでみた。

 浩樹の鼓動は高鳴っていた。

 自分の身体から出たであろう愛液のついた指をペロリと舐めた浩樹は、再びパンティーから絡めとった愛液を指ごと口の中に入れてシャブッた。

 塩気の利いた感じたことの無い味覚だった。

 
「こっ、これが女の味なのか?! そしてこれが女の子の匂い…」

 浩樹は慌ててパンストを脱ぎ、パンティーをも脱ぐとベッドに戻り、両手で自分の履いていたパンティーの内側に顔を埋め鼻で深呼吸を始めた。

 今まで嗅いだことのない不思議な匂いに咳き込みながらも浩樹は、女の匂いに胸の奥をムラムラさせ当て布に舌を滑らせて味わった。

 浩樹は男の性欲をパンティーにブツけた。

 

 

【三話】

 

 


「大事なお話しがあるの。」

 学校を休んで学習机に向かう浩樹の部屋で母である信子はそう切り出した。

 神妙な顔つきの母に浩樹は生唾をゴクリと飲み込んで、信子の座るベッドに首を向けた。


「スカート、動きやすいでしょ♪」

 浩樹の履いているデニムの膝上スカートをチラッと見た信子は自分を見入る浩樹に笑みを浮かべた。

 薄手の黒いタイツを覆う青いデニムのスカートを自らもチラッと見て、再び信子に視線を合わせた浩樹は照れ臭そうだった。

 
「怒らないで聞いて欲しいの… お父さんに話したの… お母さん一人じゃ解決出来ないの、それに!」

 ベッドの上に座る信子は不安そうな表情をする浩樹に早口になる自分を抑えながら口を開いた。

 すると浩樹は信子の話を聞いて直ぐに両目を大きく見開いて、信子の話の腰を折った。


「いいよ! 仕方ないさ! 俺も調べたよ… 自分の身体だもん…… 半陰陽… だろ…」

 浩樹はそういうと再び学習机に向かってドンヨリと覇気を沈めた。

 そんな浩樹に信子は深呼吸をして思い詰めた表情を無理して笑顔にして口を開いた。


「専門の病院を探したの…… もし、浩樹の病気が浩樹とお母さんの思ってる物なら…… でも! 違うかも、知れない…… お父さんも病院へって思ってる…」

 ベッドに座り自らの両手を前側で手揉みする信江。

 重苦しい空気が漂った。


「いいよ、俺… 女でも… 仕方無いじゃん、こんな身体になっても生きていられるんだから… 物分りいい方だよ♪ 俺って♪ ふふ……」

 浩樹は机の上においた自らの両手を震わせて掴み合わせながら空元気を出して見せた。

 そんな浩樹を前に信子は深く無言で俯いた。

 重苦しい時間が経過した。

 
「で、どうすればいいの? 何をすればいい?」

 自らの掴みあった手をパッと離した浩樹は両手を机に貼り付けて、張りのある声を出して信子の方ほ振り向いた。

 浩樹なりに母を心配させまいという気遣いだった。

 

 数日後、浩樹は両親と三人で都会の大きな病院を尋ねた。

 

「まぁ、検査しないとなんとも言えませんが略、間違いないでしょう…」

 両親は医師の前の椅子に座りその言葉に愕然とした。

 医師は淡々と顔色を変えずに冷静を装っていた。

 手で口元を押える信子。

 両手を膝の上に肩を落とす父、博一。

 そして真ん中で背筋を伸ばしたまま微動だにしない浩樹がいた。

 

 浩樹は病院に入院し両親は浩樹を残し帰路についた。

 妹のミユキは何も知らずに親戚の家に入った三人を自宅で待っていた。

 帰りの電車の中、夫婦は無言で窓の外を見ていた。

 真っ暗なトンネルに入った時、信子は泣いていた。

 まるで死の宣告を受けたようだった。

 そんな時、浩樹は一人、女性部屋の個室でボンヤリ窓の外を眺めていた。

 その目には覇気はなく虚ろだったかも知れない。

 浩樹は自分が実験材料として好奇な目で見られている、そんな気がしていた。

 診察をする医師の目は冷静を装ってはいたが、その装いが嘘であることが浩樹にさえ解かるほどだった。

 周囲の看護師たちもまた、日常有り得ない何かに遭遇したような目をしていた。

 半陰陽… それも体内から変化が起きて男のシンボルが腐って落ちると言う奇病ともいえる病気。

 両性を持ったまま生まれ一定期に突然、性が逆転する奇病。

 世界中に同じような症例はあるものの、日本では数少ないという。

 浩樹はその数少ない症例の一つだった。

 男に生まれて17歳で突然、女になる。

 それがどういうことなのか。

 理解出来る人間などいない。

 数日後、検査の結果、浩樹の体内に妊娠できる能力があることが確認された。

 卵巣も子宮も備わった身体だったことに浩樹は愕然とした。

 医師は生理が来るのは時間の問題だと付け加えた。

 浩樹の病室に生理用ナプキンが備えられた。

 看護師は浩樹に生理の対処法を家庭科のように教えた。

 怯えながらも浩樹は現実と向き合った。

 そのことは逐一、両親の耳に医師から伝えられた。

 同時に戸籍の書き換え説明をされた。

 悩む両親を浩樹の妹、ミユキは見ていた。

 そんな両親の異変に気付かないミユキではなかった。

 近所でも仲良し家族と言われた家族が静まり返った。

 一週間の検査の結果、浩樹は性分化疾患(せいぶんかしっかん・Disorders of sex development , DSDs)英語ではDSDと認定された。

 ただ、認定には倫理委員会を通す必要性があることから、病名は仮称として位置づけられた。

 
 退院後、浩樹は親しい同級生や友人に会うことなく、母親の信子の実家へ病気療養の名目で居場所を変えた。

 そこは信子の同級生の嫁ぎ先で、田舎町の小さな個人病院だった。

 そこに個室を取り女の子ということで入院させることになった。

 浩樹のことを知る信子の実家よりはという配慮だった。

 信子の同級生の佳代も看護師として大きな病院にいた事もあって、信子の信頼出来る人であった。

 その個人病院を居場所として大学病院へ通うという策を信子は講じた。

 そして佳代の夫であり病院の院長である木村貞夫もまた信頼のおける人物であった。

 シャワー付きの風呂と小さなシンクがついている十畳ほどの個室には、ベッドの他に和箪笥と洋服箪笥、テレビに冷蔵庫と学習机が備わっていた。

 そんな田舎町の個人病院には入院患者も少なく、いても老人だけというのもメリットに感じていた。

 最初は自分の家にと、佳代も貞夫も勧めてくれたが、息苦しさもあってはと信子は入院を希望した。

 

 検査を終えてから三週間が経過していた。