国民年金保険料免除申請却下通知書の却下理由について
国民年金保険料免除却下通知書の却下理由の文面を見てみると、「国民年金保険料・納付猶予申請書の申請のあったものについて審査した結果、平成●年●月から平成●年●月までの国民年金保険料免除または納付猶予申請は、基準に該当しないため却下します。」とある。
ここで注目したいのは、却下理由である。行政手続法第8条においては、申請に対する拒否処分理由の提示について、以下のように定められている。
行政手続法
(理由の提示)
第八条 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
2 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。
免除申請に対する却下処分は、行政法学上、申請により求められた許認可等を拒否する処分であるから、書面による却下通知と同時に、書面による却下理由を提示する必要がある。しかし、先述の却下理由の文面は、「基準に該当しないため却下します。」のみの記載であり、十分な理由説明にはなっていない。
処分理由がどの程度必要かについての著名な判例として、旅券申請に際し、「旅券法13条1項5号に該当する」との理由を付し、旅券発給の拒否処分をしたことについて、理由付記の不備を理由として、処分の取消しを求めたことについての最高裁の判例がある。申請を拒否したことについて最高裁は、「いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して一般旅券の発給が拒否されたかを、申請者においてその記載自体から了知しうるものでなければならない」と判示した。(最判昭60.1.22)
免除申請においては、本人を含めた連帯納付義務者(配偶者・世帯主)の所得審査があり、誰の所得が基準に該当しないから却下された等の理由の付記まで必要であるように思える。
しかし、行政手続法には例外規定が設けられており、「法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。」とされている。
免除の審査基準は、国民年金法や法施行令で明確に示され、所得基準や控除される額についても数値が定められている。さらに、免除申請書に、本人を含めた連帯納付義務者(配偶者・世帯主)が正しく記載されており、税申告の有無や所得についての記載が正しいとするなら、申請書の記載内容が基準に該当しないことは明らかだとわかる。よって、免除の却下通知において、「基準に該当しないため却下します。」のみの記載で十分だと言える。
しかし、ここで問題となるのは、その理由付記で足りる条件として、申請書の記載内容が正しいことが挙げられ、もし、申請書の記載内容と事実が異なる場合、その理由付記で足りないこととなる。
免除申請後、市町村において連帯納付義務者の確認が行われ、申請期間中に世帯状況の変更、婚姻、離婚があった場合、その事実を付記して、日本年金機構に進達するが、市町村の確認のみをもって、審査が行われるのではなく、本人に申請書を返戻し、補正を求める。つまり、市町村の確認によって明らかとなった事実と、本人による連帯納付義務書の申立を一致させる作業が必要となっている。そうすることで、万が一免除却下となった場合、「基準に該当しないため却下します。」との理由付記で足りることになる。逆に言えば、本人に補正を求めず、市町村の確認と申請書の記載が不一致のまま審査した場合、所得基準を超えている連帯納付義務者の記載や、いつ世帯状況が変更されたかまで、却下理由に付記する必要がある。
現在のような却下理由としている以上、面倒な作業ではあるが、本人が記載した連帯納付義務者の内容が事実と異なる場合、本人に補正を求める必要がある。
国民年金保険料免除却下通知書の却下理由の文面を見てみると、「国民年金保険料・納付猶予申請書の申請のあったものについて審査した結果、平成●年●月から平成●年●月までの国民年金保険料免除または納付猶予申請は、基準に該当しないため却下します。」とある。
ここで注目したいのは、却下理由である。行政手続法第8条においては、申請に対する拒否処分理由の提示について、以下のように定められている。
行政手続法
(理由の提示)
第八条 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
2 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。
免除申請に対する却下処分は、行政法学上、申請により求められた許認可等を拒否する処分であるから、書面による却下通知と同時に、書面による却下理由を提示する必要がある。しかし、先述の却下理由の文面は、「基準に該当しないため却下します。」のみの記載であり、十分な理由説明にはなっていない。
処分理由がどの程度必要かについての著名な判例として、旅券申請に際し、「旅券法13条1項5号に該当する」との理由を付し、旅券発給の拒否処分をしたことについて、理由付記の不備を理由として、処分の取消しを求めたことについての最高裁の判例がある。申請を拒否したことについて最高裁は、「いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して一般旅券の発給が拒否されたかを、申請者においてその記載自体から了知しうるものでなければならない」と判示した。(最判昭60.1.22)
免除申請においては、本人を含めた連帯納付義務者(配偶者・世帯主)の所得審査があり、誰の所得が基準に該当しないから却下された等の理由の付記まで必要であるように思える。
しかし、行政手続法には例外規定が設けられており、「法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。」とされている。
免除の審査基準は、国民年金法や法施行令で明確に示され、所得基準や控除される額についても数値が定められている。さらに、免除申請書に、本人を含めた連帯納付義務者(配偶者・世帯主)が正しく記載されており、税申告の有無や所得についての記載が正しいとするなら、申請書の記載内容が基準に該当しないことは明らかだとわかる。よって、免除の却下通知において、「基準に該当しないため却下します。」のみの記載で十分だと言える。
しかし、ここで問題となるのは、その理由付記で足りる条件として、申請書の記載内容が正しいことが挙げられ、もし、申請書の記載内容と事実が異なる場合、その理由付記で足りないこととなる。
免除申請後、市町村において連帯納付義務者の確認が行われ、申請期間中に世帯状況の変更、婚姻、離婚があった場合、その事実を付記して、日本年金機構に進達するが、市町村の確認のみをもって、審査が行われるのではなく、本人に申請書を返戻し、補正を求める。つまり、市町村の確認によって明らかとなった事実と、本人による連帯納付義務書の申立を一致させる作業が必要となっている。そうすることで、万が一免除却下となった場合、「基準に該当しないため却下します。」との理由付記で足りることになる。逆に言えば、本人に補正を求めず、市町村の確認と申請書の記載が不一致のまま審査した場合、所得基準を超えている連帯納付義務者の記載や、いつ世帯状況が変更されたかまで、却下理由に付記する必要がある。
現在のような却下理由としている以上、面倒な作業ではあるが、本人が記載した連帯納付義務者の内容が事実と異なる場合、本人に補正を求める必要がある。
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