日々是好日

11月15日(水)猫のぬいぐるみと靴べら

今日は京都全日ツアー。JR京都駅のすぐそばにあるホテルにお迎えに行った。9時ごろの青空。


ゲストはニューヨークからお越しの51歳のご夫妻、ジェイソンさんとステファニーさん。お二人は大学生の時、ボストンで出会われたそうだ。ジェイソンさんはマサチューセッツ工科大学に、ステファニーさんはタフツ大学に通われていた。

伏見稲荷大社に向かう電車の中で、買いたい物が二つある、とおっしゃった。えっ?猫のぬいぐるみだけではなかったの?猫の方はこのような物を姪っ子さんのお土産に買いたいそうだ。Amazonで簡単に買えるが、日本で買って遠路はるばるアメリカまで持って帰ることに値打ちがある。


幸い、伏見稲荷のお土産屋さんで見つけたこの猫ちゃんを気に入ってくれたので、一件目は落着。ステファニーさん「ハローキティには口がないから嫌なの」


もう一つは、和風の靴べらだった。靴べらのことは英語でshoehornという。私がすぐにshoehornの意味がわからなかったので、ジェイソンさん、角のジェスチャーをしてくれた。いつものようにEETourのラインに助けを求め、自分でもググってみた。漆の靴べらを見つけたので、写真をお見せした。店舗は五条にある。27500円だった。ジェイソンさん、ドルに換算して、ちょっと高すぎるのでやめておく、とのことだった。お土産物屋でお手頃価格のものがあればいいのだが。



靴べらは諦めて、千本鳥居をどんどん上がっていった。ジェイソンさんは写真を撮るのがお好き。とてもセンスのいい構図で時にはユーモラスな写真を撮られる。ステファニーさんはお喋りが大好きで、私は相槌を打つのが精一杯。娘さんと息子さんは大学生。子供さんが大学生になって家を出ていった時の寂しさを語っておられた。私も2人の娘が同時期に家を出た時、長女にさよならが言えなくて、名古屋までついていってしまったことを話した。たった8時間、一緒にいただけで、息子さんの元ガールフレンドのことまで知ることになった。

伏見稲荷の拝殿。11月15日だというのに、七五三の子供がいない。今は休日にお参りする人が多いのだろう。ガイドを始めた頃、マレーシア人のご夫妻を法善寺にご案内した。宗教上の理由で、お堂には近付かずに遠くから水かけ不動をご覧になった。拝殿ではお参りの仕方はお教えするが、お参りを強制しないようにしている。今日のご夫妻はユダヤ人だったが、えらい真面目にお参りをなさった。神道は仏教とは違い、自然発生的なアニミズムに近いものなので、宗教と言えるのかと思いながら、いつも仏教と神道の違いを説明している。今日は面白い質問が出た。天皇は仏教?神道? これ、核心をつく質問ですね。あなたは仏教と神道のどちら?という質問をよく受けるが。推古天皇の摂政だった聖徳太子は伝来したばかりの仏教を国家宗教として国造りを進めたが、昭和天皇は戦争中、現人神だった。現天皇が即位した時に行った神事はあまり大きく報道されなかった。カメラも入れなかった。


京阪電車で三十三間堂へ。お堂の中に入ると大きな声を出せないので、お庭から『通し矢』ができる長い縁側を見てもらった。江戸時代は比較的平和な時代で、武士が命をかけるものはアーチェリー大会くらいになった、と言った。話しを盛りすぎ。


三十三間堂からバスに乗ろうとしたが、満員のバスが出たばかりだったので、タクシーで清水寺に向かった。清水坂、こんなに混んでいた。今度の週末は、もっと混むだろう。一応、左側通行になっている。観光庁のオーバーツーリズムについての相談窓口に、危険な混みかたになっていると警鐘のメールを送ったが、対策は取られていなかった。グループツアーのガイドさんの旗棒がどんどん長くなっていく。


本堂の近くまで上がっていくと、京都が見渡せる。青空が広がっている。ジェイソンさんは会議に出席するために東京に来られた。ステファニーさんはジェイソンさんの2日後に日本に到着して、2人の旅行が始まった。ジェイソンさんの仕事のパートナーさんはマリン保険会社。それなに?ネットで調べると東京海上日動火災保険会社のことだった。「海上」が「マリン」だった。ステファニーさんは、大学で心理学を専攻。PHDを取得したあと、病院で働いたりされたが、今は自宅のオフィスでグラフィックデザインのお仕事をされている。主な仕事はパーティーのロゴを作ること。お喋りは好きだが、1人でコンピューターの前で過ごす時間も楽しいそうだ。


昼食にはお寿司を希望されていたが、こうなってしまった。清水坂で食べ歩きをして、お腹が空いていなかったので。私はこのざる蕎麦、ご夫妻は和風ラーメンをシェアされた。


産寧坂にはよくテレビに登場する老舗の瓢箪屋さんがある。ここには猫のコレクションもある。「どうして猫なんですか?」と尋ねたことがある。「お袋が猫が好きだったんですよ」という返答だった。


タクシーで金閣寺に行った。いつのまにか曇ってきた。ステファニーさんのお喋りも曇りがち。金閣寺の説明に頷いてくれたが、どうもしんどそう。それでも鯉魚石の前では一緒に”Puff”を歌ってくれた。51歳でも”Puff”をご存知だった。下手な英語説明は短くして、どんどん進んだ。ステファニーさんから、昔『メモワール・オブ・ゲイシャ』を読んだので祇園に行ってみたいが、他の場所はスキップしたいという要請があった。金閣寺から祇園にタクシーで向かった。タクシーの中では、毎朝4時に目が覚めてしまうので、夕方になると疲れてくるとおっしゃっていた。


映画SAYURIが撮影された辰巳大明神で写真撮影をした。舞妓さんには会えなかったが、夕暮れ時の情緒のある景色を楽しんでいただいた。花見小路も散策した。四条通りでタクシーにお乗せして、ツアーは終了した。


今日も楽しい経験をさせていただきました。こちらこそ、ありがとう!



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