【定義】
違法収集証拠の排除法則とは、証拠の収集手続きが違法であった場合に、その証拠能力を否定し、事実認定の資料から排除する原則である。
【根拠規定】
違法に収集された証拠物の証拠能力については、憲法及び刑訴法になんらの規定も置かれていないので、この問題は憲法や刑訴法の解釈に委ねられていると解するのが相当である。
【問題提起】
ではいかなる場合に上記原則が適用され、証拠の証拠能力が否定されるか、排除法則の根拠と関連して問題となる。
【田宮】
この点違法収集証拠排除法則の根拠として、①憲法の要求であるとする考え、②違法捜査を将来にわたって防圧するための手段であるとする考え、③違法な捜査を見逃せば裁判所の信頼性を損なうことに求めるべきだとする考え、がある。
これらの論拠は相互に排除しあう関係ではないが、排除法則を予防法則と位置づける今日においては②の抑止効の有無をその根拠の中心に据えた上で①と③をも加味すべきである。
次に証拠物の性質について考えてみるに証拠物は押収手続きが違法であっても、物それ自体の性質・形状に変異をきたすことはなく、その存在・形状等に関する価値に変わりのない。よって、その押収手続きに違法があるとして直ちにその証拠能力を否定することは、刑事訴訟法の目的の一つである事案の真相究明(1条)を阻害し妥当でない。
しかし、他面において、事案の真相究明も個人の基本的人権の保障を全うしつつ、適正な手続きのもとでされなければならない(1条)。
そこで証拠物の押収等の手続きに、憲法35条及びこれを受けた刑訴法218条1項等の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては、その証拠能力は否定されると解すべきである。
このように違法の重大性と排除相当性がある場合に証拠物の証拠能力を否定すべきだと考えるが、上記要件は不明確である。そこで手続き違反の程度、違反がなされた状況、違反の有意性、頻発性の度合い、証拠採取との因果関係の程度、証拠の重要性、事件の重大性等の諸要素を総合して排除の可否を判定すべきだと考える。
田宮p397~405
違法収集証拠の排除法則とは、証拠の収集手続きが違法であった場合に、その証拠能力を否定し、事実認定の資料から排除する原則である。
【根拠規定】
違法に収集された証拠物の証拠能力については、憲法及び刑訴法になんらの規定も置かれていないので、この問題は憲法や刑訴法の解釈に委ねられていると解するのが相当である。
【問題提起】
ではいかなる場合に上記原則が適用され、証拠の証拠能力が否定されるか、排除法則の根拠と関連して問題となる。
【田宮】
この点違法収集証拠排除法則の根拠として、①憲法の要求であるとする考え、②違法捜査を将来にわたって防圧するための手段であるとする考え、③違法な捜査を見逃せば裁判所の信頼性を損なうことに求めるべきだとする考え、がある。
これらの論拠は相互に排除しあう関係ではないが、排除法則を予防法則と位置づける今日においては②の抑止効の有無をその根拠の中心に据えた上で①と③をも加味すべきである。
次に証拠物の性質について考えてみるに証拠物は押収手続きが違法であっても、物それ自体の性質・形状に変異をきたすことはなく、その存在・形状等に関する価値に変わりのない。よって、その押収手続きに違法があるとして直ちにその証拠能力を否定することは、刑事訴訟法の目的の一つである事案の真相究明(1条)を阻害し妥当でない。
しかし、他面において、事案の真相究明も個人の基本的人権の保障を全うしつつ、適正な手続きのもとでされなければならない(1条)。
そこで証拠物の押収等の手続きに、憲法35条及びこれを受けた刑訴法218条1項等の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては、その証拠能力は否定されると解すべきである。
このように違法の重大性と排除相当性がある場合に証拠物の証拠能力を否定すべきだと考えるが、上記要件は不明確である。そこで手続き違反の程度、違反がなされた状況、違反の有意性、頻発性の度合い、証拠採取との因果関係の程度、証拠の重要性、事件の重大性等の諸要素を総合して排除の可否を判定すべきだと考える。
田宮p397~405