落 穂 庵

“OTIHOAN”
日々の出来事や思うこと、大好きな藤木直人さんのことを綴っています

「冬の絵空」大阪公演をふり返って

2008-12-18 15:01:19 | 藤木直人さん



この看板、JR大阪駅に着くと、真っ先にお迎えしてくれていました。もう、今頃は変わっているんでしょうね。

サンケイホールブリーゼ、大阪駅から近いホールでよかった~。ずっと地下を通って行けるしネ。

「冬の絵空」、本当にいいお芝居です。
この作品に直人さんが出演してくれて、本当によかったです。
そうじゃなきゃ、多分、観てないし~
しかも、何回もなんて、絶対に観てないし~



舞台を観せる、芝居を観せるって、本当に難しいことだろうなぁと思いました。
テレビとは違って、何気に見ているわけではなく、お金を払ってチケットを買い求め、交通費を使ってわざわざ足を運んで来てくれる観客に対して、何かを感じてもらわなきゃいけない、観てよかった、もう一度観てみたい・・・と、思われるようなものを観せたいと、観せる側の人は思っているに違いないですよね。
台詞や殺陣や所作ももちろん大切だけど、観ている者が目の前で演じられているお芝居に入り込めなければ、得られる感動も少なくなると思います。

それに、役者さんたちは「演じる」だけじゃないんですよね。
裏へ回ると急いでメイク、着替え、そしてセットの転換などなど。
本当に忙しいんだろうなと思いました。

また、舞台のお芝居というのは、テレビドラマとは違って“ここが重要”というときでもバーンと大映しになるなんてことはなく、「台詞」や「照明や音の変化」という手段以外には、演者さんの動作、表情にかかっているわけですよね。
そこをどうやって見せるか、台詞ではない部分をどう表現するかということが、難しくもあり、重要なことなんだと思いました。
特に、宗十郎役の直人さんは、初舞台なうえに表情だけで気持ちを見せるシーンが多かったので、苦労されたのでは・・・と思いました。


次に、今度は観る側のこと。
FC会報に載せてくれた「観劇注意メモ」がかえって徒になったかなと思わずにいられないような静か~な雰囲気。
直人ファンは真面目なので、観ているときは拍手しちゃいけないんだ~と思ってしまったのかのようで、それに「藤木直人ファンは舞台鑑賞のマナーが悪いと、一般の舞台ファンに思われないようにしましょう」的なこともあったりしたのか・・・・

おかしなところはもちろん笑ってたけど、ここは拍手するべきでしょう~というところでも静か~。
ちょっとネタバレになりますが・・・赤穂浪士たちが登場するところ。あそこは、盛大な拍手でもって迎えていいところだと思います。
明らかに観客に対してやのに、拍手しない方が失礼なような。。。

あと、宗十郎扮する内蔵助が見得を切るシーンも。観てたら、思わず拍手したくなるのに、グッと我慢する・・・・なんてことはしなくてもいいんじゃないかと思います。
「注意書き」には、“タイミングを間違うべからず・・・でも、終わった後の拍手ぐらいは・・・”なんて書いてるから、途中では拍手したらあかんのかと思ってしまうよね。でも、ここの“タイミング”は、拍手OKでしょう~って、私は思うんですよね。

マナーが悪いっていうのは、他の人に迷惑をかけるような行為をするとか、お芝居に支障をきたすようなことをするとか・・・であって、注意書きの「其の五」に書いているように、“肩の力を抜いて楽しむべし”なのです。

だから、一般のお客さんが多いとき、↑でしっかり拍手が起こったんですよね。
それが、自然な楽しみ方なんだと思います。

「そんなんやったら、率先して拍手すればよかったやん」と言われたら、返す言葉もないのですが、シーンとした中で一人拍手をするのは、相当勇気がいるのです。

多分、私以外にもそういうことを感じてた人がいっぱいいると思うんですよね。
だから、ファン率の高い最終公演でも拍手が起こったんだと思います。
私も勇気出したし~(笑)

なので、今後の公演、演者さんを盛り上げつつ、ご自分も楽しんで観てほしいなぁ~って思って、書きました




以下、ストーリーがわかるネタバレありの感想になるので、まだmy初日を迎えてない方はご遠慮くださいませ。
あと、別に人の感想なんていいよ~っていう方も。
長いし、勝手に思ったこと書いてるだけなんで(笑)






初日公演を観たとき、正直言ってわかりにくい部分がありました。
それは、それぞれの人の気持ち。

好きな人でありながら、目の前にいる人がその人だとわからなかったり、尊敬して仕えてきた人が本物か偽物かわからない。
根本的に、そのへんが理解できなくて、私自身が、見えるものも見えてなかったんだと思います。

そして、何よりも、この眼はやっぱり宗十郎さんを追ってしまう。
一人を追っていれば、他の人の微妙な表情を見逃してしまうわけです。
その上、初日ということで観るこちらも緊張しているのに5列目というお席だったし。
(2回目を観た後に書いたあのポーズのことは、お席の位置的に、前列の人の頭と座敷面がかぶっていたために私が勘違いしたようです。すみません。)


その、わかりにくかった人の気持ちも、2度目にはわかってきたつもりになりました。
けど、本当の深いところは、まだまだわかっていなかったようにも思います。


最初の宗十郎とおかるのシーン。
どうも、ここの宗十郎の最初の台詞の“間”がなかなかしっくりこなかったんだけど・・・、役を演じてないときの本来の宗十郎さんは無口な人ということなのかな。自分のことはあまり話さない、聞き役なのかな。幼いころから役者をやっているせいで、素の自分を見せることに抵抗があるのか、自然にそれができないようになってしまったのかも。それに、おかるを見ているだけで幸せだった。。。

おかるは、素の宗十郎を好きなのかどうか、よくわかりませんでした。
だけど、途中の公演から、宗十郎が「帰ります」と言ったときのおかるが、すごく寂しい顔をするようになりました。それで、おかるはもっと本当の宗十郎を知りたいと思っているのかな・・・と思うようになりました。

だけど、宗十郎が素の自分、本当の自分を出さないからか、おかるは外面の宗十郎に恋をしているだけのよう。
かっこいい歌舞伎の役を演じる宗十郎に恋をして、かっこいい内蔵助マンに恋をして・・・・・
宗十郎は“この、ここの気持ち”をわかってほしいのに・・・だけど、自分自身でさえ、自分とは一体どういう人間なのかもわからなくなってしまう。
その結果、おかるの幸せを願い、歌舞伎役者として大石内蔵助を演じきることを決意したのでしょう。

おかるは、「化粧や衣装をとってもそこには本当のあなたがいる」と言いながら、実は本当の宗十郎には目を向けていなかったのではないかと思います。
そして、最後にその自分の愚かさに気づいた結果、自ら「目の見えない尼」になったのでしょうか。


何回も観ていると、演技や台詞のちょっとした違いに気づき、「良くなった」と感じることがあります。
「気づき」というのは、最初からそのようにされてたのに、私が気づかなかっただけかもしれない・・・ということも含めてですが。


↑に書いたおかるの表情もそうだけど、通りすがり(笑)の内蔵助マンがチンピラ達を追い払った後、おかるの存在に気づくとき、顔を見られてはいけない宗十郎のアクションが、途中から大きく、はっきりしてきたように思います。台詞の止め方もはっきりしたし。

堀部安兵衛の妻の順が「最後まで書いてから」というシーン、夫がとろうとする刀を持つ手に力を入れるというアクションも途中から大きくなったように思いました。
これによって、「本当は行ってほしくない」という順の気持ちがわかりやすくなります。

どちらも、テレビではちょっと大げさに思われがちだけど、舞台では必要なことなんだなと思いました。


堀部安兵衛が殿様を切り殺し、偽の内蔵助を大石様だと言い張り、討ち入りに向かうシーン、途中から本物の大石様に一礼して去っていくようになったと思います。
これによって、「本物は誰かはわかっている、でもそんなことはもうどうでもいい、とにかく自分は命を賭けて討ち入りを果たさなくてはならない」という、安兵衛の覚悟の気持ちがわかりやすくなりました。

それと、順の登場のシーン。舞台中ほどに来たあたりでおかるが声をかけていたのが、最後の方では、順がまだ右の方にいるときに声をかけました。それによって、右側席の観客も順の顔が見やすくなりますね。


最後の最後まで、「よりよいもの」を観せようとしてくださっているんだなあと思って、感激しました。


そして、大石内蔵助の苦悩。誰よりも自分に正直に生きている内蔵助が、最後にはおいてけぼりになってしまうんですね。浅野のお殿様は死んでなんかないのに自分の命を投げ出さなくてはならない。
あの時代、「死にたくない」と思う武士は行き場がなかったのでしょうか。


あの時代と言えば、「生類憐みの令」。
この物語は、ここから始まっているのかも。
本当に大切なこととそうでないことの判断ができない、要するに「本末転倒」ということなのかも・・・と思ったりもします。
あるいは、大切なことはちゃんとわかっていても、違う方向に進まなくてはならない、そんな時代だったのかも。

最後まで、というか、いまだにわかりにくいのが天野屋利兵衛。
どうしてああいうことをしようと思ったのか。浅野の殿様は死んでないわけだし。でも、「仇討」を望むお殿様への忠義・・・と見せかけての策略?
そして、策略どおりにいかなくなってきたあたりから、もうイッちゃってたんかしら。


これらの場面と対照的に、笑いの部分があったのがよかったです。
休憩後の吉良邸でのシーン。
すっごく面白いんやけど、実は深いことを言っているような気もするし。


この方のこういうところ、この場面がよかった・・・と書き出せばほかにもあるんだけど、きりがないし、まあこのぐらいで(笑)


そして、最後に、初舞台初主演の直人さん。
たくさんの怪優さんに混じって、プレッシャーも大きかったと思います。
だけど、声をつぶすこともなく、本当に見事に宗十郎を演じきっていました。

私が観た公演では、声を裏返すところで一回もミスったことないんですよね。
あれ、けっこう難しいんじゃないかと思うんやけど。

回を重ねるごとに少しずつ余裕もできてきたのかな。
14日あたりからは、お財布を押さえるときに「うっ」とか声を発して、生瀬さんにひろってもらっていたし、最後の公演では、盗み聞きするために障子の向こうに戻るところで、一度こっちを振り向く・・・というアドリブもしてたし(笑)


まだまだ公演は続きます。
私は、東京の最後の方の公演を観に行きます。
また何かが変わっているんでしょうね~。
宗十郎さんはもう完璧~って思ってるんだけど(笑)

まあ、一言だけ言わせてもらえるなら、最初の台詞のとこの“間”というか“空気”が、やっぱりどうも。。。演出変えてもらわれへんかしら


キャスト&スタッフの皆さん、これからの公演もどうぞお身体に気をつけて、がんばってください。
「冬の絵空」に再会する日を楽しみにしています。


え~、長々と勝手な想いを綴った感想を最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございます

さあ、気持ちを切り替えて、お仕事&年末年始の忙しい主婦業をがんばらなくては

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