人と生き物の時間

動物園の飼育員が体験する日々の出来事や動物の話題など。人や生き物の生活を様々な角度から綴ります。

2005年12月26日

2005-12-27 02:45:03 | Zooノート
 今年は12月からたっぷり雪が降り、園内にはすでに50~60センチほど積もっている。広い園内は除雪が大変だが、現在冬季休園中のため車道と獣舎に行くまでの道だけ確保すればなんとかなる。あと骨組みの弱い建物の屋根雪降ろし、これが結構大変でもある。鉄筋の建物ばかりではなく、手作りの収容舎も多いからだ。
 今朝は新雪が積もり、ちょうど動物を放飼場に出すときに雪の晴れ間があった。ポニーのナツは外へ出るやいなやひっくりかえって背中を雪にこすりつけ、嬉々として雪浴びをした。雪がないときは砂浴びをしているのだが。いちばん体の大きなヒメはいななきながら放飼場のいちばん奥におかれた朝ごはんの乾草めがけて走り出す。吐息と身体から立ち昇る白い湯気が朝日に輝いて神々しい。一年に何回も出会うことのない朝の風景だ。私は時々このような美しく感動的な一瞬があるからこの仕事をずーっとやっていけると思うことがある。それはたぶん農業をやっているときも同じだ。登山でもそう。美しい光景はそれまでの一切のことから心を解放してくれるのだ。う~ん写真に撮ってお見せできなかったのが残念。
 

はじめまして

2005-12-27 02:03:31 | Zooノート
 私は現在ある地方都市の動物園に飼育員として勤務しています。今年3月に採用されて10ヶ月目に入ります。実はこの2年前までは関西の動物園で15年間飼育員として働いていましたので、トータルで16年ほどこの仕事をしていることになります。現在の身分は正規職員ではなくアルバイトに毛が生えたようなものですが、仕事の中身は正職員とほとんど変わりません。違いは責任が重くないことぐらいかと思いますが、その分雑務〈事務的仕事〉に追われなくて済みます。
 担当動物はウサギ、モルモット(最初からずーっと変わらず)、代番〈担当者が休みの日の当番〉ではプレーリードッグ、カピバラ、リスザル、アヒルなど。最近担当が替わるまでは小鳥、ハムスター、アカアシガメ、コンゴウインコ、クジャク、ワラビーなどもやっていました。要は子供動物園と称される一角に展示されている小動物たちです。
 このブログのZooノートでは私が普段接している動物たちの生活、生態を飼育員の眼から描きたいと思います。また飼育員という人種が普段どんなことを考えているか、飼育員にもいろいろな人がいますのでその仕事ぶりなどもお伝えできれば動物園の裏側が垣間見れておもしろいかと思います。
 動物名、人名(仮名)以外の固有名詞はほとんど使いません。当ブログの記事内容は私個人の責任に帰するもので、私の勤務先である動物園や関係者とは一切関係がありませんので、ご了承をお願いします。

2年前から今までのこと

2005-12-25 01:54:29 | 回想
 約2年前になりますが私は関西のある動物園で働いていました。その年は開園してちょうど100周年を迎えていました。日本の動物園史上、上野動物園が一番古くその次にできたのがここ。市民の力でつくられた日本では初めての自治体動物園でした。
 開園当時からの貴重な記録写真が残されていて、いまも園内のどこかに展示されていると思います。開園当初から今まで所在地を変えずに同じ場所にあるため、園内随所に昔懐かしい雰囲気が漂っています。この風景が好きで変わらずにあって欲しいと願う人は少なからずいると思います。
 敷地面積の割には動物の種類が多くコンパクトで、動物が近くで見られて迫力があります。寝室にいるライオンなどはその息がかかるくらいでいきなり吼えられると仰天しますよ。ゾウ、キリン、トラなど人気動物を含め180種もの動物がいて気軽にぶらっと歩きまわれる市街地の動物園ですので、関西方面にお越しの際はぜひお立ち寄りください。観光地といえばどこかはたぶんおわかりになるでしょう。なぞなぞをするわけではありませんが、固有名詞を使うことを控えさせていただきますのでどうかお許しください。