人と生き物の時間

動物園の飼育員が体験する日々の出来事や動物の話題など。人や生き物の生活を様々な角度から綴ります。

ボート久しぶり

2006-03-10 01:34:02 | Zooノート
 3ヶ月の冬季休園をいただいた動物園で開園直前の動物移動ラッシュが始まっている。今日も何種類かの動物を動かしたが、私の代番のアライグマを半年ぶりにアライグマ舎に移動させた。「ボート久しぶりだね、相変わらずかい。」ボートは愛称。ケージから出されると放飼場を小走りに動きにおいを嗅ぎまくり、時々おしりを擦りつけて臭い付けしている。私の長靴にもされた。お返しにボートの顔や首を撫で回した。ボートはいい子なのだが、実はあることで飼育員をてこずらせている。夕方寝室に入ってくれないのだ。寝室に閉じ込められるのをなぜかとても嫌がっている。部屋の奥の隅のほうに大好きな鶏頭やバナナなどを置きボートが入ってくれるまで扉のそばで待つ。入ったらすばやく扉を閉めれるよう心積もりをしている。だが‥ボートは腰を引いて後足を外へ出し思いっきり腕を伸ばして餌だけ取ろうと踏ん張っている。ボート、それでは餌を食べられないだろう、あきらめて素直に入ってくれ。

大工仕事

2006-03-07 23:30:52 | Zooノート
 晴天の日の休日、我が家での日曜大工は楽しみのひとつだろう。
 写真は民家の軒先ではなく、休園期間中の動物園の雑然とした光景である。
 飼育係の仕事はただ動物のお世話をしているだけ?と一般の方に思われているかもしれない。実は接客をしたり、ある時は子どもやお客さんの先生になったり、事務的仕事はもちろん、業者とのやりとり、大工仕事や左官屋さん、植栽の手入れ、園内の清掃などあらゆる仕事がある。まさしくZoo Keeperである。Zoo(動物園)を一軒の家例えるなら主婦(夫)か家政婦的な仕事ともいえる。飼育係は子どもやある人にとってあこがれの職業だろうが、ただ動物好きなだけではたいへんつらい仕事になるかもしれない。
 脅しのようなことを書いてしまったが、今私はちょっとつらい。山積みになった飼育小屋を手直しして、開園まであと一週間足らずの間にこれらのケージに動物たちを収容しておかなければいけないのだ。ぽかぽか陽気のなかトンカン、ギシギシ響く音は動物たちにどう聞こえているのだろうか。