デレッキというものがあります。
いわゆる火かき棒のことです。
この語源はなんでしょうか。
この言葉に直結する単語はありませんが、
語源の考え方、調べ方を知らない人は、
デレッキ・火かき棒で連想できる、
似た発音の単語を持ってきて、それを語源だ、と騙ります。
……が。そんなものは駄洒落であって語源ではありません。
言葉というものは、一対一対応して変化する、
というようなものではないからです。
ところで、裁縫をやったことがある人にはおなじみの
チャコという道具があります。
チャコペーパーやチャコペンなどで有名ですが、
この語源がなんだかわかるでしょうか。
こたえは、chalk。
チョークとも呼ばれる、黒板に文字をかいたりするのに
使われる、アレです。
日本国内でも、
chalkのことを、チャコとチョークと、
二つの発音で表現するのです。
これが何かを簡単に表現すると、
『発音に揺らぎがある』
となります。
これを踏まえて、デレッキです。
デレッキには、レレッキという発音もあるそうです。
これがなにを意味するかわかりますか?
直上でも述べているように
『発音に揺らぎがある』
のです。
デレッキは――
・現代語や古語に、デレッキ に相当する単語はない
・レレッキという発音もあったようだ
という事実から、
・発音に揺らぎがある
・元の単語に直結するものではない
との考えが導けます。
つまり、
chalk
┗チャコ (ゆらぎ強)
┗チョーク(ゆらぎ弱)
を参考にした場合、
????
┗デレッキ・レレッキ (ゆらぎ強)
┗??????? (ゆらぎ弱)
というような単語が、存在しうるというわけです。
さて、問題です。
デレッキ・レレッキの上流にある言葉はなんでしょうか。
----
方言研究をやったことがある人間なら、
答えられるような問題です。
逆に、方言研究をしたことがない人なら、
おそらく的外れな答えしか出せないことでしょう。
ヒントは、
デレッキとレレッキ。
d音がr(l)音になっていることに注目せねばなりません。
この変化は、『ダナラ変換』。
揺らぎの世界において、d音はn音と同じでl音と同じ、という
大原則、大法則があります。
だから、デレッキもレレッキも何の問題もなく存在し、
論理上ではネレッキなどの発音も存在してよいものです。
こたえは――
前日のものを参照してください。
見なくてもわかるようなものです。