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福島の小児甲状腺がん「事故無関係」、危うい即断 医師の菅谷・松本市長が警鐘

2013年02月20日 | 2011年~2016年新聞などの記事


福島原発事故に伴う福島県の調査で、1人に小児甲状腺がんが見つかった問題。同県立医大は事故の影響を否定したが、1986年のチェルノブイリ原発事故後、現地で甲状腺がんの治療に当たった医師の菅谷(すげのや)昭・長野県松本市長は「即断は禁物」とし、丁寧な対応を訴える。 (中山洋子)

「このデータをまさか日本で必要とする日が来るとは思わなかった」

そう語りつつ、菅谷市長はベラルーシ国立甲状腺がんセンターから入手した小児がん患者数(15歳未満)の推移のデータを示した。



チェルノブイリ(ウクライナ)は国境近くにあり、ベラルーシは深刻な汚染にさらされた。同センターは急増した小児甲状腺がんの治療などのため、90年に設立された。菅谷市長は甲状腺がん専門医として96年から5年半、同センターの活動に携わった。

菅谷市長が注目するのは、ベラルーシの場合、86年には2例だった小児甲状腺がんが、翌年には新たに4例、88年に5例、89年には7例と増加している点だ。

今回の福島県での結果(検査対象は18歳以下)について、検査を担当する県立医大の鈴木真一教授は「チェルノブイリ事故でも、甲状腺がんが見つかったのは最短4年」と説明したが、同市長は「事故後、早い時期に甲状腺がんが発生する可能性は否定できない。現段階では『分からない』としか言えないはずだ」と即断をいさめる。

菅谷市長が入手した同センターの資料によると、86〜97年の小児甲状腺がんの患者570人のうち、半数以上の385人にリンパ節転移が見られ、16.5%に当たる94人が肺に転移していた。

甲状腺がんは進行も遅く、早期に治療すれば完治するとされている。ただ、菅谷市長は「ベラルーシでは、転移していたケースが非常に多い。将来にわたって、注意深く経過を追わなければならない」と指摘する。

診察よりも調査を優先している検査体制にも疑問を投げかける。

「しこりがあると言われたら、親は心配するに決まっている。でも、同じしこりでも水のたまったのう胞はがんにはならない。心配なのは肉のかたまりである結節。一人一人への丁寧な説明を怠ってはならない」

県側は一定の大きさのしこりが見つかり、2次検査した子どもたちについては「個別の経過観察をする」とし、他の子どもたちは2年に1回検査するとしている。

だが、菅谷市長は「心配な保護者には、むしろ他の機関でも調べることを勧めるべきだ。データをまとめるには、県立医大に送るよう指導すればよい。保護者の不安解消が大切だ」と語る。

ちなみにベラルーシの子どもらの甲状腺がん検査は半年に1回。同市長は「子どもが甲状腺がんになった場合、何年も治療や検診を続けねばならない家族の苦しみは深い。現地の往診で、そんな姿を見てきた。チェルノブイリの先例に真摯(しんし)に学ぶべきだ」と話した。

2012年9月27日 北陸中日新聞

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