大会テーマは、「ここから『つたえ つなぎ はじめる』」。震災から2年半、被災地は様々な課題を抱え、原発事故は汚染水問題に表れているように収束していない。これからの支援や今後何が必要か、また国民全体の暮らしぶりが厳しくなる中、これからの運動の方向性を考えるという視点も強調され、内容の濃い大会となりました。大阪からは100名以上が参加しました。
以下、大会で採択されたアピールを紹介します。尚、大阪支部で集約した大会協賛金は942口となり、全国の支部においては一番大きい口数となりました。ご協力いただいたみなさんに、お礼申し上げます。
きょうされん第36回全国大会in東北･ふくしま アピール
わたしたちは9月21日～22日の２日間、福島県郡山市にて「ここから『つたえ つなぎ はじめる』」をテーマとするきょうされん第36回全国大会を開催し、「3.11を忘れない」という思いを確かめ合いました。東日本大震災と津波、そして原発事故から２年半余を経た今なお、地域のつながりを取り戻し新たな暮らしを築こうと奮闘を続ける被災地を励ますために全国から全国から駆け付けた参加者は、1,200人の障害のある人を含む2,400人に及びます。さらに大会を支えていただいた要員･ボランティアは900人でした。また、物心両面で支援を惜しまなかった福島県･郡山市をはじめ県内の自治体、企業、団体、個人のみなさんに、心から感謝を申し上げます。この大会は、開催地である福島支部に加え東北地方のすべての支部が準備に携わったという点で、きょうされん36年の歴史にあって新たな試みとなりました。
東北６県の障害のある仲間たちによる構成詩「3.11あの時 わたしたちは」で幕を開けた大会は、大和田新実行委員長とふくしまの若者による「鎮魂から復興へ」へと続きました。高校生による鎮魂の思いを込めたじゃんがら念仏踊りや復興を期したフラダンス、そして津波にのまれながらも旋律を届け続ける奇跡のピアノは、わたしたちに「あきらめない」ことの大切さを教えてくれました。２日目午前の分科会では、テーマを、“働く”“住まう”“支えあう”の３つに絞り、この間、障害のある人たちは何を感じたのか、被災地の作業所などの事業所は、どのようにして障害のある仲間たちと家族の命と生活を支えてきたのか、これらのことについて学びあいました。２日目午後の一般公開シンャWウム「支えあう・地域・人権、そして未来」では、原発事故の深刻な実態と生きるために奮闘する障害のある人や関係者のとりくみから、今後わたしたちに何ができるのかを深め合いました。
福島をはじめとする被災地の復興がめざすもの、それは平時から障害のある人が安心して安全に暮らすことができる地域をつくることです。ひるがえって現実をみるとき、このような被災地が問いかけている方向に向かっているでしょうか。残念ながら、事態は逆方向に向いていると言わざるを得ません。暮らしの最低ラインと深く結び付いている生活保護制度の後退の動きなどはそれを象徴するものです。また、消費税増税による負の影響も懸念されます。市民生活全般への影響は必至で、わけても被災地の障害のある人や高齢者に最も鋭く現れるのではないでしょうか。制御不能に陥っている福島原発の汚染水問題についても深刻です。「状況はコントロールされている」と豪語する政府の姿勢は、あまりに現実とかけ離れているだけではなく、正しい対処方法を見出すことを阻むことに他なりません。
障害分野では、障害者差別解消法の成立をもって国連障害者権利条約批准への機運が高まりつつあります。条約の批准は、それ自体が目的ではなく、あくまでも通過点に過ぎません。批准を、山積する課題へ向けての「新たな運動の入り口」とすることが重要です。「障害のある人もない人も分け隔てのない社会を」、このことを権利条約は、インクルーシブな社会と呼び、大切な考え方としています。被災地での復興にあたっても、そのベースにこうした考え方を位置付けるべきです。このことは、批准後の新たな運動に向き合う全国の仲間たちへのかけがえのないメッセージともなるでしょう。
日本をインクルーシブな社会に変えるために、わたしたちはこれからも被災地とともに歩む決意を表明し、市民の皆様のさらなるご理解とご支援を心から訴えます。
2013年9月22日
きょうされん第36回全国大会in東北・ふくしま 参加者一同
