風はどこ吹く、カヤックが通る

フォールディングカヤック、自転車で行ってきます

続・『オケラ五世優勝す』多田雄幸 著

2010年06月03日 | books
レースに勝つということは二の次だったオケラさん(多田氏のヨットに対する呼び方)。だが、優勝したことで有名になり、こういう形で私も多田氏の存在を知ることができた。

中でも印象的だったのは、デッキで座禅を組み、お経を読んで10万キロに及ぶ航海を成し遂げた多田氏の航海に対する姿勢だ。リタイヤするヨットが続出する厳しい環境下で、何度もヨットが横倒しになったり舵が壊れたりしながらも最後まであきらめなかった多田氏。NHKの特集番組でも取り上げられていたが、「自然に遊ばせてもらう」という謙虚な気持ちを持ち続けたことが、オケラさんを優勝へと導いた大きな要因の一つだろう。

また、多田氏があの植村直己氏と親しい友人だったことも興味深かった。いつかは二人で南極へヨットで渡り、旅することを夢見ておられたが、残念ながら植村氏は冬のマッキンリーで遭難、多田氏も2度目のレースをリタイヤ後、植村氏の後を追うようにこの世を後にしてしまった。。

先日、私は初めて三浦半島をカヤックで漕いだばかりだが、多田氏がレースのスタート地点であるニューポートへ向けて出発したのが油壷湾だった。



多田氏がオケラさんに乗って同じ風景を見ていたのだと思うと感慨深い。

今頃、多田氏は天国で植村氏とヨットに乗り、ご自慢のサクソフォンを吹いていることだろう。




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2 コメント

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Unknown (トミー)
2010-06-05 23:32:08
多田さんの生き方は東京オリンピックマラソンメダリストの円谷選手の生き方に似ているような気がします。
ヨットやマラソンが人生そのもので、心から楽しんで取り組んでいて、でも、楽しむ心よりも結果を求めてしまった時に崩れてしまうんですね。それだけ、純粋で真面目だったんですかね!?

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Unknown (n_nissng)
2010-06-06 22:28:56
多田氏のご友人は「彼は子供の気持ちのまま大きくなった人」という話をされていたね。そういう人だったったからこそ偉業を成し遂げられたんだろうね。
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