朝早く起きた。
グラスをよくよく見ると、漁船らしき船が浮かんでいた。年配の船長ともう1人、船員らしき人影が見える。グラスに小さい船が浮かんでいるんだ。「船長!今日もいい天気ですね。」
なんと、話声が飛び込んで来た。
「船長! ところで俺たちどこに向かっているんですか?」若い船員が聞いた。
「そんなことは知らねえよ。いいから、甲板水でながしといてくれ。」
眠そうな顔して船長はそう言うと、帽子を深く被り甲板の椅子に深く座ったままねてしまった。
「へーい!了解です。」
日差しは強かった。船員は10代だろうか、そういうとバケツに汲んだ水を数回流しデッキブラシで甲板をゴシゴシとやりだした。
まだ、彼らのこと見ていたかったのだが、時間が来てしまった。仕方なくグラスはそのままにして会社に出勤することにした。
仕事中も気になったが、いつの間にか忘れしまい、家に帰ると朝が来た。
窓際のテーブルに置いたグラスは昨日のままだった。目を凝らしてよーく見てみる。
あれ、船がない。やっぱりどうかしてたのかな。そう思い諦めて、シャワーを浴びることにした。
シャワーを浴びると、またグラスのところにきてしまった。目を凝らしてよーく見てみた。
「船長、ところで俺たちどこに向かっているんですか?」声が聞こえてきた。
まじかよ、またあの二人がいるじゃん。しかも昨日と同じ会話じゃないか!
どういうことなんだろう。もう少し、見ていたかったのだが、残念ながら出勤の時間だった。
仕方なくそのままにして、会社へと急いだ。
俺ってどうかしちまったのかなあ。