沈思黙考

  

τになるまで待って/森 博嗣

2006年03月31日 | 小説
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τになるまで待って

森 博嗣
講談社 2005-09-06


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 森林の中に佇立する「伽羅離館」。
超能力者・神居静哉の別荘であるこの洋館を、7名の人物が訪れた。
雷鳴、閉ざされた扉、つながらない電話、晩餐の後に起きる密室殺人。
被害者が殺される直前に聴いていたラジオドラマは、
『τになるまで待って』だった…。

 以下、少々ネタバレがあるんで、未読の方はご注意を。

 Gシリーズの3作目。
買ってから半年近く放置していたのをやっと読んだワケだが、
これぞ“森ミステリィ”と言った所か。
怪しい超能力者、嵐の山荘、密室殺人など魅力的な素材を用意し、
伏線もキチンと張っておきながら、解決編は非常にアッサリと終わり、
しかも犯人の指摘や動機の説明を完全に放棄している。
まあ、コレは一人の人間を殺す為に変に凝ったトリックを用いたり、
犯人以外に理解出来るハズの無い動機をダラダラと説明する、
「本格ミステリ」に対するアンチテーゼなのだろうが、
非常にシンプルなトリックだけを解明するという展開に、
「これで終わり?」と肩透かしを食らった読者は多いのではなかろうか。

 私的にはこの“本格ミステリ”やその読者が持つ“常識”みたいのを、
巧く逆手にとった展開は結構面白いと思ったし、
森博嗣らしさが出てて良いんじゃないかなと。
真賀田四季の存在や赤柳の正体など、
「シリーズ全体」に対する伏線も色々と張られているので、
次作以降が非常に気になるトコですね。

Q.E.D.-証明終了- 23巻/加藤 元浩

2006年03月29日 | 漫画
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Q.E.D-証明終了- 23 (23)

加藤 元浩
講談社 2006-03-17


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 現在、日本で一番面白いミステリ漫画である「Q.E.D.」の最新刊。
資料館を開設当初から見ている人なら御存知だろうが、
私は過去にこの漫画のサイトを作っていた事があり、
今でもこの「Q.E.D.」がミステリ漫画では一番だと思っている。
で、最新刊の23巻は「ライアー」と「アナザー・ワールド」の2篇を収録。

 「ライアー」
クルーザー内で起きた密室殺人の話。
トリックよりロジックに重点を置いた作品であり、
緻密なロジックによって不可解な謎が解明されていく過程は見事だし、
“ライアー”というタイトルの付け方も実に巧い。
漫画でこのレベルのフーダニットを描ける人間はそうは居らず、
加藤元浩の非凡な才能が垣間見える一作。
今まで謎だった燈馬の両親がちょいと出てきたり、
ラストの一コマのセリフとかも中々良い感じ。

 「アナザー・ワールド」
このシリーズの特徴とも言える数学ミステリで、
今回のテーマは“リーマン予想”。
一般人には理解出来ない抽象的な数学界を“アナザー・ワールド”に例え、
その世界で挫折し、自殺したとされる博士の行方を追う話。
簡単に言えば単なる人探しなのだが、
そこに巧く数学的な要素を絡め、実に魅力的なミステリに仕上げている。
テーマがかなり難しく、好みの分かれる話だと思うが、
数学ミステリとしての出来は秀逸なんで、
この手の話に興味のある方には是非読んで欲しい作品ですね。

今日の更新

2006年03月28日 | サイト運営

 1ヶ月ちょい振りにサイトを更新。
「アニメの感想」はどうにも面白く書けないので、
素直に諦めて適当に書き殴ったワケだが、
「ブックデータ」の更新にはちょいと力を入れてみた。
と言っても画像付けたりしてアマゾンへリンクさせただけなのだが、
アレだけでも意外と時間掛かって面倒でした。
「ブックデータ」にも「映像ソフトデータ」にも、
まだまだ更新しなきゃならない箇所が沢山あるんで、
このペースでやってるとマジで何時終わるか判りませんな。

 まあ、何にせよ通常放送が再開される4月10日までには、
最低でも「アニメの感想」を追い着かせたいとは思うが、
有言不実行を繰り返してるだけにどうなる事やら。

いきものがかり

2006年03月23日 | 音楽

 さて、皆さんはいきものがかりというバンドを御存知だろうか?
3月15日に「SAKURA」でメジャーデビューしたばかりなんで、
知らない人が殆どだとは思うが、東日本に住んでる方には、
「DENPO115」のCM曲を歌ってるバンドと言えばピンと来るかもしれない。

 で、実はこのバンドとはちょいと縁があって、
インディーズの頃からライブを観に行ったりしてたんで、
メジャーデビューは何か我が事の様に嬉しいんですよね。
数多くのライブで鍛えられたその実力は確かなモノなんで、
このまま順調に売れて行って欲しいトコです。
まあ、何にせよ少しでも興味を持たれた方は、
上記の公式サイトで「SAKURA」の試聴やPVが観れるんで、
是非行ってみて下さい。

アンフェア(最終回) ※ネタバレ有り

2006年03月22日 | TV

 録画しといた「アンフェア」を観る。
黒幕は雪平の部下である安藤。
描写不足の感があるので論理的な推理が出来た人は少ないと思うが、
主人公の部下の刑事が犯人ってのは、
ポートピアのヤスのパターンとして有名過ぎるので、
安藤が犯人ってのを何となく考えてた人はかなり多いだろう。
そういう意味で真相にはあまり意外性が無いし、
色々と引っ掛かる点が多いのも事実。
部下から真犯人へと変貌する際の瑛太の演技にも疑問があり、
最終回自体の出来は正直に言ってイマイチだったが、
まあ、全体的にはそれなりによく出来たドラマだったかなと。
後は続編なりスペシャルなりで、
雪平の父親の事件をやってくれりゃあ良いんですけど。

 相棒もアンフェアも終わったんで、
4月からの楽しみは「柳生十兵衛七番勝負 島原の乱」しかないすね。
前作は結構面白かったんで、この続編にも期待です。