沈思黙考

  

DEATH NOTE 12巻/大場 つぐみ、小畑 健

2006年07月06日 | 漫画
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DEATH NOTE 12 (12)

大場 つぐみ 小畑 健
集英社 2006-07-04

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 ジャンプではとっくに連載が終了しているが、
コミック派の私には購入日の今日が最終回でした。
初めてデスノートを読んだ時はその内容に驚き、
「いけない!ルナ先生」以来の衝撃を受けたモノです。
あれから約2年。ついに完結を迎えました。

 結果から言えばライトの敗北、ライトの死で幕を閉じたワケですが、
この結末には違和感を覚えた人が多々居るのではないでしょうか。
ライトのやっていた事の正悪は別として、
おそらく読者の多くがライトの目線で、
あるいはライトというキャラを好意的に捉えてこの物語を読んでいたと思うし、
特に第二部ではニアとメロがあまり魅力的に描かれておらず、
その傾向は強まっていたと思われる。
そこへ来てあのライトの無様とも言える言動である。
ある者は嘆き、ある者は失望し、ある者は松田に殺意を覚えた事でしょう。

 しかし、少年漫画という性質上、最終的に「キラが正しい」という結論は出せるワケもなく、
ライトを応援しながらも頭の何処かではライトの敗北で終わる事は解っていたハズである。
ただ、それにしてもライトの散り方は見苦しかった。
まあ、明確な解答の無いテーマを扱った作品だけに、
キラ派、ニア派の双方がスッキリする様な結末を用意するのは不可能だし、
第二部がライトの崩壊を描く為に存在していたと考えれば、
第一部で創られた偶像を徹底的に砕いたあのラストは見事だったとも言える。
「死神」の道具を使い「神」を名乗ろうとも、所詮はただの「人間」だったってな事だ。

 まあ、何だかんだ言ってもその結末にはやはり賛否両論あると思うが、
人気作がジャンプお得意の延命措置でボロボロになって終わる事が多い中、
一人の天才の人生を見事に描き切ったこの作品は間違いなく傑作だったと言える。
私的には確かに読んでて色々と引っ掛かる点も多い漫画ではあったが、
そのストーリーと圧倒的な画力には驚かされたし、同時に楽しませても貰った。
この時代に生まれこの作品に出会えた事を今は感謝したい。

Q.E.D.-証明終了- 23巻/加藤 元浩

2006年03月29日 | 漫画
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Q.E.D-証明終了- 23 (23)

加藤 元浩
講談社 2006-03-17


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 現在、日本で一番面白いミステリ漫画である「Q.E.D.」の最新刊。
資料館を開設当初から見ている人なら御存知だろうが、
私は過去にこの漫画のサイトを作っていた事があり、
今でもこの「Q.E.D.」がミステリ漫画では一番だと思っている。
で、最新刊の23巻は「ライアー」と「アナザー・ワールド」の2篇を収録。

 「ライアー」
クルーザー内で起きた密室殺人の話。
トリックよりロジックに重点を置いた作品であり、
緻密なロジックによって不可解な謎が解明されていく過程は見事だし、
“ライアー”というタイトルの付け方も実に巧い。
漫画でこのレベルのフーダニットを描ける人間はそうは居らず、
加藤元浩の非凡な才能が垣間見える一作。
今まで謎だった燈馬の両親がちょいと出てきたり、
ラストの一コマのセリフとかも中々良い感じ。

 「アナザー・ワールド」
このシリーズの特徴とも言える数学ミステリで、
今回のテーマは“リーマン予想”。
一般人には理解出来ない抽象的な数学界を“アナザー・ワールド”に例え、
その世界で挫折し、自殺したとされる博士の行方を追う話。
簡単に言えば単なる人探しなのだが、
そこに巧く数学的な要素を絡め、実に魅力的なミステリに仕上げている。
テーマがかなり難しく、好みの分かれる話だと思うが、
数学ミステリとしての出来は秀逸なんで、
この手の話に興味のある方には是非読んで欲しい作品ですね。