あるがまま日録

表題のとおり、日々思ったこと考えたこと、興のむくまま書き散らしています

民主主義の根幹を壊している小選挙区制

2015-08-21 16:46:30 | 民主主義の危機

15.08.21

京都大学名誉教授の池田浩士さんの講演録『ヴァイマル憲法がなぜナチズム支配を生んだのか?』第1部(2013,1,16土)http://d.hatena.ne.jp/haigujin/20140225/1393334382 から一部抜粋させて貰います。

2013年7月21日に行なわれた、ついこの前の国政選挙参議院議員選挙ですけども、、自民党と公明党だけの得票率を見てみます。まず、投票率が52.61%ですね。こんな投票率で有効な選挙と言えるのかと思いますが、これはちょっと置いておいて、自民党と公明党を見てみますと、比例区では自民党は得票率34.68%でした。つまり投票総数のうちのですね。

そして、獲得した議席は比例区に割り当てられている48議席のうちの18、つまり48分の18を獲得しました。公明党は比例区で14.22%の票を獲得して、議席数は48のうちの7議席を獲得しました。

一方、小選挙区では自民党は小選挙区のために投じられた票のうちの42.74%を獲得して、議席はこの小選挙区に割り当てられた73議席のうちの47議席を獲得しました。公明党は小選挙区の票を5.13%獲得して、73議席のうちの11議席を獲得しました。

ちょっとこまかいことを言いますが、自民党が比例区で34.68%の得票率でを獲得した48分の18議席というのは、その議席中の何%かというと37.5%です。公明党が獲得した7議席は、48議席のうちで14.6%です。したがって、得票率と獲得議席数はほぼ見合っています、比例区では。自民党はちょっと得してるんですが、これは大きいほうが得するので、自民党は34.68%の票を獲得して37.5%の議席を得た。公明党は14.22%の得票を得て14.6%の議席、これはほとんどぴったりですよね。比例区ではこうでした。

では小選挙区ではどうか。自民党の小選挙区での得票率は42.74%ですが、73議席中47議席を獲得したということは、議席の64.4%を獲得したのです。なんと得票率の1.5倍ですね。公明党に至っては5.13%の票を獲得していながら議席では15.1%、つまり3倍ですよ、得票率の。こういう選挙制度の中で、私がいくら一生懸命投票しても私の票はすべて死に票になるわけです。

まさに、こういう制度をつくってきたのは自民長期政権ですね。そして、その使い走りをすることによって権力と利権のおこぼれにあずかっている公明党です。こういうふうな選挙制度がある限り、私の意思は反映されない、全く。したがって、私にはこの国の政治がこんなふうになっている、このことに全く責任はありません・・・・。

民主主義は法・制度によって維持されている。民意を反映する制度は選挙制度。この制度が民意を反映できないのでは民主主義が維持されない。


主権者としてのあり方を否定している

2015-08-21 15:44:07 | 民主主義の危機

15.08.21(金)

京都大学名誉教授の池田浩士さんの話を聞こう

世論調査で内閣を支持すると答えた人が、「首相の人柄が信頼できそうだから」という理由を挙げる人が少なくない。

人間同士の信頼というものは、相手とじっくり付き合い、共有するテーマや問題について対話と議論を重ねる中で,初めて生れる。共感は勿論信頼の大切な要素だが、それだけではない。

信頼とは、そういうものではあるまいか。テレビ以外では顔を見たことの無い首相の人柄が信頼できるなどと、私たちは言えるはずもないのだ。

間接的にしか出会うことが出来ない国民の信頼を得るために、、まともな政治家であれば、自分の結論を一方的に押しつけるのではなく、民意に敬意を払い,間接的にでも国民との対話と議論を深めようと努力をするのである。

戦後70年にあたる今年、不幸なことに日本の首相との類似性が問題とされることになったドイツのヒトラーは,国民との対話をする必要が無かった。

最も民主的な憲法とされる「ヴァイマル憲法」を無効にする「全権委任法」という法律を強行採決して,やがては日本の天皇と同じ「統帥権」(軍隊を動かす権限)まで手中にし、国家のあらゆる権力を独占したので、国の方針や国民の進路について一方的に指示し命令するだけでよかった。

ヒトラーに冠せられる「総統」(フューラー)という称号は,ドイツ語で「指導者」という意味であり、彼は国家と国民の唯一の指導者に他ならなかった。
この独裁者が,国と国民を何処に連れて行ったかは、歴史が示している。

だが、歴史に対する責任は,独裁者だけが負うのではない。
主権者である国民と対話し討論をする努力を重ねようとしない為政者を、そのまま放置する私たちの側の責任も、後世によって問われるに違いない。

自分の方針や政策の正しさを一方的に述べているだけで,別の意見に耳を傾けようともしない現代版のヒトラーが、,私たちを連れて行く行き先は戦争だけではない。

主権者という最も基本的な私たちのあり方そのものが、彼によって否定されようとしているのだ。

 

 


法の信頼性が損なわれたら・・・

2015-08-21 13:59:52 | 解釈改憲ー憲法

15.08.21(金)

この問題も、立教大学の平川克美教授の道新の『路地裏の資本主義13』のお話で、少し整理しておく。

この度の解釈改憲によって確実に損なわれることがもう一つある

それは、<法>に対する信用、あるいは信頼性というものが、この無理筋の法案によって根底的に損なわれる。

憲法は日本国民を主権者とする<法>であり、そうである限りにおいて,政治家によってその抜け道を探すような行為そのものは、あらかじめ排除されている。
天皇陛下も、国会議員も、裁判官も、憲法を尊重し擁護することを定めた99条がある。

そうなのに、過去に「みっともない憲法ですよ、はっきり言って」と語った安倍首相は、憲法に対する侮蔑を隠そうとはしない。

<法>が<法>としてその効力を有するための最も重要な条件とは、
<法>に対する信頼であり、,<法の精神>に対する敬意である。

その意味では<法>は通貨に似ている。
貨幣が貨幣として流通するのは、それが流通しているという事実でしかない。信用が揺らげば、貨幣はたちまち紙くずに変じる。貨幣価値の継続性に対する信用や、商取引が公正に行なわれるという市場に対する信用が経済秩序を保っている。

同じように、私たちの社会の秩序を担保しているのは、まさに<法>が公正さの基準であるという<法>に対する信用である。法に対する信頼が揺らげば、それはたちまち空文となり、<法>の効力を失う。

秩序を担保する信用が毀損されたらどうなるか。

信じられるのは自分だけであり、自分の生命も財産も自分で守らなければならないと思うようになるであろう。確かにそれは、無秩序な社会や戦場においてはリアルな現実であるかもしれないが、人間性が剥奪された現実である。

 

法の信頼性の毀損など、考えたことも無かった。

ユダヤ人が辿ってきた歴史の大部分では、こんな環境に置かれていたのかもしれない。自分を守る戦う力、金の力、権力を絶えず追い求めてきたように思う。自分たちのために、他の人達、他のことにはお構いなくに・・・。人間性が見難かった・・・。

「信じられるのは自分だけであり、自分の生命も財産も自分で守らなければならない」、この意識が強い人々の一つはアメリカ人だ。まだ西部開拓時代の意識が強い。また法を金の力で自分達の都合の良いものに変えて,平然としている。

私たちには自由と夢を実現する憧れの国だった。しかし現実は、正義、良心、思いやり、などという心をはあまり感じられない国になってきている。

 


解釈改憲で集団的自衛権行使を正当化したい二つの理由

2015-08-21 11:09:06 | 解釈改憲ー憲法

2015.08.21(金)札幌は晴れ

天候は爽やかだが、心も体も爽やかにはならない。

8日に杏の実を取ろうとして脚立から落ち、・・・たと思った時は裏庭の畑の上に仰向けに寝ていた。

10日から気楽堂均整治療院に4回通いだいぶ良くなってきたというところで、右腰の痛みを取って貰おうと、シルトピアに行った.ぐいぐいやられ,いく前より痛みが増す、とんだ余計なことをしてしまった。

更に夜中、仰向けで寝た腰の痛みに目が覚め、横向きに寝ないと痛くて寝られなくなり、朝の散歩は小さな歩幅でおそるおそる歩かなくてはならない始末。それでもズキンズキンと来る。ブルブルで少し治まってきた。

安倍の口先だけの言葉の横行に,相変わらず心は冴えない。

立教大学の平川克美教授の道新の『路地裏の資本主義13』のお話で少し整理しておく。

「解釈改憲で集団的自衛権行使を正統としたい二つの理由」

一つは、世界の安全保障環境が変化しており、従来の憲法解釈のままでは安全保障上のリスクに対応できないというもの。

しかし、だから憲法を改正するというなら筋が通るが、解釈を変更するというのでは,法治主義の根幹が揺らぐ。

もう一つの理由は、同盟国(いや宗主国と呼ぶべきか)の米国が、アジア海域における軍事力の肩代わりを要請しており、これまでアメリカの軍事力のお陰で平和を享受してきた日本は、それを断ることが出来ないという事情である。

しかし、それが日本の国益にかなうのかと言われれば、経済的にはもちろんだが、安全保障の観点からも大いに疑問である。

戦後、切れ目なく海外で戦争を続けてきたアメリカと同一行動を取れば、日本がアメリカの敵国から敵視されることは当然であり、テロの脅威も高まる。

解釈で、日本国憲法も自衛権は持つとするのは、字面からすると無理な面があるが、これを維持していきたい。憲法改正に踏み切ると、今の自民党は、国民主権から国家主義に改変する恐れがあるからだ。

「国民は,義務として国家に奉仕する責任がある」としかねない。戦前の天皇主権に戻せないまでも、国家=権力者(官僚であり、大企業などエスタブリッシュメント支配階級)に尽くすのが当然という考えだ。権力者、支配階級などという言葉は隠して使わないであろうが・・・。

国民も権力者に支配されているという認識は多分薄いと思う。民主主義の日本では国民の意思で物事が決まっていると、思っているからね。権力を握っている官僚も政治家は、メディアも国家予算も全て自分たちの宣伝のために使っている。

安倍政権のアベノミクスとか言う、「大企業が良くなれば,国民全体が少しずつ良くなる」という言葉に期待して、国民がちょっと口を開けて待っているが、戦後の高度成長時代に奇跡的に皆豊かになれたが、いまの時代はそのような方法は通用しないのは明らかだが、それに多くの人が乗せられて期待している。

こんな状況では、正しく憲法改正が行なわれるとは思えない。

最近の北朝鮮と韓国の大砲の撃ち合いを見ても、両国とも挑発しあって危機感を煽るためにやっているようなもの。紛争解決の武力に依らない努力は全くなされていない。

自民党は、日本の安全保障のために、中国、北朝鮮、韓国、ロシアと本当に仲良くする努力もまたほとんどなされていない。それを徹底してやり,世界中がその努力を認める状態になって、再度アメリカとの同盟強化を言い出して欲しい。