今から 130年前 文久の時代
別役の宇根の家から5軒目に 「大家」という家があった(現在家の跡あり)
そこに 矢次という猟師がおったそうな
毎年冬になると (旧)徳島県木頭村幸の瀬に 狩りに行くのであるが
ある年どうしたことか 一匹も獲れず その上道に迷い 7日間も山の中から出られず困っていた
そんな時は 狼に頼めば 帰る道がわかる所まで連れ出してくれる。そうしたら家まで連れて来て 小豆飯を炊いて食べさせて帰すのが決まり になっているという
矢次は 困り果てて 大声で
「狼よ、おれを連れ出してくれたら 一生面倒を見てあげるから連れ出してくれ」
と頼むと
どこからともなく 八面王が出てきて 道案内をしてくれ ようやく 山から出ることが出来た
約束した事は守らねばならないので 家に連れて帰った
大家の庭先には 榎の大木があり その根元に大きな空洞があったので
人に害を与える心配も無いように 大きな鎖で繋いで飼っていた
約8年位 毎日 鹿の肉・猪の肉・うさぎ・鶏と与えていたが
さすがの 矢次もよる年には勝てず 餌をとることができなくなっていた