無飛車流のすすめ

将棋のことをつぶやきます。

将棋と格闘技の類似点

2024-05-29 08:18:00 | 日記
 チェスボクシングという競技があります。ウィキから一部抜粋してみましょう。

チェスボクシングの試合は、1試合11ラウンドで構成され、チェス(早指しチェス)6ラウンドとボクシング5ラウンドの試合を交互に行うことによって進められる。それぞれのラウンドの間には、1分間の休憩がとられる。

勝利条件は、先に、チェスでチェックメイトをするか相手の持ち時間を使い切らせるか、ボクシングでノックアウトまたはテクニカルノックアウトを取ることとなる。11ラウンドで勝敗が決まらない場合は、ボクシングの判定で勝敗を決める。」


 チェスに秀でた者、ボクシングに秀でた者、バランスが取れた者…どういうタイプが有利なんでしょうね。やっぱりパンチ一発で試合を変える可能性があるボクシングの重要性の比重が高くなるのかな?

 将棋界で言えば、中川八段が空手をやってたような気がします。


 さて、今回は将棋と格闘技の類似点についてです。祖父は対局中「金持ちケンカせず」ということをよく言っていました。金持ちというのは、持ち駒をたくさん持っている状態のことのようにもとれますが、祖父は持ち駒の多寡にかかわらず、自分が優勢なときにこの言葉を使っていました。優勢なときはできるだけ穏やかに指して、優勢を維持しようということです。


 こういう展開はボクシングでも見受けられます。ポイントで勝っているときは、KO勝ちを無理に狙わなくても判定で勝てるので、激しく打ち合うような展開は避けて、距離をとったりします。これは卑怯ではなく戦術です。

 また別の例を挙げてみましょう。将棋では優勢を意識したとき、相手の反撃をおそれて手が縮こまってしまうことがあります。慎重に指そうとするあまり、いつものようにのびのびと指せないのです。

 「ジョジョの奇妙な冒険」というマンガでは、第二部でジョセフとワムウというキャラクターが戦います。戦いをテーマにした少年マンガでは、はじめ主人公が負けていて、最後に逆転して勝つという展開が定番です。しかしこのワムウ戦では、序盤からジョセフが優勢に進めます。好調のように見えますが、読者はなかなか安心できないことでしょう。何しろ相手は戦闘の天才であるワムウ。きっとどこかで巻き返してくるという予想が立ってしまうからです。優勢なのに気が抜けないというこのあたりの緊張感は、作者・荒木飛呂彦先生の筆の冴えのなせる技でしょう。

 連載時に読んでいたときも「ここから勝ち切るのが大変なんだよなぁ。将棋と似てるなぁ」と感じていました。優勢だからといって、なかなか温泉気分にはなれないのです。将棋とはつくづくメンタルに左右される競技だと感じますね。ソフトではなく、人間が指す意味もそのあたりにあるのではと思うのです。


厨二病の恥ずかしい過去

2024-05-27 12:43:00 | 日記
 もともとは父から教えられた将棋でした。ネット将棋などなかった時代です。父も自分の対局相手が欲しかったのかもしれません。しかし私に勝てないようになると、父は私との対局を避けるようになりました。
 私が、父の代わりに対局するようになったのが祖父です。祖父は段違いに強かったです。祖父は私を鍛えるために、ある指令を出しました。新聞の将棋欄を見て勉強しなさいというのです。
 私は言われた通り、将棋欄を見るようになりました。しかし祖父の思いとは全く違う方向に進んでいってしまいます。私が見ていた新聞の将棋欄は、だいたい一週間くらいかけて、一局が掲載されていました。一局が6〜7つに分割されて、毎日少しずつ解説されていました。2日目くらいまでは、まだ戦いが始まらないので、両対局者の紹介に当てられていました。私にはそれを読むのがとても興味深く、楽しかったのです。肝心の棋譜には見向きもせず、つまり将棋そのものの勉強はせず、どんな棋士がいるのか、どんな棋戦があるのか、ということばかりをどんどん覚えていきました。
 そのうち、見るだけでは物足りなくなり、私はノートにいろんな棋戦のトーナメントやリーグの表を書き込むようになりました。異質だったのは、現実に行われている組み合わせを書いていたのではなかったことです。棋王戦に敗者復活戦があったり、王位戦が紅白のリーグに分かれていたりと、棋戦の名前やシステムはそのままでしたが、誰と誰が対局するかという組み合わせは自分で決めて、ノートに書き込んでいました。実在の棋士の名前を◯◯八段などと記入していたのです。
 そんなことをして何が楽しいのか?と聞かれても、今の私では答えることができません。ただ、当時の私はものすごく楽しかったのです。現実の将棋界とは別の、自分だけのもう一つの将棋界、いわゆるパラレルワールドをトーナメント表やリーグ表を作ることで展開させていったのです。
 組み合わせが決まると、結果を知りたくなるのが人情というもの。しかしどういうこだわりか、どちらが勝つかを私の気持ちで決めてはいけないと感じていました。
 そこで持ち出したのがサイコロ。サイコロ2つを振って、出た目が大きいほうを勝者にしました。棋士が心血を注いで指すその神聖な対局結果を、あろうことかサイコロで決めていたのです。何という冒涜か、謝罪のしようもありませんが、厨二病の恥ずかしい過去として、どうか広い心で見てやっていただきたいと思います。
 私は、サイコロの目でランダムに勝敗が決まってしまうのは味気なく思われ、どうにかしてサイコロの目に強さを反映できないかと頭をしぼりました。そしてサイコロ2つの目に段位の数字を足すことにしました。つまり九段と四段が対局した場合、九段に+5の追加点が与えられることにしたのです。
 ところが現実の将棋界では、四段が高段者を負かすこともよくありました。厳しい奨励会を抜けたばかりの新四段が強いのは当たり前で、言ってみれば大学受験を終えたばかりの若者に年配の人が勉強で太刀打ちできないのに似ているでしょう。
 そこで四段の棋士は、サイコロの目が1か2か3だった場合、もう一度サイコロを振って、全部の目を合計させることにしました。結果、四段は強くなりましたが、これには問題もあって、五段になるとそのルールが適用されなくなるので急に弱くなってしまうのでした。
 このように、なかなかうまい具合にいきませんでしたがその都度調整。タイトル保持者はタイトル一つにつき+2の補正を受けることにしていました。これは仮に五冠王がいた場合、+10という大きな追加点を受けるので誰も勝てなくなってしまい、後に、タイトル一つにつき+1に改めました。
 恥ずかしいといえば極めつけのものがあります。自分の頭の中だけの空想の世界。そこで行われているタイトル戦に、自分で観戦記を書いていたのです。
「⬜︎⬜︎九段は対局開始の30分前に入室し、盤の前でひとり、そっと目を閉じて瞑想した」などと、まるで見てきたかのようにその様子を綴っていました。こうして書いていても恥ずかしいかぎりです。
 厨二病とは中2病とも呼ばれ、中学2年生くらいの思春期の少年が、大人になって思い出すととても恥ずかしいようなことをしてしまうという現象のことを指します。

10万局を越えて

2024-05-25 10:54:00 | 日記
 上の画像は、将棋ウォーズでの対戦成績です。将棋倶楽部24でも2万2千局以上指していますので、合計すると10万局を越えています。
 自分でもピンと来ませんが、控えめに言って頭がおかしいと言えるでしょう。対局数はまだまだ増えていますが、たくさん指しても棋力は上がりません。局後の検討をきっちりやったほうが有益だと思います。

本屋さんの策略

2024-05-24 22:30:00 | 日記
 子供の頃、近所の書店で将棋世界などを買っていました。書店のご主人は、いつも将棋の本を買って行く私の顔をおぼえていたのでしょう。「ぼく、だいぶ強くなったんじゃない?」と話しかけてきました。
 ご主人にしてみれば、ここで仲良くなっておいて固定客をガッチリつかんでおこうとしたのかもしれません。しかし内気な少年だった私は、急に話しかけられて返事もしどろもどろ。そして、次からは別の書店で本を買うことにしたのでした。

ダイナミックな棋戦があった!

2024-05-23 07:51:00 | 日記
 全日本プロ将棋トーナメント、略して「全日プロ」という棋戦がありました。画像を見ていただくとわかる通り、その特徴はトーナメント表が大きいこと。全棋士参加で、予選がないためにこういうことになります。タイトル戦ではなく一般棋戦でしたが、谷川さんが無類に強くて何度も優勝しています。途中から朝日杯と名前を変え、棋戦のシステムも変わってしまいました。

 この全日プロとほぼ同等の大きさのトーナメントを持つ棋戦がありました。2人の優勝者を決める必要があるため、トーナメント表は2つになり、全日プロよりは小さい山になってしまいますが、それでも十分な大きさ。優勝してどうなるかといえば、これが単に予選を突破しただけというから驚きです。たった2人の予選通過者は、前期に残留した4名を加えて6人でリーグ戦を戦います。これが本戦リーグです。自分以外の5名と先後を入れ替えて2回当たるので、10局のリーグ戦を戦うことになります。トッププロと10局戦えて、勝敗はともかく10局分の対局料も保証されるので、いろんな意味で大きな棋戦といえるでしょう。このダイナミックな棋戦の名は十段戦といいます。残念ながら「発展的解消」という名目で竜王戦に改称され、システムも全く変わってしまいましたが、個人的にはこの十段戦が大好きでした。