誰でも自由なこころで 時代小説「かもうな」掲載中

江戸時代の仙臺藩髙橋家に養子に入った治郎の生涯を愛馬のすず風を通して描いた作品です。時代考は本当に大変でした。

かもうな 

2023年02月19日 20時07分08秒 | 日記

仙台東一番丁(大正~昭和の初期)

かもうな(1)

一場の夢

文化12年(1815)春は朧 春告草が咲いている。

仙台藩士、いや隠居の身、高橋治郎左衛門82歳は老いた身を床に伏し。

肩に灸をしていた。近頃は軀の節々が痛い、とくに右首筋から右肩にか

けて痛む。諦めが肝心肝心と心に言い聞かせると少しは楽になるから不

思義なものだ。

 

ふと李白の「静夜思」を思い出す。

床前看月光 しょうぜん月光を看る

   疑是地上露 疑うらくは是れ地上の露かと

  挙頭望山月 こうべを挙げて山月を望み

低頭思故郷 首を低れて故郷を思う

 

我の人生とは如何なるものであったろうかまさに、浮世は夢のごとし一場の春夢だ

無我夢中で暮らした若い時代、老いをしり老いを迎えた昨今、まだ答えはでていない。

眠い

治郎は見た

遠くに馬がいる、「すず風」だろうか、確かに馬だ。

馬が嘶いている。なぜここに「すず風」がいるのだ。

すず風が

治郎は深い眠り入った。



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