こんちはっす。
唐突なんですが、これから全6話のSSを載せていきます。
http://homepage2.nifty.com/onenightstand/
One Night Stand様のアドヴェントチルノという同人誌の世界のお話です。
ちょっとねー、妄想が爆発しましてね~、書いちゃったんですよ。
まあ、あくまで俺個人が書いてみたお話ってことでよろしくお願いします。
あとそう、ドシリアスです。本気でごめんなさい。
「マリそば」はもちろん進んでますよー。
……順調ってまでは、言えないんですけどね^^;;;
だぱだぱ
第1話
チルノはバスタードチルノソードを振るう。
渾身の力を込めた斬撃も、彼女の剣捌きにすべて弾かれていた。
今、チルノが全身全霊を賭けて闘っている相手。
それは、チルノの剣の師匠となる“レティ・ホワイトロック”その人であった。
チルノは彼女と剣を交える経緯を思い出しながら、剣を振るっていた。
「最近は、モンスターの凶暴化といい、地震といい、良いニュースがあんまりないわねー」
文々。新聞に目を通しながら、メイリンはつぶやいた。
「そうねー、もうかれこれ2週間近くか。微震とはいえ、ずっと続くと不安になるわよね」
「ん~~、なんか、変な気分が続く……なんだろ、これ?」
「そして、うちの小っちゃい大将は、地震が起こり始めてからずっとこんな感じだし」
レイセンはため息をついた。
いま、七番街では異変が起こっていた。
小さな地震が2週間前から発生し始めて、その震度が徐々に大きくなっているのだ。
それと同時にモンスターの出没頻度が増し、凶暴化するという事態も起こっていた。
地震は微震ながらも数時間ごとに起こるので、モンスターの件と合わせて天変地異の前触れではないかと騒がれていた。
「そうね、ちょっと気が滅入ってきちゃうけど、さて、次のニュースです。
2週間前に森羅カンパニービル最上階に開業した超高級レストラン「ボーダーオーバー」は、順調な売り上げを上げている。値段は1人あたり「七番街中央通り上海紅茶天国」の一か月分…の売り上げに……相当する……って、なんじゃあああこりゃあああ!!!」
メイリン思わず叫んで、読んでいた新聞を握り締めた。
「へー、あそこのレストランそんなにするんだ。興味はあったけど、行かなくて良かった」
「比べるなんて可愛そうだよ、そのレストランが」
チルノが意味深に店内を見回す。例のごとく、客はチルノとレイセンしかいなかった。
「ううう、こんなことでうちの店名を使うとは……にしても、うちの売り上げなんかいつ調べたのかしら?」
チルノとレイセンは顔を見合わせた。
『さあ?……でも、繁盛してないよね、この店』
チルノとレイセンの頭にゲンコツが落ちた。
「ああ、頭がくらくらする」
チルノは歩きながら頭をなでた。
「余計なこと言うからでしょうが」
隣にいるてゐが苦笑する。
今、チルノ、レイセン、メイリン、てゐは7番街の見回りを行っていた。
地震が発生してから、正義の味方であるチルノ一行は地震で被害にあった住人達の救済に尽力していた。
因幡てゐが、森羅カンパニー経由の依頼として、チルノ達に助力を願ったのだった。
「こう何度も地震が続くと滅入ってくるわね」
「うちの喫茶店も、この前の改修ついでに耐震工事してもらえたから良かったけど、そうじゃなかったら不安だったわね」
「うむ、これぞアタイのおかげよね」
「それは、お店でバトルごっこをした人の台詞じゃないわね」
「しかも自分で修理したわけじゃないくせに」
「あははは」
2人の指摘に、チルノは乾いた笑い声をあげた。
レイセンとチルノが久しぶりに再会したとき、ついついメイリンの喫茶店「中国」でバトルごっこを繰り広げてしまったのだ。
その店の修理は、チルノに貸しをつくったてゐが行った。
そのついでにと、耐震工事もやってもらったので、メイリンとしては安心感があった。
「それにしても、最近、てゐは良く「中国」に来るわよね?
なにか理由でもあるの?」
レイセンが疑問を口にする。
「一応、カンパニーからのお達しだもの。それに従うわよ。
チルノ達と一緒に、街の見回りをしてきなさいって言われてるんだもの。
そりゃ、あなた達のホームベースの喫茶店にも顔を出すようにはなるわよ」
「まあ、そうなんだろうけどね。ちょっと気になっただけよ」
「でも、こうも地震が続くと滅入るよねー。
なんつうか、アタイもここ最近調子出ないし」
「まあまあ。なにはともあれ、見回りを続けましょう。
なんたってうちらは」
『正義の味方だから』
全員がほがらかに笑いあった。
街の見回りが終った後、チルノとてゐだけで森羅カンパニーに赴いていた。
てゐがチルノだけを引っ張ってきたのである。
「なによ~、てゐ~、本当に何の用事よ?」
カンパニー社内を闊歩しながら、チルノは不審のまなざしでてゐを眺めていた。
「いやいや、本当に本当に大事な用事があるのよ、チルノに。
だからお願いよ、来てほしいのよ。お願い!」
「……なんだかなー」
懇願されるにしても、理由がわからないので困惑するチルノであった。
しぶしぶながらも、結局てゐに連れられるままになっていた。
そして、カンパニー奥の一室に通された。
「やあ、チルノ、お久しぶり」
「お久しぶりだね~」
そこには「式神」の藍と橙が在た。
そして、その部屋の中には、何故かエレベーターがあった。
「お久しぶりです」
チルノも少々意表を突かれた。社長直属の「式神」2人の姿と、部屋の真ん中にあるエレベーターに。
「まあ、これでも飲んでくれ。特製ドリンクだ、元気が出るぞ」
藍がポーションらしきものを投げ渡してくる。
チルノは少しは気にしながらも、それを飲み干した。
「ぷは~~、あ、なんかこれおいしいわ」
「そいつは良かった。
さて、さっそく本題だ。君に会ってもらいたい人物が居る。
その人物に会ってもらうために、今日はここに来てもらった」
藍の視線の先には、違和感ばりばりなエレベーターがあった。
「はああ?
アタイに会いたい人……社長ってわけじゃないみたいだし、誰ですか?」
「あのエレベーターを使ってもらえればわかるよ。
そして、そこに在る人物に会ってもらいたい。これは森羅カンパニーとしての正式な依頼だ。
君にしか頼めない大事なことなんだ。頼むチルノ」
藍の眼差しには力が篭っていた。
改めて重たい話だということに気付かされたチルノは、元凶のてゐをにらみつけた。
「どういうことよ? ほんとにあんたって厄介ごと持ち込むわね」
「いやいや、本当にお願いなんですよ。ね、チルノ様、お願いだから受けてってば」
チルノは困った顔で、てゐ、藍、橙を見回す。
「まあ、事情は良くわかんないけど、そういうなら……」
藍はほっとして、息を吐いた。
「感謝する。じゃあチルノ、このエレベーターに1人で乗ってくれ」
「ほえ? 1人で??」
「ああ、そうだ。それが彼女の“希望”なんだ」
「彼女?……希望?……はあああ?」
チルノの頭にはハテナマークが無数に浮かんでいた。
仕方なくチルノはエレベーターに1人だけで乗り込んだ。
エレベーターは静かに下降していった。
そして、数分程かかってようやくエレベーターは停止した。
「なんだか、すごいものものしいわ。なんなのよ?」
チルノは毒づいて開かれた扉から外に出た。
その空間は、本当に真っ白だった。
とても広く真っ白な空間。チルノは唐突に、レティと初めて出会った雪原を思い出していた。
視界の端にとある人の姿があった。
遠くからでも分かる、その見覚えのある姿にチルノは思わず走り出した。
「せ、先輩!」
「やあ、お久しぶりね、チルノ」
それはレティ・ホワイトロックであった。
チルノが正義の味方を志すきっかけになった人物だ。
「お、お久しぶりです。一体、どういうことなんですか、これ?」
「ああ、簡単な理由としてはね、あなたと闘いたいからよ」
「へ?……」
「チルノ……私と闘ってちょうだい。全身全霊、全てを賭けて」