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今しかない

2010年02月20日 17時07分25秒 | 日記
土曜日

小説「新・人間革命」
 2月20日
 八月二十九日、夏期スクーリングは最終日を迎えた。正午過ぎ、中央体育館横のS二〇一教室で閉講式が行われた。
 山本伸一は、創価大学で通教生を激励した翌日の十九日には、九州を訪問。東京に戻ると、二十八日には、神奈川の県民ホールで開催された「‘76神奈川県文化祭」に出席した。そして、この二十九日の午後には、大学の中央体育館で行われる「昭和三年会」の記念の集いに出席することになっていたのである。

 「昭和三年会」は、伸一と同じ昭和三年(一九二八年)生まれのメンバーの代表によって結成されたグループである。
 伸一は、さらに、そのあと、埼玉県に移動し、大宮市民会館で開催される「‘76埼玉県文化祭」を観賞する予定であった。

 彼は、スクーリングの閉講式には、ぜひ出席したいと思っていたが、来客もあり、スケジュールが立て込んでいるだけに難しかった。そこで、閉講式には、メッセージを託し、皆の奮闘を心から讃えたのである。
 「見事な充実したスクーリング、まことにご苦労様でした。ただ、ただ、ご苦労様と申し上げます。来年もまた、元気いっぱいの姿でご来校ください。私も心からお待ち申し上げております。では、皆さん、お元気で」
 伸一は、「昭和三年会」の記念の集いに出席するため、創価大学に向かう車中でも、通教生のことを考え続けた。

 “明日からは、また、それぞれが一人となり、働きながら、日々の生活と格闘しつつ、時間を割いて勉学に励む……。このスクーリングを通して、学業に勝利する、強い決意を固められただろうか……”
 午後二時過ぎ、伸一は、大学の文科系校舎前に到着した。玄関のブロンズ像の辺りに、帰途に就く通教生たちの姿があった。

 伸一は、急いで車を降りた。
 “直接、会って励まそう! 今しかない”
 瞬時を逃すな。時は再び巡りくると思うな――
それが、「臨終只今」の決意に生きる、
彼の行動哲学であった。

報恩抄
譬へば人の声をきいて体をしり
跡をみて大小をしる
蓮をみて池の大小を計り
雨をみて竜の分斉をかんがう、
これはみな一に一切の有ることわりなり、
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