日本共産党明和支部が発行する「みんぽう明和」第85号(2014年7月号)に掲載された投稿を掲載します。
投稿
明和版「ダーウインがきた」
――コチドリ編
「擬傷」という言葉をご存知でしょうか。地上に営巣する鳥類に見られ、敵が巣に近づくと親鳥があたかも傷つき飛べないような目立つしぐさをし、敵を遠くへおびき出すという行動です。
私はテレビで見て知っていましたが、実際に、ここ明和で見ることができたのです。
家の前の農道を歩いていると、畑の端で傷ついて飛べないという感じで羽をばたつかせピーピーと鳴き騒ぐコチドリを発見しました。
その畑は水はけの改善のため最近造成した畑です。その畑の別の所でもピーピー鳴く声がします。見回すと違うコチドリがこちらの様子を伺っています。
これはひょっとすると巣があるのかもしれないとそっと遠ざかり様子を見ました。
しばらくすると一羽が地面に座り込みました。よくみると卵がはみ出しています。
造成したばかりなので何も生えていません。気温は36・4度。卵は地面の窪みに直接産み落とされていますが、直射を遮るものは何もありません。
卵は4個です。オス・メスで14~15分ごとに速やかに交代で抱卵していました。暑さのせいか抱卵中は口を開けたままで、卵を温めるというより直射を防いでいるようでした。
何日かして親鳥が巣を離れた時です。一羽のヒナがキョロキョロしています。ヒナは孵化するとすぐに動け、保護色なので何にもない地面の上でも目立ちません。
上空を通過するカラスに親鳥が素早く反応し警戒音を発するとヒナは目を閉じ、地面に伏して動きません。保護色で全くわかりません。
ヒナは親鳥の心配をよそに親から離れ、巣を飛び出し活発に動き回ります。巣でない所でも親鳥が体を低くするとサッとその懐に潜り込みます。
巣からも親鳥からもかなり離れた所まで動くようになりました。一羽の親鳥は最後の一個を抱卵中です。もう一羽は先に生まれた三羽を水の張ってある田圃の方へ誘導していました。
ついては離れ離れてはついて警戒する親鳥。ピーピーという鳴き声がやたら響いていました。
しかしここでも保護色で完全に辺りに溶け込んでいてなかなか見つけることができません。でも親鳥は必死です。人が通るたびに擬傷を繰り返します。ピピピ、ピピピ、羽をばたつかせ、ヨタヨタと歩き、怪我を装い、敵をヒナから遠ざけます。
その頃最後のヒナも孵っていました。すぐに田圃の方へ移動していきました。空っぽになった巣は、どこが巣だったのか全くわからなくなっていました。 明和在住 TS
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