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M-13 「親父と二人暮らし」

2016-02-21 18:44:50 | MOI的メモリアル
俺は高校卒業をギリギリできた
テストは白紙、出席日数は足りない
そんな状態なのに進学した
音響の専門学校だが高校で推薦枠が空いてたのでいれてもらえた
音響の勉強しながらバンドで身を建てようという甘い考えからだった
今思うとプログラム言語の一つでも学んでおけようと言いたくなるが
当時は夢を追い楽に生きる方法を探してたのだろう
大成してたら今よりもっと大変だったろうけど
そんなこんなで俺は春から東京にでることになった
幸い中学から父親が単身赴任で東京に住んでいたのでそこに住むことにした
学校までは一時間はかかるが寮が空いていなくて俺としては自由度が高いので喜んだ

専門学校には寮暮らしのクラスメイトが三人いた
同郷の出身だが俺とは少し地域が違う三人だった
クラスの飲み会の帰りに終電がないので寮に忍び込みとめてもらうことになる
それ以来自宅に帰るのが面倒になると忍び込むようになる
三人の中の一人はバイトで夜中部屋にいないので俺は変わりに住み着くようになる
寮の風呂を借り飯もいただき我が物顔で

そんな生活をしてたのだが親父は余り気にしてなかった
週末は母親や妹の住む田舎に帰るが俺も週末学校はないので自宅に帰る
完全にすれ違いだ
たまに帰宅すると親父は久しぶり!ちゃんと食べてるか?と軽く声をかけてくる
平日自宅に帰るのも終電ギリギリで残業だらけの管理職だった親父
でも疲れた顔一つも出さずに会社内の営業成績ナンバーワンを叩き出したりする
恐ろしい程タフでボジティブなあの人は古いタイプではあるがやり手過ぎるほどの人だろう
そんな親父に怒られた経験が殆どないのだが
甘やかされて育った覚えもない
社会的モラルや一般常識は年齢相応に身に付いた
学校は真面目に行ってなかったが何故か知識だけはついた
自分がしてきた仕事の歴もあるのだろうが
教育はしっかりされてきたようだ
あの頃親父と二人で暮らしていた時覚えている事があまりないのだが
洗濯物が山のようにあって暗いリビングに週刊誌が三列位に積み上げられていた
たまにコンビニでざるそばを買ってきてくれ「お前これ大好きだろ!」って渡してくれる
しかし俺はそこまで好きじゃなかったのよ
金なかったから喜んでもらってたのを勘違いしてたのだろうな
それくらいしか関わりのなかった専門学校時代の二年間
その後フリーター時期一年ちょっとくらいも一緒に住んでいた
その頃近くにマンションを買うことになり母親が上京することになる
そこで父親との二人暮らしは終わるのだが
そろそろ俺もあの頃の親父の年齢なのだな
あれくらいタフでボジティブかはわからないが
あの人を超えるとか考えたこともないが
あの親父の元に生まれるべくして生まれたのはよく分かる
時代が変わっただけでとても似ているのは自分でも認識しつつある

過去を後悔はしない方なのだが
あの頃もっと家に帰ってれば何か吸収出来てたろうなって思う
漫画の話を熱く語り合うのはその10年以上先になるからな、、、