ホテリエの一日

あるホテルマン(ウーマン)毎日の出来事を書いています。
読んで下さった方、コメントいただけるととても嬉しいです!

自分の弱み

2005-09-28 01:36:45 | Weblog
自分は今まで社会人を11年経験した。
販売、事務、コンピュータ、飲食業界・・・
関西生まれなので地方情報については幅広く持っているほうだと思う。
接客に関しても幾度も研修・講習を受けて習得した。
そして私のいくつもの弱点の中の最大の弱みは
「他のホテルを知らないこと」

今の現状しか知らないから、それがフツウだと思ってしまう。
他のホテルと比べられないから、今の職場での長所短所がみえてこない。
少しでも弱みを克服しようと、時間のあるかぎり、あらゆるホテルに「客」として宿泊利用してみているけど、仕事への実践にはつながらない。

社員になった今、この冬に転勤希望のあるなしが個々に問われる。

去るべきか。残るべきか。

通常なら思い切って他ホテルに移ったほうが勉強になるから、と思われるけど
私はこのホテルがとても好き。
こんなにもリピータが多く、お客様から愛されている今のホテルが誇りです。
もう少し、とどまっていたい。
でもこのまま、弱みをひきずったままでいいの?

通勤時間、秋風をひんやりとかんじながら毎日考える今日この頃です。


もう一度初心に戻って

2005-09-21 01:40:49 | Weblog
最近、簡単なことがミスばかりでちゃんと出来ていない。

予約カードの記入もれ、レジストレーション登録ミス、レート変更忘れ・・・
後輩たちの方がよほどしっかりしてる。
あ~情けなくてしょうがない。

正社員になってから、まかされる仕事が極端に増えた。
客室備品の棚卸、発注、客室インターネット販売の管理、ホームページリニューアルの企画、大型団体予約の管理、、、
そしてもちろん責任者としてのロビーからレストランまでも常に全体に気を配らなければいけない。気を配らなければいけないっていう意志が、逆に自分にとって疲れることなのかもしれない。自然に気を配ることができたらいいのに。
私ってまだまだ。。。

ここで入社したての頃を思い出して、初心に戻ろうと思った。
まずは挨拶、笑顔、姿勢から。
すると緊張感がかなり違う気がした。
緊張感がでると集中力もでてくる。

いつもいつも初心ではいられないけど、ダレてる自分に気付くことが大切なのかもしれない。


フロント業務はチームプレー

2005-09-16 01:35:22 | Weblog
どんな仕事でもチームプレーって必要。
特に24時間体制のホテル業ではなおさら。
主に日勤で朝出勤したらまず夜勤あけの人から昨夜までの業務を引き継ぐ。
フロント内の全員が同じ情報を共有するために。

「801号室で電球切れのクレームがありました。」
「613号室の方は車イス利用のかたです。対応注意してください。」
「705号室は要注意人物です。」
「今日到着予定のA社10名、宿泊名簿依頼してください。」




ある日約100名の団体客が到着する予定だった。
経由した旅行会社は今回が初めての大型団体で、気に入ってもらえれば今後も集客が期待できる。
営業マネージャーも今回のために非常に力をいれていた。
そしていざ到着しツイン客室に向かったはずのお客様がどんどんフロントに戻ってくる。。。

「すみませ~ん、この部屋シングルなんですけど」

私達は全員凍りついた。
(もしかして・・・ツインセットしてない?!)

当ホテルでは通常の広めのシングルルームにエキストラベッドをいれてツインにする。
その指示がチェックしたフロントからメイドに行っていなかった。

「申し訳ございません!すぐご用意いたしますのでしばらくお待ちくださいませ!」

後輩たちは完全に動けなかった。誰かからの指示を待っている。
マネージャーは添乗員に呼ばれて頭を下げつづけている。

(私が、うごかなきゃ・・・!)

「井口君、増田さん、後ろの事務所の人全員集めてツインセットに行って!私はフロントに残ってメイドを呼ぶから!」

10分、12分。そろそろ1室目ができてもよさそうだけど・・・
そのとき井口君が降りてきた。
「私が仕上がった部屋の連絡を受けますから、田中さんはお客さんにすぐ伝えて少しでも早く部屋にはいってもらってください!」

「・・・そっか、そうだね!りょうかい!」

井口君が仕上がった部屋を電話で受けてそれから私に連絡をもらう。すばやくどんどんお客様にあがってもらうことができた。

彼は、優秀だ。
チームプレーもうまく動かさないと役にたたない。











なぜホテルで働くのか?

2005-08-25 02:24:39 | Weblog
10歳の私
「将来の夢は?」
「・・・ふつうのお母さん」
20歳の私
「将来の夢は?」
「・・・一般事務職」


一人っ子だった自分はきびしく保守的に育てられた。
いつも怒られていた。
自分を否定されていた。
そして誉められることは一切なかった。
「あんたにサービス業なんかできるわけないでしょ!とにかく大手企業に入れば安心なのよ!」
そう言い聞かせられる毎日だった。
いや、言い聞かせられるのではなく、本当にそうなんだと思っていた。
私が社会に出て出来るのは、雑務しかないのだと・・・

結局自分の向かうべき道に気付いたのは、それから7年もあとだった。
思い切って始めてみた飲食店でのアルバイト。
やっぱりサービス業を学びたかった。

ある日、食事中家族連れの子供が、注文して来たばかりのジュースを全部こぼしてしまった。
急いで変わりの新しいジュースを入れようとしたが、そのとき
「待て、新しいのなんか持ってかなくていいぞ!お客さんがこぼしたんだ」
店長の言葉だった。
「えっ、でもかわいそうじゃないですか」
「気持ちはわかるが、こっちも商売なんや。そんな生ぬるい考えはいかん。」
「・・・・・」
こぶしをにぎった。
今もあの家族の姿を忘れない。

私はそのとき思った。
(ここは私がいる場所じゃない。私はもっとサービス業の最前線で学びたい!)

そして、自分の好きな英語を活かせるサービス業、
ホテルで働こうと思った。

実際に始まるまでは、できるわけないと思っていたこの仕事。
気付けば一年たって正社員登用、責任者までまかされるようになった。

私にはまだ眠っている潜在能力があるのか?
30歳をすぎている今でさえ、開花させようと模索しつづけている。




宿泊禁止になった人 再来

2005-08-14 00:15:01 | Weblog
8月10日

1週間前、数々のもめごとをおこして去ったA氏がふたたびチェックインに現れた。電話予約で空室があるのを確認して来たらしい。A氏はブラックリストに載ってるとはいえ、ホテル側が損害を受けたわけではないので、空室があると案内した以上、拒否することができない。

やむなく延泊出来ない旨伝え、デポジット(前受金)をいただいて宿泊してもらった。

翌朝、チェックアウト時間すぎたので部屋に電話入れると、
「寝てたわーーあと30分まってや」
その45分後再度電話。
「いまシャワーやから、もうちょっと」
その30分後
「やっぱり夕方までいるわ」

ようやく、足取り重くチェックアウトにフロントに下りてきたのは夕方だった。

やっと、出発してくれた・・・
ホッとしていた。

A氏がのったタクシー会社からホテルに電話がはいった。
チェックアウト30分後だった。


タクシー運転手「さっき乗せたAさん、ちょっとここで待っててって言って、車から降りていっこうに戻ってこないんですが・・・A氏と連絡とってもらえませんか?!」

まさか、乗り逃げ?!

A氏の携帯に電話をかけた。
すぐ応答した。
A氏「もうすぐもどるって言っといて!」ガチャン

結局、タクシーに戻って支払いはちゃんとしたらしい。



が、いろんなところでいろんな人に迷惑かける人。
とりあえず、今度こそ肩をなでおろした。



そのとき突然A氏がまたホテルに戻ってきた!!

「忘れ物したんや~~」





宿泊禁止になった人

2005-08-06 01:57:27 | Weblog
8月3日

40代後半とみられるA氏がチェックインに現れた。
うちのホテルに宿泊するのは初めてらしい。
身なりは背広にネクタイ。サラリーマン風。
レジストレーションカードへの記入は、ことこまかく、達筆だった。
チェックイン業務をひととおり終えて、質問された。

A氏「このボールペンいいなぁ~売ってくれませんか?」

スタッフ「フロント用の特殊仕様となっておりまして・・・申し訳ありませんが売り物ではございません。」

と、断ってみるが、あまりにも興味深そうにずっと見ているので仕方なく今回限りと1本無料で差し上げた。

翌日の朝、フロントに電話が入り朝食の時間は何時までかときかれ
「9時30分までにはお入りください」
と答えたが、大幅に遅れて来た。

スタッフ「お客様申し訳ございませんが、朝食はもう終了しております」
A氏「んなこといったって、ホテルのパソコンが壊れて対応してたんだから仕方ないじゃないか、出してくれよ」

レストランマネジャーは仕方なく、残った惣菜を手直しして出した。
「明日はお時間お守りくださいね」
実はホテルのパソコンが壊れていたのではなく、半角と全角の入力がうまく入力できない為、ヘルプデスクに問い合わせていたらしい。
A氏はそのまま1時間半もランチタイムまで居座った。

その後フロントにてタクシーを5分後に呼んでくれと言われたが、
「ちょっと、タクシーまだ?!」
とツカツカ来たのは、時計を見ると明らかに呼んでから2分後だった。
都合よく、タクシーは3分後に到着し、その場は済んだ。

その夜もいろいろあったが
翌朝の朝食にA氏は時間内に入店した。
しかし食事は終えているものの、閉店時間1時間をすぎてもいっこうに席から動く気配がない。
たまりかねてマネジャーが一声かけた。
マネジャー「お客様お時間がすぎております」
A氏「なんだって?!このやろう!!昨日も同じ時間までいたじゃないか!」
急にいきりたって、ものすごい声で発狂した。
隣のロビーの全員、血の気がひいた。
マネジャー「いえ、お時間はお守りいただきたいと言っているのです。」
A氏「ばかやろう!!俺は宿泊客なんだよだまってろ!!」

気性がはげしすぎる。
これ以上あおると、他のお客様に迷惑をかけかねない。
さすがのマネジャー、ここはこらえてそっと引いた。
すぐに横のロビーに居合わせたお客様に
「ご迷惑をおかけしました」とひとりひとり頭を下げていった。

A氏は1泊ずつ延泊してたが、上からの指示で延泊禁止になった。

そしてA氏は何事もなかったようにチェックアウトした。
「ありがとう」

帰り際にいただいたA氏からのアンケート用紙にはぎっしりと記入されていた。

(部屋にある紅茶はグッド!)
(部屋の設備はとてもグッド!)
(女性にもよさそうなホテルだから女性向き商品をだせばもっといいのではないか?)




ただ、悪いばかりの人ではない。

が、他のお客様の迷惑になってはいけない。
迷惑を未然にふせぐのが、私達の仕事である。








前払い?後払い?

2005-08-04 00:35:52 | Weblog
8月2日

ある団体の、当ホテルでの会議+宴会+宿泊の予定が近づき、話もだんだんまとまってきた。
会議の時の机の組み方、仕切りを入れる時間、はずす時間、プロジェクタの配置の仕方、宴会のメニューの内容、長らく2,3ヶ月にわたりほとんど2日に一回は打ち合わせをしていた。いよいよだ!

「では詳細もも決まりましたので、お支払いをそろそろ・・・」
「えっ?!」
「金額も金額ですので、会議費用だけでも前払いでお願いしておいたはずなんですが・・・」

確かに支払いの話を最初にきちんとしていなかった。
前払いのお願いをしてから、確認しますと先方が言ってからそのままだった。

「ではせめて当日終了後に精算でお願いします」
「いえ、後払いになります。」

私の上司は支払方法に関してはとても厳しい。
団体とは言え、全くはじめてのお客さんに、ここで売掛になったとなっては雷が落ちる。
でも、もう遅かった。
長く積み重ねてきた計画、そして担当者との信頼もある。
予定を断るわけに行かない。
自分の、お金に関する考えが甘かった。

怒鳴られる覚悟をして報告した上司は、以外に優しかった。
でも、私は情けなくて涙を必死にこらえた。
実は前にも似たような事を起こしていたから。
自分は、商売する際に相手にはとても甘すぎるのか?

しかし、弊ホテルでは通常の客室料金の支払いは後払いにしている。
宿泊中の電話代などの出物が発生するので、ビジネスホテルということもあり
手続きの簡潔化のため、チェックアウト時一括支払いとしている。
他のホテルでは、どうなんでしょうか??




必要とされること。

2005-07-28 23:27:09 | Weblog
7月28日(木)
新しいホテルに配属になって、思い悩んでいた川田さんから電話があった。
(詳細は7月25日の記事を読んでくださいね)

「田中先輩、私また明日からがんばろうと思います!」

いちばん、聞きたかった言葉だった。

副総支配人が電話で川田さんの話を聞き、また今のホテルの現状を話してくれたらしい。

「私なんかでも、必要としてくれてるってわかって・・・」

彼女には、別ホテルである私達の言葉よりも何より、同じ職場で働く人からのはげましが必要だったんだ。。。
とてもさみしかったんだろうな。
人に必要とされるって、とても膨大なチカラを生むんだなぁって思った。

頭の中で自分の事とリンクさせてみた。
私もさみしがりや。
いつも必要とされたい。
必要とされるにはどうしたらいいのか?

いつも朝しんどくてギリギリに出勤してる私だけど、明日はちょっとがんばって早めに出勤してみようと思った。

私だけが、しんどいのではない

2005-07-27 20:03:38 | Weblog
7月26日(火)
朝出勤して取った1本目の電話。ホテルまでの道順を聞かれた。
いつもどおり、順を追って説明したつもりだった。が、

「あんたねえ!ほんとに客商売やってんの?!考え直したほうがいいんじゃない?」

一瞬目がてんになった。
どちらかといえば私はそう話し上手ではないので、相手の期待する対応じゃなかったのかもしれない。しかしここで「申し訳ございません」を言うとさらに相手の怒りをあおりそうだった。

「・・・はい」
「ふん、もういいわ!」
電話は切れた。

しばらく動けなかった。
そしてあとからどんどん、あの言葉が胸に突き刺さった。
(そんなに、私ひどいのかな、本当にこの仕事向いてない?)
マイナス思考の私は、相手がたまたま機嫌悪かったんだ、とか、あんなやつの言う事なんか気にせんとこ、とかなかなか考えられない。どんどん自分を追いつめてしまう。
涙を他の人に見られぬようにトイレにかけこんだ。

とりあえず落ち着いて戻ると、先輩の機嫌が悪そうにみえた。
昨日私が予約をミスっていたからかな?
もう何もやる気がしなかった。
(やっぱり私にはこの仕事むいてないのかな)
真剣に考えてた。

すると、先輩が微笑みながら言った
「俺いまかなりバテてるんだ」
いつも笑顔で元気な先輩だって・・・
私ばかりがいつもしんどいんだと思ってたけど、そうじゃないんだ。

「ビアガーデンでもいきましょうか?!」

先輩はいつもの笑顔になった。



新入社員の叫び

2005-07-26 23:28:18 | Weblog
7月25日(月)
フロントでの業務中、新入社員の川田さんから外線で電話が入った。
彼女は同じ会社であるけど、この7月に新しくオープンしたホテルで勤務している。オープン前に私のホテルで2ヶ月ほど研修を受けていて、私が教育係だった。

「田中さん、川田です。お話を聞いてもらいたくて電話しました・・・」

声はか細く、必死に訴えかけていました。
オープンしたホテルの事情は他の人から聞いていた。
人が足りない、うまくまわらない、苦情が相次いでいる。

「新入社員はみなゲストでの対応で必死になっています。オペレーションミスでお客様に迷惑をかけっぱなしで心苦しくて仕方がないんです。改善策を上の人にお願いしてみましたが、相手にしてもらえません。もう限界です、実は昨日から休んでるんです。」

最後は泣いていた。

彼女は本当に心優しい人、他人が感じている以上に心の痛みを自分で感じる人。

電話でもあれなので、と私の勤務終了後外でうちのマネージャーも一緒に食事する事にした。
食べるのが何よりも楽しみな彼女だけど、ほとんど口にしなかった。

「一歩、一歩だよ。一日ひとつづつ、解決していこう。」

私はホテルのオープンを経験した事がないので、業務的なアドバイスはうまくできず、そう言うしかなかった。うちのマネージャーはいまの実情からうまくアドバイスしていた。

見た目は笑顔で「ありがとうございました!!」と別れた後、彼女からメールが来た。

「田中さん、今日はありがとうございました。あと2,3日考えてみますが、やっぱり辞めてしまうかもしれません。どうしても今の上の人もとでやっていく力がわいてきません。本当にごめんなさい。」

私はすぐ返信した。
「いつでも味方だからね!どちらにせよ後悔のないように決断するんだよ!」

彼女はきっと今も、必死で思い悩んでいる、もしくはもう決断に至ってるかな。
私は彼女からのメールを今か今かと待っています。


★自己紹介★

2005-07-25 01:52:00 | Weblog
私は31歳の既婚女性です。
ホテルでの職種は「ゲストオペレーション」
予約受付けやフロント業務を主に、ゲストの様様なお世話をします。
規模的にはビジネスホテル、決して大きくはありません。
客室の修理や整備までもフロントスタッフで行っています。

この業界経験は1年半、
30歳にて転職。
実は前職はIT企業に勤めていました。
年収も激減、年間休日も前職では125日、今は80日。
とても大きな決断でした。


はじめまして☆

2005-07-25 01:40:07 | Weblog
はじめまして!
いろんなドラマがあるホテルでの仕事。
これを何かに残しておければ・・・と思いついたのがブログでした。
楽しい事だけでなくもちろん辛い事もたくさんあります。
いや、もしくは辛い事の方が多いのでは。
そんな私の毎日を読んで頂いて、一人でも共感していただけるならそんな嬉しい事はありません。
ご訪問くださったかた、ぜひともコメント残して行ってくださると嬉しいです!
私は寂しがり屋ですから。。。*^^*