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写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

写真ごころの極意論: 『極意で学ぶ写真ごころ』について (「アサヒカメラ」連載の書籍化)

2011-12-14 13:34:22 | Weblog
 このたび書籍として発刊しました『極意で学ぶ写真ごころ』(フィルムアート社)は、日本文化の「極意論」と絡めて、「写真ごころ」とは何かを考えるエッセイを冒頭に、「基本」でありながら、「極意」である実技を伝授する教本です。

 写真ごころとは、写真における表現をめざす態度であり、現実の先に永遠なるものを視ようとする思いのことですが、冒頭では「不射の射」を考えてみました。

「不射の射」といえば、「射らずして射る」という、まさに神業の世界です。
 大正時代の弓道の大家・阿波研造師範は、線香で照らしただけの暗闇の中で二本の弓矢を放ち、一本目は的の真ん中に命中。二本目は一本目の筈に当たり、一本目を引き裂いていた、という逸話があります。

 阿波師範は「それ(仏)が射た」と語りました(ドイツの哲学者のオイゲン・ヘリゲルの著作『弓と禅(日本の弓術)』より)が、「仏が射る」とはすなわち、仏と呼ぼうが神と呼ぼうが、宇宙本体の大本の力による業、という意味になるでしょうか。武道では、古来より中国の神仙術のごとき、こうした離れ技を伝えています。

 もとより、達人の世界は、常人の想像を絶する世界ですが、芸術の創造行為も、どこかこうした人智を越えた力の助けを得ています。万物に遍満し、すべてを貫通する宇宙の摂理が、人が本来もつ潜在的な力と創造的に結びついているのではないでしょうか。
 そこでは「撮る」「撮られる」の関係が溶け合っていきます。この一体感こそ、写真ごころの醍醐味です。

 いわゆる芸術のインスピレーションの源がどこかと考えると、それは自然の生命力だったり、さらに現実の時空の先に広がる次元(無意識)からの働きかけによるものです。
 詩人が万物から「声なき声」を聴くように、画家は見える世界を通して、その先にある「見えない世界」を視ようとします。
 私にとっては、絵も写真とは、自分の意識をそうしたより大きな世界に結びつける「こころの窓」の役割を果たしています。

「不射の射」とは、写真においては、「撮らずして撮ること」「視ずして視ること」と本書の冒頭で書きましたが、それを追体験することが難しいようでしたら、一心に何かに打ち込んでいる自分を想像してみてください。

「無我夢中」という喩えのとおり、音楽を演奏するとき、絵を描くとき、詩を綴るとき、踊りを舞うとき、スポーツで記録に挑んでいるとき…でも、何でもいいのです。その時に、我を忘れることで、音楽そのもの、絵そのもの、詩そのもののエネルギーに自分を投げ入れ、どこか「永遠なるもの」に繋がっていく感覚が得られれば、それが「写真ごころ」であり、「絵ごころ」「詩ごころ」の入り口となるのです。

 本書では、日本文化の極意論を語りながら「技」に託された精神性を、また「写真ごころ」について考えながら、芸術の中に宿された永遠性を、語ってみました。
 私の写真ごころのすべてを注ぎこみましたので、どうぞご愛読くださいませ。


伊藤みろ
2012年12月吉日

写真:足立美術館 池庭(『極意で学ぶ写真ごころ』 P.83掲載より)
Photo & Text by Miro Ito/Media Art League. All rights reserved.

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「極意で学ぶ写真ごころ」伊藤みろ 著 / B5 判/
予価 2,400 円+税/並製 オール4C / 152 頁/
発刊:2011年11月30日 / ISBN 978-4-8459-1180-6
発行元: 株式会社フィルムアート社  TEL: 03-5725-2001
http://www.filmart.co.jp

[フィルムアート社の情報サイト]
http://www.filmart.co.jp/cat138/post_157.php#more

[amazonで好評発売中]
http://www.amazon.co.jp/極意で学ぶ写真ごころ-伊藤-みろ/dp/4845911809/ref=sr_1_1?

[伊藤みろ 『極意で学ぶ写真ごころ』情報サイト]
http://miroito.exblog.jp/

伊藤みろ 公式サイト: http://www.miroito.com

足立美術館公式サイト: http://www.adachi-museum.or.jp/ja/index.html


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